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感情はナマモノ、言葉はイキモノ

感情は常に揺れ動くもので、たとえ似たような出来事で似たような気持ちになったとしても、まったく同じ感情になることは二度とない。だから、なにかを強く感じたとき、体験したとき、これは残したいと思ったときは、迷わず文章に書く。それを誰かに見せるか、誰かに届けるか、それはまた別のはなし。粗削りでもいい、完璧じゃなくてもいい。とにかく「いま」を残す。

感情はナマモノだから、忘れたくない気持ちはできるだけはやく、かたちにして残してあげる。一晩たったらその気持ちは、少しだけ熟成されたり、やわらかくなったり固くなったり、とにかく変わってしまうから。

一方で、言葉はイキモノのように、一度放たれた言葉は自立する。時には人を優しく包み癒し、時には強い力で人の感情を揺さぶる。いい意味でも悪い意味でも、放った者の意図とは異なって届いてしまうこともある。わたしの手を放れて、かわいがってもらったり、噛みついてしまったりすることもあるかもしれない。

誰のためでもない、自分のために書いた文章が、誰かに届くとき。生の感情が生きた言葉となり、あなたの心に触れたとき。そこには代え難い、細くて強い一本の糸のような、対話の絆が生まれる。

人とわかり合うこと、共感すること。たとえ一人の人と100%わかり合うことができなくても、それぞれの人とつながった糸がやがて片手で握れるほどの束になり、支えになってくれる。だからわたしは、一人ひとりとの小さなつながりを、大切にしたいと思う。

いつも読んでくださってありがとうございます。

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