おやすみ

kはコンコンと眠っていました

kが眠ってからというもの

毎晩のように7人のこびと達はkの元を訪れます

まずkの顔のパーツを一つ一つはずして

目、鼻、口を

ベットの脇に置きます

そしてkの顔を白いタオルで拭いていきます

キュッキュッキュッ

と音がなり

kの顔はピカピカになりました

そしてこびと達は慎重に一つ一つのパーツを

kの顔に戻していきます

1ミリのずれも許されない慎重な作業です

顔のパーツの作業が終わると

安堵のため息が聞こえてきます

今度は体です

こびと達は四方に分かれて

kの体を銀色のシートで包みます

しっかり包まれている事を確認すると

kの体の上に立ち上がり

ぴょんぴょんと

ジャンプします

一人のこびとが終わると

また一人

入れ替わり立ち替わり胸から足にかけてジャンプしていきます

なんだかこびと達はとても楽しそうです

kの足の先からは煙が出てきました

モクモクと白い煙が部屋中に立ち込みます

窓を開けると煙は外へ出て行き

雲になりどんどん上へ上へと上昇し

宙の一部になりました

しばらくするとkの体から煙は出なくなります。

一人のこびとがkの銀色のシートを外している間

他のこびと達は部屋の中を綺麗におそうじします

といってもいつもきちんとお掃除しているので

特別汚れてもいないのですが

こびと達はとても綺麗好きなのです

すべての作業が終わると

こびと達は壁の中へと帰って行きます

そしてまた次の日も

そのまた次の日も

こびと達はやってきては同じ事を繰り返します

その日は月も出ていない静かな夜でした

何時ものようにこびと達が作業に取りかかろうとすると

kは目を覚ましました

3年ぶりの目覚めです

kはパッチと目を開けすくっと起き上がりました

あたりをみわたすと

こびと達がいます

夢うつつの視界の中に

こびと達がいてもkはまったく気になりませんでした

ぐるっとあたりをみわたすと

一人のこびとが

「おはよう」と声をかけます

そして声はかさなり

次々に

「おはよう」が聞こえてきます

こびとの声はささやくような小さな声で

とてもかわいらしく

kはまた眠たくなってきました

大きなあくびを1回すると

kはまたコトンとベットに倒れました

「おやすみ」

そういうと

ぐーぐーすぴーすぴーと

kの寝息が部屋中に響き渡っています

最後のこびとはkにおはようを言い終えないまま

「おやすみ」といいました

おはようのない

おやすみはかなしく部屋に響き

最後のこびとはぽろぽろと涙を流しました

kが目覚めた日には

カレンダーに日付を1日足します

あと2回kが起きると8月が終わり

秋になります。

こびと達は秋の訪れを心待ちにしていました。

今夜もこびと達はkの部屋にむかいます

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