なつめ

読み散らかし、書き散らかし、撮り散らかす日々の落とし物置き場。 心にうつりゆくよしなし…

なつめ

読み散らかし、書き散らかし、撮り散らかす日々の落とし物置き場。 心にうつりゆくよしなし事を、そこはかとなく書き綴るサバイバー。     Twitter→@natsumex0087  無断転載はお断り致します/各種御連絡はTwitter(X)アカウントまで

マガジン

  • 推せる時が推し時だ

    レビューやつらつらっと書いた感想置き場的マガジン。音楽関係はだいたいここ。

  • こざかなノート

    有象無象、日々の雑感を纏めたマガジン。小賢しいって嗤わば嗤え。

  • survive,and thrive

    いちサバイバーとして考えたよしなしごとを綴るマガジン。

  • 然れどキャラバンは進む

    日々の中であつめた光、そのささやかな記録。 The dogs bark, but the caravan goes on.

  • きょうのZenbrush

    手本のない指書きゆるゆるデジタル書道。 気儘に好きな言葉などを書き付けます。

最近の記事

小野雄大、モルタルレコード

 日曜日。  ドタ出でモルタルレコード、小野雄大さんの「桜満開ワンマンライブ」を観た。  インコグニートにジャネット、「四月になれば彼女は」ときて、なんだかふと、足元にぽっかり穴が開いているような気がした。  4月にひとつ楽しみにしてきたことはある。だがぽっかりと、足元がない。空白がいちばんよくないことは経験上知っている。  考えあぐねながら午前中の予定を3つ終えた。もそもそと昼食を作って胃に送り込んだあと、午後の予定がスパーンと飛んで、あれよあれよという間に状況がととの

    • the other point of view 四月になれば彼女は【ネタバレあり】

       どうしても行きたかったところに行かなくては、という呟き、Twitter(X)に現アカウントを作ってから何度となく見てきた。美しい写真の数々も覚えている。  目の覚めるような青と砂が眩しいビーチ、美味しそうなカクテル、色とりどりのフルーツ。空港のワンシーン、土産物屋に並ぶ品々の鮮やかさ。  それらがアップされたら羨んだり妬む人もいるのかもしれないが、わたしの立っている場所からは違うものが見える。決まって少し切なくなる。ご無事で、と密やかに祈っている。  何かを知った分だけ、何

      • 四月になれば彼女は

         「四月になれば彼女は」を、レイトショーで鑑賞した。サイモン&ガーファンクルの曲「April Come She Will」や同名別作品の舞台は馴染みがあるが、この映画の原作は未読。  普段恋愛モノはあまり好んで観ない。恋愛は当人同士が好きにすればよく、わたしがそれを眺めるのも覗き込むようで腰がひける。明らかに恋愛を描いただろう予告編に、実は少しだけ怯んでいた。  だが、喪失と惰性によるすれ違いから関係性を取り戻すさま、そこにある克己を描くストーリーはたしかにしっかりとした味

        • JANET JACKSON TOGETHER AGAIN JAPAN 2024

           Kアリーナ横浜、Janet Jackson & TLCのライブ「JANET JACKSON TOGETHER AGAIN JAPAN 2024」に行ってきた。TLCはジャパンツアー限定のオープニングアクト(Special Guest)だ。  TLCが前座とは、幾らメインアクトがジャネットでも豪勢な話だ。  しかもそのTLC、はじまってみれば45分ものステージでボリュームも内容もたっぷり充実。もうこれだけでチケット代終わったのではないかという感。本当にいいのか、いやいいのだ

        小野雄大、モルタルレコード

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        • 推せる時が推し時だ
          200本
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          152本
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          26本
        • ハンドメイド
          21本

        記事

          困難と感謝、そして定点

           障碍者に対して感謝が足りない、わきまえろといった論調が俄かにSNS上で活発化しており、そのきっかけはともかくとして辟易している。世知辛い。  世の中はすべて分かり合えないもので構成されていると予めわかっているのに、世知辛いなと思うのは矛盾かもしれない。だが当たり前、当然という単語が指し示すものの落差があまりに大きい。  無理や危険がなく自分の許される範囲で何かをして、誰かが幾許か楽になる、スムーズになる。その様子を見て「良かった」と思えたなら、ありがとうの前に何かひとつを

          困難と感謝、そして定点

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          満ちてゆく overflowing

          恋愛をテーマにしたら、もっと大きな愛に辿り着く。極めて藤井風さんらしく死生観を内包した、極めて美しい楽曲。賛美歌のようであり、人間への賛歌でもあるように感じた。 映画の主題歌として作られたMVは短編映画のよう。なんて美しい循環なんだろう。 映画のために試写を観て書き下ろされた曲のために短編映画のようなMVが生まれ、その曲がまた映画館で流れる。 映画を観て曲を知った人が、そこからこの短編に出会うかもしれない。同じ作り手から送り出された、ふたつのストーリー。 失った母は母親であり、great motherでもあるのかもしれない。豊穣の女神か、集合的無意識の中に存在する「母なるもの」か。愛の象徴。慈しむもの、包み込んでくれる存在の喪失と重ねる痛み。万物流転、どれほど願ってもすべては移ろい変わりゆく。 しかし人はかならず帰る。その道を辿り、少しずつ老い枯れては手放してゆくことによって、来し方と存在そのものの尊さを見いだして満ちてゆくのだろう。 アリストテレス曰わく、 愛というものは愛されることよりも、寧ろ愛することに存する。

          満ちてゆく overflowing

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          all of the long nights - 夜明けのすべて【ネタバレあり】

           「夜明けのすべて」を再び鑑賞してきた。胸がいっぱいになる。ずっと好きな作品として名前を挙げることになるだろう。開始すぐから涙が止まらなかった。  封切りは2月9日だったので、もう1ヶ月も経つ。上映館が減ってくる頃合いだから、そろそろ多少ネタバレを含んだものを書いてもいいのかなと思っていた。  ところが渋谷シネクイントでこの週末から上映されるらしい。リピートしたい人がきっと渋谷に集まるだろう。そういう魅力のある作品だと感じる。  以降の記述にはネタバレを含む。鑑賞前でまっ

          all of the long nights - 夜明けのすべて【ネタバレあり】

          Incognito INTO YOU

           日曜の夜。高崎芸術劇場スタジオシアターにて、Incognito JAPAN TOUR 2024 "INTO YOU"を。BLUE NOTE×高崎芸術劇場のコラボレーションシリーズ。  間に合うギリギリの時間まですっかり日付を勘違いしていて、これまでライブに足を運んでいた時との自分の感覚のズレにちょっと悲しくなるも、何とか10分と少し前に到着。  2022年末に同じこの劇場で、BLUE NOTE TOKYO ALL-STAR JAZZ ORCHESTRAとのライブを観て以来

          Incognito INTO YOU

          人の心を持つからこそ何かをすきになって、人の心を持つからこそそれを楽しめなくなってしまうことが、ただひたすらにとてもかなしい。

          人の心を持つからこそ何かをすきになって、人の心を持つからこそそれを楽しめなくなってしまうことが、ただひたすらにとてもかなしい。

          夜明けのすべて

           映画「夜明けのすべて」をようやく鑑賞。  原作とは異なる設定により、後半はオリジナルのストーリーが紡がれていく。それでもなお、素晴らしい。  誇張も強調もなく、描かれていく日々。  それぞれの生きにくさと癒えぬ悲しみが織り込まれた日常の中で、完全に知ることはかなわなくても心に手を添え慮る人々。  歩んできた道は様々。  その混ざり合うところで交わされる、繰り返す痛みを胸に秘めるからこその、確かなやさしさ。「わからない」ことを「わかり」ながら、心を寄せるということ。思い通

          夜明けのすべて

          ガンダムと種

           先日の話。映画館へ。  機動戦士ガンダムSEED FREEDOMという、ひとりならば絶対なさそうなチョイス。  20年前に放映されたテレビシリーズの後継作品。現実に悲惨な戦争が起きていたり、予備知識を入れずの鑑賞ということで一抹の不安はあったものの、流石のクオリティでしっかり堪能。  長く支持されるものの軸の強さ、愛される作品の力をみた。基礎教養と呼ばれるシリーズだけはある。20年を経たキャラクターデザインの印象はそのままに、今に連れてくるCGの美麗さよ。  その歴史ある

          ガンダムと種

          星屑みたいな

           不思議な縁の話を聞いた。某氏と、一緒に入社した人。転職組が打ち合わせ一切なしで同時に退社。ほんとに?笑って、ちょっと泣けた。進む道は違うけれど、きっとどこかでまた繋がってたりするんだろうな、と思う。  というか、そうあってほしい。まだ某氏が元気だった頃、いや遡ってわたしもそこにいたあの頃、正反対に見えるふたりが笑いながら話す空気感、わたしはとても好きだった。  「少年マンガだったら、俺たちのはじまりはここからだ!とか書かれちゃうやつっぽいね」  ・・・・・・って言ったら笑

          星屑みたいな

          日曜雑記帳

           今週末はグールドを読もう。確かにそう考えていたのに読みたい本は手元になく、さりとて雪が降るという寒さで図書館に足が向かず、また来週にすることにした。  グールドといえばグレン・グールドが先に想起されるが、勿論そちらではなくスティーヴン・ジェイ・グールドのほうだ。読もう読もうと思いながらも、後回しにしてしまっていた。  そしてまた後回しだ。もうこうなったら、いっそのこと何冊か手元に置こうか。  言葉についての幾つかの文章を読み、ふと息抜きを兼ねてYouTubeへ。経済アナリ

          日曜雑記帳

          伸びる

           正月の料理用に買っておきながら、好物なのになんとなく食べそびれた百合根。知らぬ間におがくずの中で根を張り、ついに瑞々しい緑が蓋を跳ね上げた。気付いてびっくり。  特に水やりもしていなかったのに、すっくと伸びた艶々の葉。慌てて鉢や土を買い揃え、植え替えをした。    生命力って、すごい。おがくずしかない狭いパックの中は逆境だったはず。幾ら今年が暖冬で場所が24時間換気システムの室内であるとはいえ、何の手入れもないままよく育ったものだ。  然るべき時まで静かに根を伸ばし、自ら

          私的「この世で最もいい曲100選」

           X(Twitter)のタグ企画に乗って、これこそはと思う100曲をセレクトした。  1名義1曲、グループとソロは別カウント。作曲家が被るものについては不問。迷った時には「バイオリンやピアノの独奏でも美しいと思えるか」を判断基準にした。このため、愛聴しているミュージシャンであってもここに入れられなかったものが多い。  スタンダード中心でオールジャンルにしたため、この曲数ではまったくどうにも枠が足りず、フュージョンやテクノはリストアップしつつも切るよりほかなかった。ジャズとク

          私的「この世で最もいい曲100選」

          小野雄大vs.小野雄大band setを配信で観た。 この人の歌はいつもとんでもなく琴線を揺さぶる。揺さぶられる。感情の存在をつよく思い知らされる。 人そのものが鳴っている。歌のいちばんプリミティブなところが画面からでも漏れ出す。 飲めないお酒を少しだけ飲んだ。よく眠れるように。

          小野雄大vs.小野雄大band setを配信で観た。 この人の歌はいつもとんでもなく琴線を揺さぶる。揺さぶられる。感情の存在をつよく思い知らされる。 人そのものが鳴っている。歌のいちばんプリミティブなところが画面からでも漏れ出す。 飲めないお酒を少しだけ飲んだ。よく眠れるように。