なぜ、日本人はハグが下手か
日本人とハグなんて、何年していないだろうか。
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そうやって、ふと考えた時に、はて、最後にハグをした日本人は誰で、どれくらい前だったかなと想いを馳せても馳せても、てんで思いだせなかった。実際、日本で普通に生活している間で、ハグをする機会って本当にない。
今時のヒップでホップな若者たちなら、私が思っているより、日常的にハグをしているのかもしれない。けれど、30半ばを超えた私のような年代の日本人は、周りでハグなんて、していない。
アメリカで暮らしていた時は、相手がアメリカ人だろうが日本人だろうが、ハグを日常的にしていた。日本では、外国人となら、何度かハグをしたくらいだ。
これは、高校の時に「ハグ同盟会」を組んだハグ好きの私としては(私の他にメンバーは一人だった)、滅茶苦茶寂しい事態である。
私は、ハグが大好きなのである。
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アメリカで、とても好きなアメリカ人ができたことがある。彼の名前をNとしよう。
今となって思えば、Nは私のことをそんなに好きではなかったのだと思う。けれど私たちはとてもいい友達だった。私は結構何でも彼に話をしたし、彼も私に色んな話題を投げかけてくれた。私たちは同じ大学の学生同士だったから、話題にも事欠かなかった。
そんなNと、今はもう理由は忘れたけれど、何かのはずみでハグをしたことがあった。友達としてのカジュアルなやつである。すると、彼はこう言った。
「あれ?ハグ、うまいね。日本人のわりに」
Nは日本通だったので、今までに日本人の友達や彼女がたくさんいた。日本人と付き合うなかで、Nの中ではこういう通説が構築されていったというのだ。
「日本人はハグが下手」
いや、私もそう思っていた!
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ハグの上手い下手を考えたことがあるだろうか。
私が思うに、日本人のするハグというのは、ハグをしているというのに、どこか遠慮があるというか、固い。
アメリカ人とするハグというのは、とても自然で柔らかくて、友情とか愛情を確認するためにやっているハグだなっていう気がしていたのだ。
なぜか。ハグ同盟会メンバーとして、私は考えたことがある。
それは単に、「日本人がハグをする場数が少ないから、ハグが下手」。それに尽きるのではないだろうか。
アメリカ人は、子供の頃から、何がある事にハグをしてきたのである。したくもなかったかもしれないけれど、おばあちゃんやおじいちゃんも含め、家族や友達の間で、何かフィーリングを共にする度にハグをしてきた。
けれど、私たち日本人というのはそんな文化はない。同じ屋根の下で暮らしていても、手さえ触れないような距離感で、結構生活しているものである。
そうやって育った日本人が、海外に留学なんかをした時に、ふとした場面でハグを求められると、なんだかきっと力が入ってしまうのだ。やり慣れてないから。
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Nに私はこう答えた。
「ほら、私はアメリカ人の友達も多かったし、こっちで恋愛も済だから、ハグする場面が多かったからじゃないかな」
思えば、アメリカでも、在米年数が長い日本人とは、自然なアメリカ人のようなハグができた。比べて、アメリカに来たばかりの日本人は、英語も不慣れであれば、やっぱりアメリカ文化にも不慣れで、ハグもウブな感じなのだ。
しかし、ハグが上手いから良い、って問題でもないらしい。
結構な日本人好きなNとしては、そんなハグの不慣れな日本人こそ(きっと彼のことだから、日本人「女子」ってことだ)ナイーブでかわいい気がすると、言っていた。Nは、アメリカにいる日本人の中でも、アメリカにやって来たばかりで、片言の英語を話して、カチコチのハグをするそんな女子がかわいいんだと。
在米期間が長いと、アメリカ文化にこ慣れてしまって、なんだかもうそれでは新鮮でかわいげがなくなってしまう、って思ってるアメリカ人もいるんだなあ。国際恋愛とは奥が深い。
そんなNと私は、もちろん結ばれるわけがなかった。
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