いずみなつみ

書家・現代アーティスト

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最近の記事

露出

自分の世界に閉じこもると弊害として目の前の興味関心があること以外が急激に体温を失っていき無機物に見えてしまうことだ。  状況や人が有象無象の現象に見えて音がどんどん遠くなっていく。 そうして色んな音が遠くなってようやく、自分の声が聞こえ始める。 聞こえ始めたら次は自分の声で頭の中がいっぱいになって、頭の中で色んな会話が繰り広げられる。 昔はそんなことが当たり前だったのだけれど、しばらく社会に身を置いたことで逆に頭の中の声は少なくなっていった 例えばこのように文章で書

    • 拝啓、愛しい人

      今日、さよならを告げた。 長年寄り添ったその子はいつも寂しいと泣いていた。誰かにその子のことを話せば、捉え方の問題だとかなんだかんだと言われるので表に出さずに引きこもっていつも慰めていた。長らくずっと連れ添っていたのはきっと私だけだった。 私はそのこを愛していたし、私だけの拠り所にもなっていた。 表の世界はいつも優しさと好奇に満ちていて 誰かが誰かの悪口を言えば、こぞって悪くいい 誰かが誰かを褒めれば、何の根拠もなく褒める どこの世界も一緒だ。業界を変えたって、レ

      • 透明は濁らないのではない

        ー朱に交われば赤くなる。 ということわざがある通り透明や純潔というものはとても汚れやすい。 <透明である> という強い意志がないとすぐに誰かに奪われたり汚されたりするのが そういった類の清らかさである。 2017年頃、私は四国一宮である大山祇神社の中で博物館勤務をしていた。 大山祇神社には日本の武具甲冑の8割の国宝が納められていると言われるほど武具の奉納が多い神社だった。 それほどまでに古来から崇敬を受けていた神社である。 宝物館の掃除をしながら国宝を拝める毎

        • 世界を見たくない時間が必要だ

          コロナの緊急事態宣言が落ちついてここ最近は飲みに行くことが増えた。 案の定ベロベロに酔ってしまう。 「毎回毎回良くそんなに酔い潰れられるね」 と声をかけられて、不思議だねと返答するが その答えは決まっている。 昔からそうだ。 お酒の味が好きとか、空間が好きというのは建前で 本来の目的は 「酔い潰れに行ってる」のだ。 私は多分、勘が鋭い。 これは日々を生きてる中で 意図せずに情報が入って来るということを意味している。 例えば仕事では「使ったことがないシス

          視力よりも大事な眼

          朝の散歩は心地よい。 私は特に食べず嫌いはないが好きなものを永遠に摂取するということがある。 その嗜好品のひとつがコーヒーだ。 中でもGEORGIAのJAPAN CRAFTMANしか、ここ数年購入していない。 家近くの自販機に置いてあったのに数年もすると周囲が飽きてしまったのか最近自販機に置かれなくなってしまった。GEOGIAのJAPAN CRAFTMANを求めて初夏の朝、そこまで熱くもないのに湿気がたぎりじめじめした仄暗いぼんやりした朝道をふらふら歩く。 ここ最近

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          感情の軌跡が筆致

          今日は朝からアトリエに作品をとりに向かった。 家からアトリエはまでは車で30分ほどの距離だ。 遠くもなければ近くもない。 ゆっくり思考にふけるにはちょうど良い時間だ。 この作品を持って今から赤坂のギャラリーに向かう。 今日は作品購入を検討していただいてるお客さまもご一緒だ。 自分の作った作品を眺めてやっぱりいい作品だと自画自賛する。 ハケを使ったスタイルの作品は情熱的で筆致も鋭い。 思考が追いつかない速さで書き上げるので一瞬の勝負だ。 構図も筆致も自分の経験

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          初夏の諦め

          今日は雨がすごかった。 夏の始まりによくある、夕立だったのだろうか。 白い稲妻を走らせて、昼間あんなに晴れていた空は 急激に機嫌を損ねていった。 昨年の終わり<春の死>という日記をつけ それから1年ほど経った。 昨年の私は春の暖かい日差しを窓辺に感じながら、 執着が消えた解放感と切なさに泣いていた。 自分が10年近くに渡り集めていた社会性だったり努力だったり責任という固執を手放してみると 自分には本当に何もなかった。何もない分、幼い頃のままの素直な感情が蘇っ

          滲む視界と10秒ルール

          夜にお酒を飲みながら、ぽつぽつと若い頃のことを書こうとすると 特に酷い記憶ではないと今は理性や思考で思っていても、この年になっても 視界が滲むことが多々とある。

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          ごめんねという母の残像

          私がフリーランス になったのをきっかけに墨絵や墨象画を始めた頃だった。 母が「ごめんね」とつぶやいた。 私の母は私に似てプライドだけは高く表面上は謝るという知性はあっても心から謝る姿というのはなかなか見れないと思っていた。 そんな母親がつぶやいたのだから私はちょっと驚いたのだった。 しかし私も母に似てプライドだけは高いので表面上はそのように驚いた風には出さない。 「何が?」 とだけ呟いて母の反応を見る。 「美大にいかせてあげられなかったこと」 幼少期から県知事

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          青い鳥症候群

          昨年の春、自分の中の宝箱を開いて私は酷くがっかりした。 大学を卒業し、10年間、我武者羅に頑張って集めてきたものはどれも全て社会の紛いものだった。20代前半の私が憧れたのは、他者からの理解と共感だったのだろう。 勿論それを意図していたわけではないが 本物だと思って集めていたものは完全なる社会の紛いもので、なぜならば私が社会が解らなかった為に、解ろうとして、解った気になりたくて盲目的に集めてしまったものだったんだと思うとなんとも言えない虚無感に襲われていた。 その虚脱感

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          青い鳥症候群

          執行

          2009.年01月06日の創作発見したので掲載。

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          春の死

          「あぁ。死んでしまった」 新年から続いた多忙を乗り越えて、春の色が見え始めた3月上旬。やわらかい日差しを窓越しに感じながら、吐き出す息と一緒に自分の中の霧もやも吐き出され、肩の力が抜けた。 ここ最近は忙しかった。 昨年会社を辞めてからの半年間。今まで出来なかったこと、挑戦してみたかったこと、勉強してみたかった事、惰眠を貪ること、会いたい人に会うこと、今までの自分が選ばない選択肢を敢えて選んで自分なりに未知を消化してきた。 どこにでもある、よく聞く、迷子的自分探索と簡易

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          10歳の頃に書いた小説

          こんにちは泉夏深です。本棚を整理していたら10歳の頃に書いた小説が出てきました。小5病をモリモリ発している時期のイタイ感じ小説ですが自分の哲学とか思想の原石だと思うので掲載してみたいと思います。 一、 すべての始まりは混沌だった。 光も闇も、生も死も、善も悪も、 まだ何も定まってない。 曖昧で、無秩序で、希薄な卵だった。 世界と呼ぶには、なんとも危なく不安定なものだった。 二、 変化は、つねに、突然始まるものだ。 混沌を構成している粒子たちが、まるで、なにか

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          妄想図書館:自分主観の《時間》は変動するのは何故か。認知を歪める存在。

          人間の神秘

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          正しい答えはどこにもない。「他者の価値観」を吸収して広い世界を構築する。

          中学生時代からよく人の相談を聞いていた。友達の悩み、親の悩み。人間はいつも「悩み」を抱えている。一般的に大きな悩みや小さな悩みなど関係ない。本人毎ではどの悩みも「大きな悩み」である。悩みを抱えるとある時は胸が締め付けられ、心拍数が上がり、息が荒くなる。またある時は、悩みが肺に溜まっているかのように、大きなため息ばかり吐くようになる。脳内はその悩みで支配され、怒り、悲しみ、恨みなどの負の感情で満たされることによって、トラブルの原因となることもあるだろう。 人が悩みを抱えるとき

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          「期待しない」よりも「信頼出来る仲間」を。期待と信頼を明確にし、環境要因を最適化する。

          「期待して損した」「期待ハズレ」「期待した自分が馬鹿だった」という言葉に違和感を感じるのは何故だろうかと考えてみた。対人関係を構築する上で両者の間によく起こる、この感情の違いを明確に分けることで対人関係を築くサポートになれば幸いである。 【case1】期待しないことで心を守る上司まず私が違和感を覚えたきっかけを載せたい。とある上司が放った言葉に強い違和感を覚えた。それは「僕は人に期待しない」という言葉だ。よくよく話を聞いていくと、過去何度も人に期待して裏切られた結果、もう人

          「期待しない」よりも「信頼出来る仲間」を。期待と信頼を明確にし、環境要因を最適化する。