突然の小説・ポエムご容赦ください。

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ノート

恋のおわりは花火のように【#あの夏に乾杯】

時刻は、19時をまわった。

30分前に始まったばかりのパーティーは、新郎新婦を中心に盛り上がっている。光沢のあるグレーのタキシードに身を包んだ湊(みなと)先輩の姿を見る度に、チクチクと胸が痛んだ。

もう何年も前に諦めた恋、だって言うのに。
まだ引きずっているんだろうか。

フードコーナーからサラダや生ハム、野菜やチーズ、サーモンが乗ったクラッカーを適当にお皿に盛りつけると、会場から逃げるように

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【あとがき】狂愛のカナリア(短編小説)

*このnoteは、短編小説『狂愛のカナリア』の《あとがき》となります。
お読みでいらっしゃらない方は、以下からどうぞ!

*途中から《有料note》となります。
小説が面白いと思ってくださった方、裏話を知りたいと思ってくださった方、購入していただけると嬉しいです。
(設定金額の150円は、私の好きな缶コーヒーが買える値段です。仕事中に飲みたいので、ぜひ!笑)

◎読者様のご感想

これまで読んでき

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狂愛のカナリア【短編小説】

君は、こんなことをした動機を知りたいと言ったね。一言で言えば、僕が芸術家だからさ。山道に咲く菫草や、頂上に白い雪の積もる富士山が美しいのは、みんなが知っていることだけどね、芸術家は当たり前に美しいものを美しいと判断してはいけないのだよ。芸術家は、無慈悲で残酷な事象の中に美を見出すのさ。戦禍の中で慟哭する少女や、ギロチンで首を落とされた野心家の青年とか、僕たちはそんなものに芸術を見いだす。

 ああ

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【あとがき】なぜ少女たちは髪を切るか?(短編小説)

*このnoteは、ミルボンさんとnoteで開催していた『美しい髪コンテスト』の応募作品・短編小説『なぜ少女たちは髪を切るか?』の“あとがき”となります。
(こちらの小説は、11/19付おすすめnoteに掲載されました!わーいわーい!)

(公式Twitterでもご紹介いただきました!
あらすじの書き方が上手すぎる…。
ありがとうございます;;♡)

(カツセマサヒコ大先生に「スキ」を押してもらって

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なぜ少女たちは髪を切るか?【短編小説】

両親が経営している美容室で、真梨恵と一緒にショートカットにしたのは、中学生になってすぐだった。

「髪を短くするのがルール」

バレーボール部に入った私たちが受けた、先輩からの洗礼。

確かに、先輩の髪はみんなワカメちゃんのように短かった。

怖そうな先輩に目をつけられるのも嫌だし、円滑に青春を謳歌したいから、私も真梨恵も黙って髪を切った。

お互い、肩甲骨が隠れるほどまで長かった髪。
小さい頃、

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椿の花は首から落ちる【短編小説】

*小説自体は最後まで無料でお読みいただけます。制作裏話のみ有料となります。

「赤ちゃんができたの」

 夕飯を囲む食卓で、椿はなんの前触れもなしに切り出した。

 アカチャン?

 話を理解出来なくて、向かいに座る彼女の顔をただ見つめるだけだった。椿は、綺麗に整った顔を強張らせて、私たちの反応を窺っている。

 母が私の横で何か言った。続けて父も口を開く。二人の声は驚く程小さくて、私の耳には届か

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昨夜更新しました『秋』という小説ですが、終わりがわかりにくいと指摘を受けましたので、一部加筆修正致しました。最後までお読み頂きましたこと、感謝申し上げます。

芥川龍之介『秋』の続きを書いてみた。

※芥川龍之介『秋』の続きを創作しました。青空文庫なりで原作をお読みの上、下記の小説をお読み頂けるとより一層楽しめること請け合いです。



 信子が照子の自殺の知らせを受けたのは、その翌年の秋の晩のことだった。照子の死を告げる電話の向こうの俊吉の声に、いつものひょうきんさはなかった。翌日、信子は一年振りに夫と東京の地に足を運んだ。

 朝からずっと、秋特有の冷たい雨がしとしとと降り続いていたその

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もしも
もしも、
残す記憶と捨てる記録を選べるのなら
私はどの記憶を選び
どの記憶を捨て

どの記憶を捨てたことを
後悔するのだろう。