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私が地味で真面目な教育広告を仕事にした理由。

noteやtwitterで「ライター」と名乗る人の多さに驚く。

今をときめくwebメディアのライター、大手編集プロダクションのライター、美容やコスメといったジャンルに特化したライター。たまに、きらびやかなプロフィールをお持ちの方にフォローされると、「うわああああ」って悲鳴をあげてしまいそうになる。

私は、一応コピーライターをしているけど、残念ながら華やかなメディアを担当しているわけではない。だから、何か騙したような気分になってしまうのだ。



★ 最近、いつ教育広告を見ましたか?


弊社が主に取り扱っているのは「教育広告」である。教育機関への入学者を増やすための広告だ。

パンフレット、ポスター、DM、チラシ、中吊り広告、純広告、HP、TVCM、進路相談会など、様々な形態があるけれど、弊社は紙媒体がメイン。手を替え品を替え、クライアントとともに入学者の獲得に奔走している。

(弊社の場合、クライアントは大学や専門学校、ターゲットは高校生になるので、今回はそこに限定して話を進めていきます)


教育機関の広告って地味で真面目なものが多い。ターゲットは進学を考える子どもたちだけど、その中には「保護者」も含まれる。進学は子どもだけのものではない。親からの最終OKが出ないと挑戦できないご家庭もまだまだ多い印象だ。

弊社としては攻める広告を打ちたい気持ちもあるけど、クライアントは保護者の目も気にしている。あんまり冒険して欲しくない、無難ではあるがしっかりと子ども(及び保護者)に響くものが理想だ。(最近では、冒険する学校も少しずつ出てきています。特に近大の広告は教育業界の中でも注目されています!)


それに、日常生活で教育広告を意識する人って、そんなにいない。ターゲットである高校生か、高校生(や中学生)を持つ親くらいだ。

教育機関を卒業して何年も経った大人たちからは、(面白いものを作らない限りは)見向きもされない。たとえば通勤中、車内には大学や専門学校の中吊り広告が貼ってあるけど、仕事で疲弊している大人たちの目がいくのは、転職サイトの広告の方だ。中には、「学校の広告なんて貼ってあるっけ?」と思っている方もいるかもしれない。


教育広告は狭い世界。試着室で思い出すファッションビルのおしゃれな広告や芸能人が昔話の主人公に扮するTVCMとはワケが違う(と個人的には考えている)のだ。

それなのに、一般的な華やかなイメージのあるコピーライター像をイメージされて、「コピーライターをされているなんてすごいですね」と言われるから。だから全力で否定したくなってしまう。

「私は違うんです。取り扱っているのは学校案内で、みんなが知っているような大きな広告ではありません。私は全然、すごくないんです」

と、言いながら、ふと思う。

教育広告は広告の花形ではないし、世間の広告のイメージとはかけ離れているかもしれない。

じゃあ私は、なんで教育広告を仕事に選んだんだろう?



★ 教育広告の役目


noteのユーザー層を詳しく知らないけれど、高校生は少ないのではと感じている。恐らく、高校を卒業して何年も経っている方が多いのではないだろうか。そんな方はぜひ、ご自身が高校生だった頃を思い出していただきたい。


\ 進路、悩みませんでしたか?/

就職するか、進学するか。進学するとしたら大学に行くか、専門学校に行くか。自分の学びたいことは何か、これからの人生でやりたいことは何か。どの学校なら、自分の希望を叶えられそうか。


進路に悩んだ時に活躍するのが、教育広告だ。高校生は学校案内を取り寄せたり、学校のHPを見たり、オープンキャンパスなどに参加して、学校を比べ、志望校を決定する。きっと、みなさんの高校時代もそうだったのではないだろうか。

長い人生で見ると、教育広告が役立つのは、この、ほんの一瞬。高校2年生の夏くらいから、高校3年生の冬くらいまでだ(進路に対する意識の高い方は、高1、いや中学生くらいから見ていただいているかと思うけど)。

でも、この一瞬が、彼ら・彼女らのこれからの長い人生を大きく左右することになるのは、間違いない。

大学や専門学校で学んだことを仕事にする人は多い。メイクが好きなら、ヘアメイクの専門学校に行って、ヘアメイクアーティストに。料理が好きなら、調理の専門学校に行って、一流シェフに。学歴が全てではないけれど、偏差値の高い大学に行けば、大手企業に就職したり、起業するくらいのスキルを身につけられるかもしれない。

もちろん、ヘアメイクの学校に行ったらヘアメイクの仕事にしか就けないわけではない。合わなかったら辞めて違う道に進めばいいだけのこと。でも、この進路選択の段階で「やりたいこと」「自分に合うか」をきちんと見定めることができたら、人生のタイムロスを少しは減らせるかもしれない。


学校は、学校案内やHP、オープンキャンパスなどの様々な“広告”を通して自分たちの魅力を伝えている。その中で、受験生自身が「やりたいこと」や「自分に合うか」を考え、「実現できそうな」学校を見つけて、選んでいく。

教育広告は、学校と学生の出会いの場になる。学生たちが後悔のない進路選択をできるように、きちんと学校の姿を見せること。それが教育広告の役目だと思う。

教育広告の魅力は「人生に影響を与えられるところ」だ。ファッションビルの広告も、携帯のCMも素敵だし面白い。でも、そのファッションビルに足を運んでも、そこで携帯を買ったとしても、これからの人生を大きく左右されることはないんじゃないだろうか。

教育広告が、活躍するのはほんの一瞬。だけど、人生の岐路に立った誰かの背中を押すことができるツールだと思う。



★ 私が教育広告を仕事に選んだ理由。


高校生の頃、志望校のパンフレットを読むのが好きだった。やる気が出ない時、テストの結果が出ない時、パンフレットをめくって、この学校に進学した自分の姿を思い浮かべて、モチベーションを上げていた。

進学してからは入学広報のお手伝いとして、高校生向けの冊子を作っていたことがあった。オープンキャンパスで来場者がそれを読んでいる姿を見るのがとてもうれしかったし、実際に後輩たちが「これ読んでました」と言ってくれた時は、「!!!!!」って声にならないくらい感動した。これを読んでくれた高校生が、入学してくれるなんてことが実際に起こるんだって思った。

私たちが作った冊子を見て受験を決めたわけじゃないだろうけど、でも、すごくうれしかった。もしかしたら、私がパンフレットを見てわくわくしていたように、その子もわくわくしてくれていたかもしれない。それを想像すると、うれしくて思わず顔がにやけてしまいそうになる。


進路選択でいちばん大事なのは、「その学校で何を学ぶことができるか」「自分は何者になれるのか」だ。良いキャッチコピーだから、パンフレットがおしゃれだから、HPが見やすいからといった理由が進路選択の決め手になることは絶対にない。

でも、教育広告は、パンフレットを見たりオープンキャンパスに参加することで未来の自分をイメージさせてあげられる。

この学校に進学したら、こんな学生生活が送れる。この分野を学んだら、この業界に進める。将来は、憧れの○○さんみたいになれるかも。

私は、「教育広告」を通して、子どもたちに将来の自分の姿を想像させてあげられることがとてもうれしいし、楽しい。少しでも可能性を広げてあげられることに、わくわくする。

それがこの仕事のやりがいなんじゃないか、と、最近感じている。




ジョージアの「世界は誰かの仕事でできている」というコピーが好きだ。

華やかでキラキラした大きな仕事ばかりが目立っているけれど、それが全てではないということを、再認識させてくれる。

地味で目立たない、愚直な小さな仕事だって、なくなったら困るものがたくさんある。世界は、たくさんの仕事で成り立っているのだ。

広告業界の中で、教育広告は地味な部類に入るかもしれない。でも、華やかで目立つ仕事だけが素晴らしいわけではないはず。だからもう、仕事を聞かれて「すごいですね」と言われても否定することはやめようと思う。私が、教育広告を選んだ理由を思い出して、

「教育広告は、子どもたちの未来の自分を想像させてあげられる、やりがいのある仕事なんです」

と、胸を張ってこたえるのだ。



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ひさとみ なつみ/ライター

生き方や働き方の価値観を「じわじわ揺さぶる」文章を書いています/コラム・エッセイ・小説がメイン、たまに音声配信/本業は紙媒体の教育広告。時にコピーを書き、自ら編集もするライターです/「書いて、表現する」がコンセプトのライティングサロン《written》をオープンしました。

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