仕事仕事仕事。

溺れてるみたいだった。

確定申告シーズン、私はお客さんから預かったいくつもの資料を全て彼方に放り投げ、12月決算に心血を注いでいた。

その法人の売上金額は高くない。そんなに時間はかからないというか、かけてはいけないと言われるくらいのもの。でも私のやったことのない処理が必要で、分からずウンウン唸っていた。

更に、この決算に関わる人と仕事をするのが苦痛で苦痛でたまらなく、そのストレスで心を壊した。ついでに体も壊れた。

その結果、スケジュールが後ろに倒れまくり、確定申告ほぼ素人の私にとって、3月15日〆切には到底届かなさそうな、仕事量が残ってしまった。


ことの発端は年末。

職場の苦手な人から叱られ、年明けになっても引きずっていた。それまでもその人からはよく叱られていて、頭が良すぎてついていけなかった。

「何でこんなことも①分からないの②考えないの②調べないの④聞きに来ないの」の日替わり叱られ。言ってることは正しいと思うので、理不尽なこと言うなよ、と思えた回数が少なかった。正面から、くらってしまった。


義実家から帰る1月2日、私は電車の中で一人で泣いていた。電車に乗ってから降りるまでも、降りてから家に着くまでも、ずっと。

鼻をすすりすぎて、マスクが使い物にならなくなった。
向かいに座っていた男性の視線をチラチラと感じていたのが不愉快で、泣き腫らした目で睨んでしまった。
そりゃ見るよね、公共の場で号泣してる人間がいたらね。


合計表の作成期間中に、ついに心が壊れて、感情がなくなった。

体も壊して、食べ物が消化できなくなった。
なのにストレスで発生したガスがお腹にたまり続け、膨満感があった。
そのせいでずっとお腹が空かなくて「いいダイエットじゃん、ハハ」と笑っていたけど、元々高めの体温だったのが、冷え性の人の気持ちが分かるぐらいには、何をしても体が温まらなくなった。


年末に私を叱った人との仕事が、この12月決算だった。もう一度、体が悲鳴を上げた。

その仕事が終わった瞬間から、風邪かインフルかコロナか分からないけど、別の体調不良が一気に襲ってきた。「もう緩んでいいんだ」と認識した体に、あっという間に反動が来た。


本当にしんどいときは、しんどいことを吐き出すエネルギーさえもなく、ただただ止まらない涙を流し切ることしかできなかった。

弱音を少しでも吐いたら、その直後から体が動かなくなってしまうような気がして、「まだだ、まだ頑張ってくれ、頼む…!」と自分に懇願することしかできなかった。


しんどいときは、友達に愚痴ったり、専門家に相談せぇよ〜、みたいなことを世間は平気で言う。

私は友達を愚痴の渦に巻き込みたくない。気を遣わせることに気が引けるし、友達は愚痴を聞いてもらうためじゃなくて、一緒に元気になる存在でありたい。
そもそも、そんなに軽く「ねぇ聞いてよ〜」という愚痴れる人が存在していたら、体も心も壊してない。

専門家はというと、初診で予約を取ろうと思ったら、3ヶ月先で、かつ、平日のみだった。

心療内科はそれぐらいかかると知識として知っていたはずなのに、いざ、断られると次に電話をする気力が残っていなかった。有給取ったら死ぬ会社員には無理な日程だ。

私よりさらに忙しい夫にも頼れなかった。
酒の飲めない私は、家のゴミ袋に缶チューハイではなく、コーラの空きペットボトルが溜まっていった。
泊まりの出張から帰ってきた夫が、それを見て苦笑いしていた。

コーラをプシュッとあけて、あおりながら帰って、家につく頃には空になる日々。
酒なら完全にアル中だけど、コーラなので糖質依存症だ。
もうストレスで頭も味覚もおかしなことになっている。



私は何年も勉強して、2勝5敗という残念なりにも頑張った結果、苦手な人と仕事して心と体が壊れた。

こんな人生を歩むために、それこそ泣きながら勉強をしたわけじゃないのに。


こんなにも知識が身につかず、もがいてももがいても追い付けない、税法の沼の深さを知ると、参入障壁の高さを思い知る。

参入障壁が高いということは、新人が育ちにくいということ。
まさに今育ってない身としては、かなり辞めたい。辞めたところでこの環境が他では改善されてるとも思わないけど、とにかく辞めたい。

知識より、要領の良さより、根性と体力がモノを言う世界だった。
確定申告どこまでやれんの、は結局、どれだけ体力あんの、になるし、難しい処理に食らいつけるかは、どれだけ根性があるかだ。
精神論と乖離してそうな業界なのに、そんなことは全く無くて驚いちゃう。


辞めたい気持ちはありながら、苦手な人以外には、人にも制度にも恵まれているという環境が、私を退職まで追い込んでくれない。体はこんなに辞めてくれと叫んでいるのに。


来月はAさんにこの提案を持って行って、再来月はBさんにこのこと伝えて…とか、未来のスケジュールが無限に押さえられてしまうこの仕事。離職率が高いことは分かるけど、辞めにくい仕事だろうな、とも思う。

元々、離職率がもっと高い業界にいた。正社員もバイトも人が飛ぶなんてしょっちゅうで、それでも回せていた。回すしかなかった。

でもこの仕事でそれをやられたら、ダメージがかなーりでかそうだなぁって、カバーリングのできてなさがすごい弊社を思ってしまう。
替えなんていくらでもいるんだよ!!って全員が言われる環境が整いますように。替えのきかない存在になりたくない。南無。


先日、簿記も財務諸表も知らない人と話して、「ああ、別に簿記は万人に必要な知識ではないんだよな」と思ってなんとなく肩の力が抜けた。

とにかくしんどかったー、っていうのを残したくて書きました。しんどい時に、しんどいと言えないみなさん、確定申告でまた泣きわめく私だから、一緒に頑張ろうね。

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