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夏に気後れしてしまうあなたに送る、夏っぽくない夏のうた

梅雨が明けると世の中は、まってましたとばかりに短い夏のハンドルを切る。
やれ海やらビアガーデンやら、花火大会やら、一夏の恋、やら。
そういう雰囲気は別に嫌いじゃなくて、でも、そのアクセル全開のテンションについていけないことも、しばしばある。正直に言うとね。

そもそも、夏はそこまで好きじゃないし、なんなら暑いのは苦手だし、どちらかといえば気温が上がり切っていない早朝の空気や、喧騒をおさめるように沈む夕陽、線香花火を片手にひそひそ話をする夜のほうが、好きだったりする。

今日は、夏に少し気後れしてしまうあなたに、わたしが選ぶちょっぴり切ない夏のうたを紹介します。



『8月のクリスマス』山崎まさよし

この曲を聴くと思い浮かぶ景色がある。
朝起きて、カーテンを開ける。朝日の眩しさに目を細め、世界が一瞬だけ、真っ白な光に包まれる。そんな景色。

果たしてその真っ白な光が、曲中の“あの夏を偲ぶ粉雪”なのか、それともただ単に眩しい朝焼けなのか、わたしにはわからないけれど。

冬の粉雪に、忘れられない恋人との思い出を重ねているこの曲は、夏歌とは少し違うかもしれない。でも、冬という正反対の季節を比較に用いるからこそ、夏がより一層輝いて見えるのだ。

少し冷房の効きすぎた窓から見る夏の朝焼けは、冬の朝、朝日に照らされてキラキラと光る粉雪のようで。
ほんの一瞬だけ、季節があやふやになるあの瞬間が、わたしはとても好きだ。




『HOME SWEET HOME』YUKl

これほど夏の夕陽が似合う曲を、わたしは知らない。
たぶん以前に親友とふたり旅をしたときに、海辺で夕陽を眺めながらこの曲を聴いたからだと思うのだけれど。

家に帰ろう 明日になれば大丈夫って笑っているかな

この曲を聴いていると、大切な人が待つ場所に帰りたくなるんだ。今日もたくさん仕事をした、遊んで楽しかった、だから家に帰ろう、と素直に思える曲。

そしてこの曲が夏にぴったりだと思う一番の理由は、苦楽のすべてを抱きしめるような歌詞にある。
夏って、楽しいことばかりじゃないでしょう。一夏の恋、一夏の思い出、なんて言うように、ちょっと冒険しすぎてしまったり、開放的になりすぎて後々後悔してしまうことも、きっとあると思うのだ。

そんなときにこの曲は、それでもいいよ、大丈夫だよって笑ってくれる。

嘘をついて 後悔してわたしはいつか大人になった恥をかいて 汗をかいてそれでも踊り続ける理由

夏をたくさん楽しんだとき、ちょっぴり後悔するような出来事があったとき、夕陽をみながらこの曲を聴いてほしい。




『うたかた』ポルノグラフィティ

この曲に関してはもはや言うことがない。添える言葉が見つからない。わたしなんかの文章を読むより、とにかく聴いてくれ。そしたらきっと、伝わるはずだから。

でもそうだなあ、敢えて何かいうとしたら。
辛く悲しい恋は、夏にこそ映える。夏にこそすべきだと思う。言葉はよくないかもしれないけれど。夏の持つポジティブさが、すべてを肯定してくれるから。

夏に散る恋を情緒豊かに描くこの曲は、ひっそりとした夏の夜にぜひ、聴いてほしい。



以上、わたしのおすすめの夏うたでした。

こんな感じの、自分だけの夏うたがあったら、ぜひ教えてください。





世界はそれを愛と呼ぶんだぜ