PillPackの競合について調べてみた

PillPackのようなオンライン薬局(処方箋薬)はUSでどんな感じか簡単調査してみた。大きく以下の3パターンに。①全州保険対応の総合オンライン薬局②地域限定の当日配送薬局③その他

①全州保険対応の総合オンライン薬局

PillPack(総調達額$118M)
・アマゾンが$1Bで買収、売上$1M(2018/6/29)
・自社開発で、一包化の機械やPharmacyOSという独自のソフトウェアを開発し、一包化サービスを提供
・従業員500人(うち薬剤師300人)、顧客数4万人(2017年7月情報)
・50州のメディケア(=保険)対応
CareZone(総調達額$63M、SeriesD、2018/5/24)
・アプリで薬剤の写真を撮影すると自動で服薬医薬品を記録してくれる
・50州のメディケア対応

②地域限定の当日配送薬局

Alto Pharmacy(総調達額$23M、SeriesB、2017/6/13)
・SF、LAエリアで即配達を提供
・医療機関などと提携
Capsule(総調達額$20M、SeriesA、2017/5/20)
・NY州含む5州で120分以内の即配達を提供
・医療機関などと提携

③その他

Blink Health(総調達額$170M、SeriesB、2017/4/13)
・「最低価格保証」がキーワード
・薬局と提携。当社のシステムを通して医薬品の決済を行うと、処方箋薬(保険適用?適用外?)を最低価格で購入することが可能(同社が安いPBMと連携することで実現している模様。)
・WalgreenとCSVと連携していたが直近2社抜けてしまった模様
・PBMを変更した
ZappRx(総調達額$32M、SeriesB、2017/4/21)
・希少疾患患者をターゲットとした、医師や薬剤師向け処方・薬剤管理支援システム。
・医師や薬剤師は無料で利用可能
・製薬会社からマネタイズ
MediSafe(総調達額$21M、SeriesB、2017/3/2)
・400万人が利用する服薬管理アプリ
・ベイリンガーやメルクなどの製薬会社との提携してマネタイズ

恐らく立ち上げ期は、一包化や、即時配達、アプリなど、各カテゴリでエッジをたててグロースしたと思われる。が、販売する医薬品は同質なので、市場が大きくなっていくほど、結局価格訴求か利便性訴求の競争に。地域限定の当日配送薬局とかは食品配達と同じ展開になっている。。Amazon参入したしね。辛い。

PillPackは、機器やソフトウェアを自社開発しているとは知らなかった。相当気合入っている。ほぼ慢性疾患とのこと。日本の調剤薬局ってアイン薬局とかが機械化を進めているから(しかも独占じゃなかった気がする)。機械の稼働率が極限まで高まれば&あまり数が出ないから手作業で調剤しているような薬剤も全ての機械化すれば、かなり効率化しそうな気がするなー。

その他は結構面白くて、Blink Healthはこの会社自体がPBM的な動き、保険的な動きをして顧客に価格価値、店舗に集客させている。が、WalgreenとCVSのアライアンスがなくなってしまったらしく(2社にうまく集客できなかったのかな?)立て直し中みたい。アメリカは処方薬の薬局間価格差が大きいから成り立つビジネスすね。

ZappRxは、希少疾患を対象とした医師薬剤師向けSaaS。Patients Like Meは患者向けだけど、こちらは医師向けに提供して早く希少疾患の患者が処方薬を受け取れるよう一連の手続きをSaaSにしたもの。途中、マネジメントメンバーでマネタイズについて意見が割れていたみたいで、検索したらハーバードビジネスレビューのケースに載っていたこれも面白い。日本では市場は大きくなさそうな気もする。

日本でビジネス考えるときは、そもそも保険薬局かという話があるけど、もう少し小売りの新しい形を研究してヒントに敷いた方が良いかな。

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