幼いころの呼び名で、呼ばれる喜び


今年も残すところ、あと数日。

私は今年、たくさんの人から「なっちゃん」と呼んでもらった。

大人になってから、こんなにたくさん「なっちゃん」と呼ばれたのは、初めてのこと。


「なっちゃん」という呼び名は、幼いころからの呼び名。

おそらく、赤ちゃんの頃からそう呼ばれていた。


両親にも、祖父母にも、叔父叔母にも、従妹にも、友達にも。


私は「なっちゃん」と呼ばれることに、まるで湯船のお湯につかるような温かさを感じる。


でも、大人になると、愛称で呼んでくれる人がどんどん減ってしまう。

いないわけではないけれど、とても少ない。

あだ名や愛称で呼んでくれる人が、だんだん減り、自分が親になると〇〇君のお父さん、〇〇ちゃんのお母さんという風に、立場を前提とした呼び方に変わる。

子供からも、お父さん・お母さんと呼ばれるようになり、夫婦間でも「お父さん・お母さん」や「パパ・ママ」と呼び合う人もいるだろう。


私は今年、たくさんの人と出会い、たくさんの人に「なっちゃん」と呼んでもらった。

仕事関係の人、ライター仲間、そしてTwitterの方々。


幼いころからの愛称で呼ばれることで、自然に素直な自分が出せるような気がした。誰かの陰にいる存在ではなく、自分そのものを見てくれる人が、たくさんいる気がした。


私は人から良く見られたい思いが強かった。よく見られるとは、静かで落ち着いた人間だと思われなくてはならない、という観念。

でも、なっちゃんと呼ばれると、そんな着心地の悪い鎧は自然に脱げてしまうようだ。


私に対して「子供っぽさ」「幼さ」を印象として話す人がいたからだ。


正直、不思議だった。そんなこと人生で一度だって言われたことがなかった。いつも必死に背伸びをして、大人っぽく振舞い、そういう人だと思われてきたはずだった。


でも「なっちゃん」と呼ばれるだけで、私は本当の自分を出してしまうんだと知った。幼いころの愛称で呼ばれることは、人の心を癒し、その人をすくい上げることができるのかもしれない。


人はいつも、何かになろうとしている。

子供は大人になろうとしているし、なりたかったはずの大人になっても、まだ何者かになろうとしている。私も何者かになろうと思っていたんだけれど、その必要はなかったみたい。子供の頃の自分に戻ったら、肩の荷が下りてしまったのだ。



あなたは幼いころ、なんと呼ばれていましたか?

そして、大切な人を、なんと呼びますか。






この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

12
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。