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プラント建設大手 日揮から出向!助っ人エンジニア 鈴木さんインタビュー

インターステラテクノロジズ(以下、IST)の最大の特徴といえば、低価格で便利な宇宙輸送サービス。

設計から製造、試験、評価、打上げ運用までを自社で一気通貫させた国内唯一の開発体制を持っています。そのため、部品の試験やロケットを打ち上げる際には地上設備が必要不可欠です。

ISTの地上設備グループの体制を強化するため、プラント建設大手の日揮株式会社(以下、日揮)から「助っ人エンジニア」(企業・大学・研究機関等からエンジニア人材の出向受け入れを行う制度)として鈴木勇介さんに出向いただいています。

鈴木 勇介(すずき ゆうすけ)
地上設備グループ所属
2016年東京理科大学大学院修士課程修了
同年4月に日揮入社後、2021年11月よりISTに出向

どのような経緯でISTへの出向が実現したのですか?

鈴木:
日揮では新規事業開発の一環で、以前より宇宙事業を検討する担当とIST社との間で接点がありました。その後、日揮の一般社団法人Space Port Japanへの加盟や「北海道宇宙サミット2021」の協賛パートナーとしての参画などを通じて、北海道大樹町やIST社とのご縁が深くなったと聞いています。

こういった背景から、当時設備設計エンジニアの支援ニーズがあったIST社に対し、人材育成の観点からもスタートアップ等への出向を推奨していた日揮の方針が一致したことから、私の出向が実現しました。

ISTでは普段どんな仕事をしていますか?

鈴木:
ロケットの発射場・試験場などの建物や設備の設計から運用までを担う地上設備グループに所属していて、超小型人工衛星打上げロケット「ZERO」(以下、ZERO)に搭載する新エンジン試験設備の設計を担当しています。

“ガスジェネレータ燃焼試験”設備 工事の様子

鈴木:
日揮からISTに出向してもうすぐ1年が経ちますが、北海道大樹町に来てから最初に担当したのが“ガスジェネレータ燃焼試験”設備の設計でした。ロケットに搭載するターボポンプを動かすために、ガスでタービンを回すのですが、そのガスを発生させる装置(ガスジェネレータ)を試験する設備の設計をしました。

「ZERO」エンジンのガスジェネレータ

ISTに来た当初、地上設備グループは4人だけだったのでとても驚きました。日揮は大きい会社なので部署が細分化され担当が決まっているため、設計部署でもプラント建設全体を見るわけではなく、その中でも計装制御の設計を担当していました。

ISTでは設備グループが4人しかいないので、プロセス設計や工事のスケジュール管理など設計の全般を担当することになり業務の幅がかなり広がりました。ISTに出向して、全体を見ながら設計する経験ができたことは、自分にとってかけがえのない財産になりました。

ひとつのことだけに集中していると、どんな計算でこの値が出てきているのかなどの背景が分からないんですよね。もらった情報をベースに、その仕様を満たす計器を選ぶ仕事もやりがいを感じますが、ISTに来てからはどういう経緯で設計されているのかという背景が分かるようになったので、より仕事が楽しくなりました。

自分の中で、特に成長したなと感じるのはプロセス設計のスキルです。ガスジェネレータ燃焼試験設備を設計したときは、自分で計算して、それを実際に動かしてみたら想定と違う動きをしたこともありました。そういった実体験から、こういうことに気をつけたほうがいいんだなというポイントが分かったのでプロセス設計には強くなりましたね。ISTでは失敗しながらたくさんのことを学びました。今は「ZERO」に搭載するエンジンの統合燃焼試験棟を建設中で、その設計も全般的に担当しています。

建設中の統合燃焼試験棟

ISTに出向してみた感想を教えてください。

鈴木:
宇宙関係の開発職ってプラントエンジニアから見ると宇宙人みたいな人達がやってるイメージなんですよね(笑) 。何をしているか分からないし、最新技術を駆使して開発しているというか。でもISTに来てみると、いい意味で思ったよりも普通だなと思いました。突拍子もないような異次元のイメージがありましたが、やっていることは一つひとつ検証しながら設計をして、地道に設備を作り上げていく過程はプラントとやっていることがほとんど変わらない印象です。

ただその中でも違いがあって、プラントの仕事はこういうものを作ってほしいというお客様の標準的な仕様があるんですね。ISTの場合はお客様の仕様が存在せず正解がないので、自分達で決めていかないといけない。この設備に対して、ここまでは妥協できるけどこれ以上は無理とか、そういうポイントを探しながら設計する必要があるので、正解を自分たちで決めていくやり方は日揮にいたら経験できなかったことでした。

日揮の仕事がISTに活かされたことは?

鈴木:
やはりプラントの仕事で培ってきた知見を活かすことができたと思っています。日揮は歴史が長い会社で、製薬会社の工場やLNG基地などいろいろな設備を設計してきた経験があります。これまでの石油、製薬など様々な設備設計を経験してきている中で、各プラントの目的ごとに異なる設計思想などをISTに還元できたと思っています。

大樹町の暮らしはどうでしたか?

鈴木:
なかなか暮らしやすかったです。大樹町に来る前は、何もないイメージだったので生活面が不安だったんですけど、実際に暮らしてみるとドラッグストアやコンビニもあるので想像よりも生活しやすくて困ったことはなかったですね。今、大樹町にいる若者はまちおこしをしようと頑張っていて、僕みたいな外から来た人間も心よく受け入れてくれるすごく温かい町です。

ISTメンバーとの関係性は?

鈴木:
僕が何も知らない状態で大樹町に来たことを皆さん分かってくれていたので、温泉に連れて行ってもらったりいろいろと気遣っていただきました。以前は仕事とプライベートを完全に分けていたのですが、ISTは若い社員が多いこともあって、プライベートでも一緒にどこかに行ったり、IST釣り部で釣りに出かけたり、充実した大樹ライフを送ることができました。

日揮に戻ったらやりたいこと

鈴木:
仕事のスキルの幅が広がり背景が分かるようになったことで、以前よりも精査して設計できると思います。そういう意味で日揮にも還元できるスキルを得られました。あとは日揮から宇宙関係の会社に出向したのは私が初めてということで、報告会の予定がかなり埋まっています。そういった機会に、宇宙産業は想像よりも身近で、自分たちと変わらないやり方でものづくりをしていると伝えたいです。日揮の知見はロケット発射場や試験設備設計に活かせることが分かったので、その辺りを会社にアピールしていきたいと思っています。

プラント関係の仕事をしていて、宇宙開発に興味がある方へメッセージ

鈴木:
宇宙開発ってブラックボックスに包まれた世界ではありますが、実際に来てみるとプラント関係で活躍されている方は特に知見が活かせると思います。一方で、プラント系は正解がある世界だけど、ISTはみんなで考えて正解を作っていくような感じです。もし興味があればぜひ、挑戦してみてはいかがでしょうか。


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