王様戦隊キングオージャー完走&感想〜駄作と良作の境を彷徨う〜

※私見です
※リアルタイムで最終回を迎えた時点から下書きになっていたものです

要約

・戦隊という視点で見ると、ストーリーが二転三転したり、販促にしか思えない戦い方をしていたり、他にも戦隊らしからぬ部分があまりにも多く、あまりいい作品とは思えなかった。
・CGは最初はすごいと思ったけど、次第にチープに見えてきて、タイムレンジャー、ガオレンジャーの頃の方が良いとすら思ってしまった。
・しかし、戦隊ではなくファンタジー作品として見ると傑作だと思う。設定のが広く、(二転三転していたものもあったが)がっちりしているからだ。Xで大きいお友達たちの人気が高かったのも、今流行りのファンタジー系路線だからだと思う。


「戦隊」としては大作の皮を被った虚無である

まずこの作品の大部分を占めているのが「ストーリー」だろう。しかし、このストーリー、度々脱線しては都合のいい方に修正されているのではなかろうか?特に顕著な例として、「ジェラミーの王の証」がある。最初の方は「短剣(クモノスレイヤー)にある」と言いながら、「命の美しさを知れ」では「胸にある永遠の命が王の証だ」となっていたのである。よく言えば丁寧、悪く言えばグダグダな脚本やストーリー展開が招いた結果とも言えるだろう。高野氏は「映像研には手を出すな!」「あなたの番です」等のドラマを手掛けてきた戦隊外の人だから仕方がない。
(「もっふんといっしょ」並びに「もっふんのうた」については素直に評価する。いい意味で高野氏の本性が見えるから。)
それにアクションシーンもあまり魅力的とは言い難い。バトルで使用する手段がオージャカリバー、キングズウエポン、オージャクラウンランス、クモノスレイヤー、ヴェノミックスシューター(、キングガブリガリバー)のみである。これは「玩具を買え」と言う主張を強調している気がする。そもそも「ガオレンジャー」の頃からそんな感じではあるが…いくら「王様」だからと言って武器、文明に依存しすぎるようなことはちょっと…うーん…特にギラとジェラミーは未熟な"自称"王様という立場だったのだから、その面での成長も見たかった。
最後にCGについて。
タイムレンジャーの方がCGのインパクトが強い!
タイムレンジャーは画面とCG技術が噛み合っていて、見ていてとてもワクワクした。が、キングオージャーは画面が先を越してしまったあまりCGがかなりチープに見えてしまった。言わば「うさぎとかめ」の現象が起こっているということだ。最初こそはすげぇという目で見れたのだが、どうも気になってしまう。多分ガタキリバコンボなどの反省から安定してCGを作るために予算を設定したのだろうが、それでも足元の影くらいはつけれるよね…?
少し残念でした。

見方を180度変えてみる〜ファンタジーとして〜

以上の理由から、私は「子供向け特撮番組」としてはまごうことなき駄作だと考えている。しかし、「ファンタジー作品」と見ればどうだろうか?そのような見方をすれば、紛れもない傑作、大作だと思う。なぜって?理由は、先ほど挙げた難解なストーリーないしそもそもの設定ががっちりしているからだ。
RPGのような、壮大な世界観が広がる「チキュー」。ここにはそれぞれ特色が全く異なる5つの王国がある。始まりの国の王は、侵略者(敵)に対する策を考えるが、一人の青年が王の独裁政治に反旗を翻し、物語が大きく動き出す…
このような漫画やアニメ、ライトノベルなどがあれば皆ワクワクして、ヒットするだろう。
だが忘れないでほしい。上記の内容で始まったのが、子供向け特撮ドラマ=戦隊である。だから駄作と感じてしまう。
「このストーリーの漫画が新連載だってよ」と「今度の戦隊こういうストーリーらしいよ」では湧いてくる感情がまったく違う。
X上では日曜日になるとキングオージャーの話題が多々上っていた。それは、キングオージャーを「ファンタジー」として捉えて視聴している大友が多いからだと私は推測する。
本来の子供向け特撮のあり方を履き違えていながらも、SNSによってこのようなムーブメントが起こるのはとても興味深い。

すなわち何を言いたいのか

脚本に関しては、クドカンが大河を書いた時の感覚と非常に似ている。「キングオージャー」はアニメでやれと言うのが私の感想だ。
キングオージャーは、戦隊においてはほぼ今までのテンプレートとは真逆の道を進んでいる。
今後あってはならない(と個人的に感じている)のは、戦隊に於いてこのような「オージャースタイル」が連続して量産されること。何年かに一回くらいの頻度で制作されるからまだ許せるのであって、基本は子供向けであることを忘れてはならない。
戦隊スタイルを取るか、創作スタイルを取るか。これでかなり変わってきます。
仮にオージャースタイルが何年も続けて作られれば、本当に戦隊が終わってしまうことにもなりかねないのでね。

良かったところ、評価したいところ

・世界観を見事に表していた衣装や小道具のデザイン←絶賛!!!!!
・キャラクター一人一人の個性
・(良し悪しはともかく)過去作やさまざまなサービス・キャラクターとのコラボ
・LEDウォールやCGに対する挑戦
・もっふん


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