女性社員

私とアンドロイド11 完

「うーん、まあ要するに、穂乃果が期待しすぎたってことでしょ?その人に。」
マキちゃんはビールを片手に言った。


簡単にまとめるとそうかも。


「うん。あの人だったら、もっとおしゃれなマンションに住んでいるハズだし、あんな汚い部屋じゃない、って思ってた。」


私だけの、私のための、完璧なアンドロイド。
じゃなかったの?


あんなにおしゃれで、イケてる風に見せといてさ、あんな部屋って。


それは無くない?


なんか騙された気分。


せめて、汚くても、こだわりのある部屋、とかであってほしかった。
得にこだわりがあるわけでもなさそうだし。。
見た目は完璧だったんだけどなあ。



「でもそんな完璧な人なんて居ないと思うよ?」

と言いながら、マキちゃんはおつまみをお箸でつまんだ。


「たしかに、もう王子様みたいに思ってた。」


知らない間にあのアンドロイドに期待している自分がいた。


それに、、
と穂乃果は思った。


部屋だけじゃなくて、あれ以上あの人に踏み込んで、私の理想から離れていくのが怖かった。


生活感


人間味


アンドロイド男のそういう普通な面なんて知りたくない。

「まあ、男なんてそんなもんだよ。」
と田中さんは言うと、ビールを飲んだ。


「私、田中さんみたいな人がいいなあ。全然イケメンじゃないけど。」と穂乃果は笑っていった。


田中さんは
照れながら「やっとわかった?」というと笑った。

穂乃果は「明日、新しい居酒屋を開拓しようかな~」
と言った。

マキちゃんと田中さんは
「また一人居酒屋?」「好きだねー!」といって笑った。

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