女性社員

私とアンドロイド8

あ。


穂乃果は、ついに見つけた。


人混みに紛れて、あの髪型、黒い髪、輪郭、肌の白さ、恰好。


間違いない。

穂乃果は尾行を開始した。
トコトコトコ

その人は、地下鉄に乗った。
穂乃果も慌てて同じ車両に行く。


チラっと彼の方を見た。
彼はつり革を持って、空中を見つめている。


穂乃果は空いている席に座った。




駅で男が降りる。
穂乃果は追いかけた。


駅の外に出ると、辺りはすっかり暗くなっていた。


ドタドタ


人混みの中に消えていきそうな男を必死で追いかける。

その男は、全く穂乃果に気づいていないようだ。







気が付くと、周りの人は減っていて、老人夫婦と、その男と穂乃果の4人だけだ。


男は、さらに細い道に入っていく。





これってストーカーかな?




ふと、穂乃果は不安になった。


でも
「面白いことは、起きるものじゃなく、起こすもの」
じゃん?
あの本が言うことはきっと本当。


こじつけかもしれないけど、穂乃果は本の言葉のせいにした。


それに、穂乃果はいま、すごく楽しい、と思った。
夜風が当たっている。


生きてるって感じがするじゃん。

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