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データ分析で、M-1グランプリの"高得点パターン"を探してみた

年に一度の漫才の祭典、M-1グランプリ。

毎年、数千の芸人がノミネートし、”日本で一番おもろい漫才コンビ”の栄光の座を争う。

決勝の持ち時間は4分間で、審査員の採点によって優勝が決まる。

最近では、”競技漫才”、なんて呼ばれたりしてる。

スポーツみたいな漫才大会。

フィギュアスケートなら、トリプルアクセル、ダブルループ。
モーグルなら、バックフリップとか何回転したか、で点数が決まるように。

エムワンにも、”高得点が取りやすい勝ちパターン”があるんじゃないか?

なので、分析してみた。

「エモーショナルアーク」という分析手法

小説や映画の”ヒットの法則”を分析する手法で「エモーショナルアーク」と呼ばれるものがある。

「エモーショナルアーク」
作中、劇中で使われる単語(セリフとか)が持つ「感情のスコア」を測定して、読者や視聴者にどのような盛り上がりを感じさせるかを見える化する分析手法。

例えば、「ロミオとジュリエット」ではこんな感じ、とのこと。

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物語の序盤に幸せのピークに達し、そこから終盤にかけて感情スコアが徐々に低下していることがわかる。

まさに”悲劇のストーリー"の展開そのもの。

バーモント大学のすごいチームが発見したところ、最も人気があるのは「下降→上昇」「上昇→下降→上昇」をミックスさせたエモーショナルアークらしい(上記リンク)。

漫才のエモーショナルアーク

これを漫才に適応してみると、以下のような分析結果となった。

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これは、2016のM-1グランプリ優勝者の銀シャリのお二人の漫才「ドレミの歌」のエモーショナルアーク。


上記のような文字起こしを素材にして、Pythonに取り込んで、各漫才のセリフ一つ一つの感情スコアを計算する(詳しくは後述)。

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すると、こんな感じで出てくる。

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で、グラフの見方は以下の通り。

●左から右に時間が経過
●赤線は、漫才のかけ合いの感情スコアを積み上げていったもの
●4分の持ち時間の中で、1分、2分、3分それぞれの経過で縦線
●横軸の1目盛り=1つのセリフ。なので、赤線の長さは「セリフのかけ合いの数(ラリー)」に比例
●つまり、縦線と縦線の間が長いほど、多くのかけ合いが行われたということ(※上記では、3分経過〜終わりまでがかけ合いが多い)
※1、2、3分の経過時点での、かけ合い(セリフ)をグラフ上部に表示
※”漫才の分析”のために手法を一部アレンジしてます。

このように、漫才の盛り上がり具合を見える化して、M-1で高得点を取るためのパターンを探してみた。

ちなみに、2016年の文字起こしが多く見つかったので、この年をメインに見てみる。

審査員から高い得点を取るための二つの手法

いきなりだが、結論。
M-1の審査員から高い得点を取りやすい漫才は、以下のような傾向がある。

その1:ラスト1分のかけ合いの量が多い
その2:エモーショナルアークが終始右肩あがり

一つずつみていく。

その1:ラスト1分のかけ合いの量が多い

以下の二つのエモーショナルアークを見比べてみよう。

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前者は、2016年決勝のカミナリのお二人の漫才「川柳」(4:00~)。
点数は平均88.2点。5人の審査員のトータルで441点。結果は7位

後者は、同年のスーパーマラドーナのお二人の漫才「エレベーター」(26:54~)平均点91.8点、トータルで459点。結果は3位

コンビの漫才の、
・3分経過時点からのかけ合いの量(赤線の長さ)と
をみてみると、

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3分経過時点からのかけ合い(いわばラストスパートに当たる部分)は、前者よりも後者の方が赤線が長く、かけ合い量が多いことがわかる。

以下は、2017年M-1の、
・ゆにばーす「ホテルのネタ」:8位(平均89.4点、0:13~)
・和牛「ウェディングプランナー」2位(平均93.3点、35:17~)

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同じく、ラストスパートのかけ合いの多さが多いほど得点が高くなる傾向がある。

以上から、「後半ラスト1分の掛け合いの量を多くする」が、エムワンの高得点をとる一つの勝ちパターン!!!(かもしれない)

その2:エモーショナルアークが終始右肩あがり

続いて二点目。
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得点が高い漫才は、初めから終わりにかけて、右肩上がりの感情曲線になっていることが多かった。

以下を見て欲しい。

2016年のM-1で得点が高かった順にエモーショナルアークを並べたもの。(※文字起こしが見つからなかったものは割愛)

銀シャリ_ドレミの歌_1位(平均94.0)

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和牛_ドライブデート_2位(平均93.8)

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スーパーマラドーナ _エレベーター_3位(平均91.8)

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さらば青春の光_能やん_4位(平均89.6)

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カミナリ_川柳_7位(平均88.2)

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上位3位の漫才は、終始右肩上がりのエモーショナルアークが描かれていて、初めから終わりまで盛り上がり続けている

一方、4位はエモーショナルアークのアップダウンが激しい
7位は、途中までは右肩上がりだが途中から横ばい、になっている。

「終始右肩上がりのエモーショナルアーク」になる漫才であれば、高得点が取れる!(かもしれない)

これであなたもM-1チャンピオン

以下の要素を取り入れば、高得点が狙えるかも、、、、。

その1:ラスト1分のかけ合いの量が多い
その2:エモーショナルアークが終始右肩あがり

けど、こんな堅っ苦しいことせずに、ただただ面白い漫才で笑えれば、人生幸せ。

自分で作ってみたい!って漫才師の方はコチラ


貴重なお時間で読んでいただいてありがとうございます。 感謝の気持ちで、いっPython💕