スカートの中の戦争
見慣れた自分の家がまるで知らない建物みたいに見えて、その屋根が影を落とすところまで足を踏み入れるのにすこしためらった。
水色のリボンのついた新しいワンピースを身にまとったあたしはまるで別の女の子みたい。お姫様ができたわよとお店のママさんがにやにやしながらつけてくれたイヤリングが耳元をくすぐるみたいに揺れて、すこし大きすぎるそれに両側からやさしく引っ張られてるみたいでぼんやり頭が重かった。
身ひとつで自宅のアパートを引き摺り出されて以来ずっとお店で寝泊まりしていたあたしには鞄な