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(随筆)深夜のサービスエリアはエンターテイメント

ゴールデンウィークはじめのこと。
深夜のサービスエリアの駐車場で、たくさんの車が電気を消してならんでいた。

その車内に人影は確認できない。施設の利用をしているか、遠方からの運転に疲れ、座席を倒して仮眠しているのかもしれない。

藍色の空と大量の車を眺めていたら、オカルトの世界をみたような気がした。

誰もいないと思っていた車から視線を感じ、ふと「何者」かと目が合ってしまったら。そしてニヤリと笑われたら。
自分の車に戻ったはいいが
「見たな」
と何者かに車を揺すられたら。

私は休憩も忘れて、慌ててエンジンをかけるだろう。いわゆる人間ならいいけれど、人間の皮をかぶったバケモノも紛れ込んでいるから、よけいに恐ろしい。

まあ、そんな経験はまだないけれども。

でも、楽しいよね。
あらゆるところから車と人が集まり、休憩時間を楽しんでいるサービスエリア。車という小さな箱の中で、どんな会話が広がっているのか。車から出てきたスエット姿の女性は、昼間どんな鎧を纏って戦っているのか。

深夜のサービスエリアって、そういう少し気の抜けたおうち感と、その隙間を狙って暗躍する怖い世界観が同居していて興味深い。

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