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ランチ付きjazzライブ シーフードカレーライス

夏はやっぱり、カレーライス。
梅雨の晴れ間・・・というには重たい灰色の空に負けず、ランチ付きのジャズライブに繰り出していた。てっきりメニューは決まっているかと思いきや、シーフードカレーか魚介のパスタを選べると言う。カレー?イタリアンレストランなのに?しかもメニューの一番最初。自信ありげな心意気に楽しくなって、カレーライスでお願いした。

アイスティーでのどを潤して、デッキテラスで風に涼む。七月になっても気温が低く、朝など毛布が手放せない。湿気ばかり温帯気候、むしむし密度ばかり増していくから、ヘルシーな蒸し鶏にでもなった気分だ。ここ最近の猛暑によるカンカンの鉄板焼きはごめんだけれど、冷夏は冷夏で農作物が心配になる。

休日の気楽さでくつろいでいると、カツ、カツ、スリーカウントでミニライブが始まった。じゃじゃっとギターが切り込んで、生の迫力に圧倒される。空気の震え、音のつぶが部屋いっぱいに満ちていく。お客さんは満員御礼、楽器から放たれた響きが反響しぶつかり合い、一体感を作り上げる。音楽には詳しくないけれど、ライブの魅力は理解できる。この空気のゆらぎは音源では再現できない。

自己紹介がてらの一曲目を終えたタイミング、はぁはぁ息を切らせたMCをBGMに料理が運ばれてきた。
あたたかく重たい平皿を受け取り胸の内で歓声をあげる。
濃い目のルーにはてんこもりのシーフード。真っ先に主張する殻付きのあさり、誘われるままちょいちょいっとスプーンで貝柱からすくいとり、ぱくっ。ぷりん、と柔らかく弾力のある歯ごたえに頬がほころんでしまう。きっと別茹で、後入れなんだろう。ほのかな塩気と貝特有のじんわりしたうまみ。嬉しいことにたっぷりどっさり盛られている。シャイに隠れたちいさな丸ごとのイカ。ぷりっぷりのエビもごろごろ。 かちっ、からん、あさりの殻を避ける小皿はみるみるいっぱいになり、ボンゴレを頼んだみたい、とおかしかった。
そうして、すっかり溶け込んでしまった玉ねぎのコク。ナスやズッキーニはとろんと素揚げの甘み、まとめ上げるカレーの手腕。

これは、夏の一皿なんだろうな。もちっ、ぷちっとした玄米のライスを噛みしめる。
海の幸たっぷり、夏野菜のイキイキとした生命力。ジメジメと低気圧に負けそうな体に喝が入る。はぐっ。くにくにしたイカは細い足からエンペラまで、バリエーションに富んだ歯ごたえが楽しい。
ライブは三曲目に入っていた。フルートの澄んでのびやかなメロディを、チェロの穏やかで重厚なベースと軽快なドラムがしっかり支えている。ギターはベースに寄り添ったり、フルートにじゃれついたりして遊んでいる。

カレーで内側から、バンドで外側から、素材を活かした熱気あふれるハーモニーを浴びせられる。低気圧に憂鬱になっている暇はない。
もう、夏はすぐそこだ。