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雑記#1 白い人事と、黒い人事と、キャリア選択。

読書記録中心に更新しようと思っていたが、取り上げたい本がなんとなく見つからなかったので、noteでは読書記録に加えて思うことを整理して、雑記として記録していこうと思う。

今日は「白い人事と黒い人事」について。書こうと思ったのは以前SNSでこの話題を見たことがきっかけ。白い人事(ホワイト人事)や黒い人事(ブラック人事)という分類は今に始まったことではなく、古今東西話題になることではある。この白黒人事について初めてちゃんと考えてみたが、突き詰めると人事部内の“業務”には白や黒の要素が強く表に出る場面あっても、全社における人事の“役割”は白や黒に分かれる話ではないよねという思いに至った。人事を長く経験している人には当たり前だろうという感じかもしれないが、今回の話は割と若手や人事になって間もない人向けと思っていただければと思う。また、今もし人事の仕事をしていてこの白い人事黒い人事にピンときて、そして悩んでいるような場合は、ぜひ最後まで読んでみてほしいと思う。

昔からよく言われる「白い人事と黒い人事」

まずこの白い人事と黒い人事とは何か。色んな話を見聞きしたのを自分なりにまとめると、人事の業務を「組織や人の闇を見る頻度の多さ」で白か黒かラベリングしたものを指しているのだと思う。ここでいう組織や人の闇とは、人の弱さや負の感情、組織の課題などと考えている。

白い方でよく言われる業務は、採用、研修、組織活性など。人やその集合体である組織の可能性を信じて、才能の開花や能力の発揮・向上に期待して戦略づくりや支援する要素を含むもの。結果として、人の夢、希望、情熱などポジティブな感情を目の当たりにすることが多くなる。人や組織のいいところを見つけて育てて、従業員に対してはサポーターのような役割を果たすことが多いし、感謝されることも多い。

一方黒い方は、評価、給与査定、労務、懲戒、さらにはリストラなど。規則や制度に則り組織の秩序を維持したり、従業員としては望ましくないことでも経営判断として履行しなければいけないものに対処する要素を含むもの。結果として、人の欲深さや悲しみ、動揺などネガティブな感情と向き合うことが多い。

確かに、業務レベルでは、比較的ポジティブな感情に触れるものと、比較的ネガティブな感情に触れるものはある。その意味で白や黒に分けたくなる気持ちもわかるし、担当者が複数いれば担当者の適性に応じて役割分担をする際に感覚的には考慮に入れるポイントかもしれないと思う。

どの人事機能でも、確実に白い要素と黒い要素がある

でも、よくよく観察すると、白か黒かに分かれる話ではないのだ。白い方に分類される採用であっても、例えば現任者にそのポジションを離れてもらうために秘密裏に後任の採用活動をしているということが実はあったりする。研修であっても、例えばローパフォーマーと言われる人たち向けの研修で、自身の業績が悪いことを自覚させて努力を促し、それでも業績が上がらなければ退職勧奨をするような研修もある。これらは上述の分類からすると黒い人事に該当するだろう。

黒い方に分類される評価や給与査定でも、年功序列だった評価が成果に応じた評価に変わることで若手の早期抜擢を後押しできたり、労務において就業環境が期待通り十分に揃わない中でもなんとか育休から復帰をする意欲のある人を支援できたりする。これは白い人事に該当するのではないだろうか。

白と黒やその矛盾を知った時が専門やキャリア選択の岐路なのかもしれない

白い仕事と思っていたけど黒い、黒いと思っていたけど白い。これは現時点で採用の仕事をしていようが評価制度づくりの仕事をしていようが、担当者で実務をやるフェーズから一段深くやりこむか、視野を広げるか、視座を上げればすぐに出会う。出会えば、白とか黒とか分けられないのがわかる。なぜなら表裏一体だったり不可分だったりで、まさしくこれが人事の仕事だとわかる時だから。白と黒の間をとってグレーというわけでもなく、(ちょっと意味が変わってしまうし)、色なんて無いんじゃないかなというのが思うところ。

時に人や組織において可能性に満ちながら闇にまみれていて、一見筋が通らなそうなものをどう見立てどう判断するか、どのような意思決定を人事部門としておこない、トップに上申・最終決定してもらうのか。それを考え実行する礎となるバランス感覚が必要であり、それこそ人事の仕事だと思う。

その出会いを楽しいと思うか、出会わなかったら良かったと思うかで、どのような人事のキャリアを作るかが決まってくるのかもしれない。ある人はこのバランス感覚を徹底的に磨く道に進むかもしれない。ある人はハラスメント問題の解決のプロを目指すかもしれない。ある人は社内ヘッドハンターの道が最適かもしれない。ある人はそもそも秘密裏行動や本音と建前が存在する組織を変えようと動くのかもしれない。もしかしたら人事以外の道のほうが楽しいと思うかもしれない。選択の良し悪しではなく、興味関心と適性次第でこれからを決めるいい岐路なんだと思う。

この矛盾やもやもやをチャンスとして楽しんでしまおう

なんでこんなことを書こうかと思ったかというと、私自身がこの「バランス感覚」に悩んだことがあるからだ。ある時は採用の候補者としてぜひ来て欲しいというスタンスで向き合っていた人に、入社後は勤怠の不備で厳しめに対応しなければならないことがあった。または、自社へのエンゲージメントを高める施策をしつつ、ある部門だけ分社化する経営判断によりある程度強制的に転籍の対応をすることもあった。経営への貢献と社員一人一人の幸福追求の狭間や、白や黒の共存を使命として持った時に、最初は戸惑ったし、悩んだ。でもこれこそが人事の仕事であり、答えのない最適解を追求する仕事に、私はやりがいや面白みを見つけてしまった。そのためこの領域で仕事をし続ける選択をしている。

人や組織にまつわる仕事をしていると、出会う悩みだと思う。人によっては精神的に疲れてしまう人もいるくらいだ。そういう状況を知っていると、安易に楽しもうなんて言えないが、でも出来る限り、この矛盾やもやもやは楽しんじゃった方がいいように思う。誰もが経験できることじゃないし、ここを越えると人としてのキャパシティやキャリアの選択肢が増えると思うから。

この類の話は、結構周囲に相談しにくかったりする。もし今、ここに書いたことようなことが実際にあったり、悩んだりしている人は、その悩みはご自身だけじゃないことを知ってもらいたいし、まあこんなもんだよね(笑)と軽く受け止めつつ、自分の向き不向き、これから会社の中でどういう立ち位置でいたいのか、一度深く考えるいい機会だと思って、選択肢が増えることを楽しんでしまうのがいいのではと思っている。

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