楽曲『セルフカット』の解説

去る二月、ニコニコ動画で開催されたボカコレ2024冬という格闘技のイベントがありまして、
私川﨑ノーチラスも武に生きるものとして己が研鑽の道の「現在地」を知るべくTOP100ランキングというカテゴリ(バーリトゥードルール)へ参加しいたしました。

結果としては「振るわなかった」以上でも以下でもなかったのですが、
他の参加者、いや闘技者の方の技に感銘を受けたり、自身が進むべき道がより明確になったり、自身の「武」に対して多くの嬉しい反応を頂けたりと、非常に有意義で楽しい時間を過ごすことができました。

さて、今回は私川﨑ノーチラスがボカコレ2024冬に参加するにあたって制作した楽曲、「セルフカット」について解説させていただきます。

普段自身の楽曲のテーマを解説したりといったことはあまりやらないというかやったことがないのですが、(あくまでもソーシャルネットワーキングサービス上では、という意味で飲み仲間には日頃から濃厚な解説を“生”でイッてもらっている)
なぜ今回わざわざNoteにアカウントを設けてまで解説しようと考えたかというと、X a.k.a Twitterにて下記のようなご感想をいただいたことが発端になります。

(作曲者冥利に尽きる嬉しいご感想でした、KAWAHAZEさん感謝いたします。)

上記のご感想のどこに思わず筆を執るほど感銘を受けたかを認めるには、
楽曲「セルフカット」のストーリーを説明する必要があります。

主人公は進学を機に親元を離れた女の子です。
彼女はちょっとばかり自立した社会生活を送りづらい特性を持っており、初めての彼女の一人暮らしはそれはもうボロクソだったのですが、
クソ大学生特有の自堕落な恋愛を経験したことで生活は更にどんどんボロクソになっていってしまいました。

その後失恋を経てボロクソ具合は最早留まるところを知らず、別れの痛み自体もまあ本人としては洒落にならないんですが、それ単体ならともかく、
そこに大学に行けてなくて単位が危ない、バイトもやってないんで金欠、
髪は切ってなくてボサボサだしプリンだし(当然のようにセルフカラー)外に出られるような見た目じゃない…と、
社会との断絶(実は今からちゃんと講義出れば卒業までに単位間に合うし連絡できる友達もいるしそもそもが親の庇護下だし全然断絶してない)から来る不安や自己嫌悪が積もり積もって混じり合い、どうにも身動きが取れなくなってしまったわけです。

それでもそんな生活と自分自身をどうにかしなきゃって思い立ち、何をやるのかと思ったらよりにもよってセルフカットという割と最悪寄りの選択…果たして彼女の社会復帰は叶うのか?

上記が『セルフカット』という楽曲のストーリーです。

設定

何故自堕落な学生の幼気な悩みというテーマをボカコレに持っていく必要があったのかは置いておいて(川﨑にも分からん)、とにもかくにも楽曲のテーマとして描きたかったのは下記になります。

・不器用な性質故に生きづらさを抱えている人や追い詰められていると感じている人は、自分の苦しみを乗り越えようとするとき不器用が故に自傷じみた行為、あるいは自傷そのものを手段として選んでしまいがちだし、それが招いた結果として負のループに陥ってしまいがち

そういう営みへの共感と親近の情を曲にしたかったわけです。
もうクッソ内省的。
MVは終始鏡と向き合った構図ですが、それが表している通りひたすら自分と対話している楽曲になっています(MVの件は完全に後付け)。
これは割と良い社会派ソングになったのではないか、と思っていました。
作曲者自身は。

そこに寄せられた“「失恋と断髪」っていう表現~”というご感想。
成程、と思いました。
失恋したので髪をバッサリいく。
そこの要素を取り出すと完全にベッタベタな恋愛ソングです。
そこの視点が本当にスッポリ抜け落ちていました。

そもそも川﨑個人としては、「失恋したから髪を切る」という風潮自体なんじゃそら、どういう通過儀礼やねんと思っておりました。
そりゃあ気分は変わるかもしれないけど…うーん…。

ですが、今回無自覚ながら、自身の手で紆余曲折あるにせよ失恋→髪を切るという行為のロジックに一つの回答を出して腹落ちできたわけです(あくまでも自身の中では、ですが)。

その視点を得てから拙作『セルフカット』を聴き直すと、これがまた一味違って聴こえるんですね…。
大袈裟に言えば過去の創作物の中で失恋して創造者に髪を切られてきた女性たちの情念がスパイスになっているような気がします。
先入観によって楽曲の味わいが全く変わるという現象をここまではっきり自覚したのは初めての経験で、とんでもない衝撃を受けました。

作者とはいえ自身の作品に先入観を持ちすぎると、作品の別の側面の魅力に気付けず楽曲のPRの方法を誤ったり、頂いた感想に対してバイアスがかかってしまって意図が読み取れなかったり、あんまり良くない結果を招くケースもあるかも知れませんね~って思いました。
っていうか言いました。自分自身に。

そういったわけで、今回は楽曲解説…というか楽曲に頂いた感想に価値観を変えられたよって話でした。

また何か思いついたら記事書きます。
それでは。

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