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最高速度データの更新を改善した話

はじめに

こんにちは、38です。
ナビタイムジャパンで道路データの保守運用を担当しています。

当社では、ユーザーの皆様に最新の情報を提供できるように日々データの収集や更新を行っています。
今回は道路データの1つである最高速度データの更新について紹介します。

ちなみに、新規開通道路の対応についてこちらの記事で紹介しておりますので興味がございましたら併せてご覧ください。

最高速度の引き上げ

近年、全国の道路で最高速度規制の点検や見直しが実施されています。
下記のように一部の高速道路では100km/hを超える最高速度が指定されるようになりました。

2020年 新東名高速道路(御殿場JCT付近~浜松いなさJCT付近)で120km/hの本運用開始

2021年 東関東自動車道(四街道IC付近~成田JCT付近)で110km/hに引き上げ

データ更新の課題

当社では主に地図ベンダー様より道路データを提供いただいています。
それを基準として各サービスで使えるようなデータに変換してリリースすることで、ユーザーの皆様に最新の情報を提供しています。

しかしデータを受け取ったタイミングによっては更新が間に合わず、最高速度データの反映が数か月程度遅れてしまうという課題がありました。
現実世界では最高速度が引き上がっているのにサービス上では適切に表示されないという状態になってしまうわけです。

この課題を解決するため、地図ベンダー様に提供いただいたデータに加えて、当社で収集した情報を元にデータを作成して更新できるような仕組みを整えました。
2017年に最高速度の引き上げが試行されて以降、この仕組みの導入によって迅速にデータを提供できるようになりました。

2022年10月に東北自動車道で引き上げが実施された際も、従来の方法より1か月以上早くデータを更新することができています。

何を改善したのか

1.データの収集

全国の自治体や道路管理会社の情報を定期的に収集するようにしました。
高速道路の引き上げについては特に各都道府県警の情報を参考にしています。

2.データの管理

従来はエリア毎に分かれた大量のファイルを管理していました。
このままでは煩雑で作業時のミスも発生しやすいため、全国の最高速度データをデータベース上で管理するようにしました。

3.データの作成

道路ごとに割り振られたIDを元に、道路ネットワークデーターに最高速度データを紐付けることで必要なデータを作成しています。
CI(継続的インテグレーション)ツールを用いて処理を自動化することで、不正なデータが混入しないような仕組みになっています。

データベース上で管理するようになったことで、GISソフトでのデータの確認も容易になりました。
主にQGISというソフトで地図上にデータを表示して確認しています。

例えば東北自動車道の引き上げ対応についてQGISで更新前後の値を比較すると下記のようになります。
元々100km/hで登録されていたデータが120km/hで登録されたということが視覚的にも分かるようになっています。

左:更新前(100km/h) 右:更新後(120km/h)

各サービスへ反映

このようにして作成したデータをリリースすることでナビタイムジャパンの各サービスに反映されます。
アプリ上でも「120」の表記を確認できます。

カーナビタイム

今後の運用

今回紹介した仕組みを用いることで、最高速度データを迅速に更新することが可能になっています。

例えば2022年12月に実施された仙台南部道路(今泉IC~長町IC)のデータも変更後間もなく更新することができました。

また常磐自動車道や首都圏中央連絡自動車道で今月末に引き上げがあることも発表されており、これらのデータの更新準備も進めています。

おわりに

今回紹介した区間について、必ずしも引き上げられた最高速度で走行しなければならないということではありません。
交通状況や天候に応じた安全な速度で走行してください。

最後までお読みいただきありがとうございました。
今後も皆様の快適な移動をサポートできるよう努めて参ります。