新宿

私が好きなものはなんだろう、と考えたとき、最初に浮かんだのが新宿だった。

彼氏と落ち合いやすいのが新宿というのもあり、社会人になってから週末は毎週のように新宿に通っている。

駅から半径100メートル以内で好きな服がだいたい揃うところとか、大きな映画館があるところ、いろんなカフェがあるところも無論好きだが、私は歌舞伎町が大好きだ。

歌舞伎町を通るたびに、治安悪すぎるだろと思う。道も汚いし。じゃあどこが好きなのか。それは、歌舞伎町に漂う"非現実感"である。

「こちらは新宿区役所です。新宿区では、条例で客引きが禁止されています。今すぐやめなさい!」と強めのトーンで警告音声が流れていて、同じスピーカーから横澤夏子やコロチキのナダルが「客引きは全員ぼったくりです。ついていかないでください!」と繰り返し主張しているのに、昼間から客引きが何人もいて、歌舞伎町を歩く人々に積極的に声をかけている。

彼らは決まって、「居酒屋ないすか?鳥貴族、赤からご案内できます!」と言ってくる。

しかし私は知っている。鳥貴族の店舗には、「鳥貴族では客引き行為を一切禁止しております。当店を装った悪質な客引きにご注意ください。」と注意書きが書かれていることを。
(辛いものが苦手なので赤からが客引きをしているかは分からないが、おそらくしていない気がする。しなくても人気だろうから)

すなわち鳥貴族を紹介できると言っている客引きのお兄ちゃんは全員嘘をついているわけだ。

新宿区の条例にそむき、横澤夏子とナダルの叫びを無視して客引きをし、さらに嘘までついている。

だから私は、鳥貴族の名前を出す客引きに出会うたび、この人めちゃめちゃ悪いことするやんと思って笑いそうになってしまう。

きっと、歌舞伎町の非現実感が、彼らに異常な悪さをさせているのではないかと思うのだ。

ごちゃごちゃしていて騒々しくて、汚くて、いろんな人がいて、悪いことをしてもその景色の一部にすぎない、なんなら歌舞伎町を盛り上げているとすら思える、そんな雰囲気があの街にはある。
二子玉川や恵比寿だったら、彼らも大人しくシェイクシャックを食べているだろう。

夜になると、歌舞伎町の非現実感はさらに増す。

看板はどれも原色がやたら多く、まぶしいくらいに光っている。
コンビニの前には金髪のにーちゃんねーちゃんがしゃがみこんでかばんをあさっている。
酔いつぶれた大学生とおぼしき女の子を、垢抜けない男の子たちが介抱している。
私を含めた通行人は、それらを全て無視して、特に気に留めることもなく通り過ぎていく。

カオスである。
ここが世紀末かとすら思うこともある。
いまこの瞬間に地球が滅びるんじゃないかと不安になる。

歌舞伎町は、人間の身勝手さとか邪悪さとか冷たさとかが凝縮されている街だ。

電車ですぐ行ける距離に、こんなに混沌した場所が存在している、その事実に私はワクワクする。

客引きはしないし、コンビニ前でたむろもしない、ただの通行人に過ぎないが、これからもどんどん歌舞伎町に通いたい。

そして、本当にこの世の終わりが訪れる時が来るとするなら、ぜひ歌舞伎町でその瞬間を見届けたいと思う。

このnoteも歌舞伎町のように、好きなものをいろんなジャンルでカオスに書き連ねていきたいも思いますのでよろしくお願いします。

#新宿 #歌舞伎町





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