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Spotifyでは、鳥肌級の「良い曲」に出会えない理由

私が経営している株式会社クロスフェーダーでは現在、新しい音楽サービスを考えています。
その中で、音楽を聴くことにまつわる課題について、メンバーと一緒にいろいろ考えています。特に盛り上がったのが、Spotifyを始めとしたストリーミングサービスでは、鳥肌級の「良い曲」に出会えないのではないかという、話です。
今回は、当社CMOの武藤の筆でお送りしたいと思います。よろしくお願いします。

「良い曲」ってなんだろう?

人にオススメしたいような鳥肌級の良い曲、知っていますか?この記事を読んでいるということは、もちろん知っているでしょう。そもそも音楽に興味を持っている方でしょうから!(笑)

ではその曲は、一体何が「良い」ですか?どうして良いと思いましたか?コード進行が独特、奏者のテクニックがすごい、メロディラインがエモい、きっと挙げればキリがないでしょう。「良いなぁ・・・!」と感じる要素には様々なものがありますよね。

今挙げたのは、曲そのものが持つパワーでしたが、他にもシチュエーションやタイミングも大事だと思います。例えば夕方のキャンプで火を眺めながらとか、友達との家飲みで聴かせてくれたとっておきとか、クラブで楽しくお酒と音に酔いながらとか・・・。

更には、アーティストの見た目やダンスがカッコいい、ライブの盛り上がりがすごい、知っていると流行に乗れている(イケてる)と周りが評価してくれる、彼氏/彼女の影響で・・・、など、「良いと思う」あるいは「好きになる」には、数え切れないほどのパターンがあります。

Spotifyなら、良い曲とも出会いまくれる!・・・はず?

さて話しは変わりますが、ストリーミングサービスは使っているしょうか?私も、もちろん使っています。どのサービスも数千万から1億というとんでもない数の曲を月1,000円程度で聴けるなんて、なんとも良い時代になりました。1曲のCDやレコードを買っていたころからは考えられないほど曲に触れられるようになりましたから。

ああ、これだけたくさんの曲を聴けるなら、みんなさぞかし良い曲と出会いまくってるんだろうなぁと思っていました。しかし、私の周りの音楽好きの方々に伺ってみると、老若男女みんな口を揃えて「最近良い曲に出会えていない」「新しい曲やジャンルを開拓できていない」と言います。いやいやご冗談を!(笑)1億曲に今すぐアクセスできるのに、「良い曲に出会えない」なんておかしな話ですよね。

でも、みんなこれに真剣に悩んでいることがわかり、私はなぜそんな事が起きているのかをじっくり考えてみることにしました。

結果、1曲1曲を大事に聴かなくなった

細かい知識が無くても、演奏技術が無くても、ツールの力であらゆる人によって作曲が可能になった現代、聞くに耐えないような曲は(そういう目的で作られたのでなければ)そうそう無いと考えます。それでも「良い曲に出会えない」というのであれば、問題はむしろ聴き手側にあって、実は「良い曲」を聴いているのに、そうと気づけていない可能性があります。

それでいうと、思い当たる節があります。今の若い方にはもはや馴染みが無いかも知れませんが、少し前の時代では、曲を聴きたければまずお店でCDやレコードを買ったり、友達から借りたりしていました。音楽を聴くためのコストは数千円以上かかるのが当たり前でした。そうした頃は、買った曲を何度も何度も繰り返して聴いていました。1曲1曲にしっかりと向き合っていたのです。(もったいないから!(笑))

ところが、ストリーミングサービスが革命をもたらしました。1曲を聴くのにかかるコストがほぼ無くなったのです。これはとてつもない利便性を与えると同時に、1曲1曲に向き合って大事に聴くという聴き手側の姿勢を奪っていきました。

音楽とはとても奥深いもので、しっかりと聴かないと良さがわからないことも多いのです。次々と新しい音楽を湯水のように耳に流し込んでも、それではかえって聴き手の感性が死んでいってしまうばかりではないかと危惧しています。

「良い曲」に出会いに行こう!

そんな状況ですが、悲嘆に暮れる必要はありません。引き続き「良い曲」に出会い、私たちの感性を鋭く保つためには、次のようなことを心がけると良いと思います。

友達にオススメを聞いて、一緒に聴こう!

音楽に詳しい友達に曲をオススメしてもらうの、超オススメです!なぜその曲をオススメしてきたのかを考えたり、この友達はこういう曲が好きなんだなという発見をするなど、考えながら曲を聴くことができます。更に、その友達みんなと一緒にそれらの曲を聴いて感想を言い合うのはもっとオススメです!これ以上に1曲1曲に向き合って聴けることは無いかも知れません。

たまには曲を買ってみよう!

実は、ストリーミングサービスにはアーティスト側の儲けが減ってしまうという問題点もあります。気に入った曲やアーティストのアルバムなどは、思い切ってmp3などを購入するのもオススメです。もっと大事に聴けるようになるかも?!ちなみに私は友達にオススメされた曲は全て購入しています。さすがに結構な出費です。(笑)

ライブやクラブに行こう!

アーティスト本人が持つ熱量とはすごいものがあります。それを肌で感じに行くこともオススメです。誰かが人生をかけて作った曲を、ちょっと聴き流すことはできないですよね。これも曲と向き合うことができる方法です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。聴ききれないほどの音楽と出会えるようなったからこそ、「良い曲」に出会いにくくなってしまったジレンマ。これを乗り越えないと、私たち聴き手は次のステージに進めないのかも知れません。ぜひ一緒に、「良い曲」に出会いにいきましょう!

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