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逃したくない初来日!大人にこそ聴いてほしいブラス・ミュージックの現在形。

英国の新世代を担う主要金管奏者によって結成された七重奏団「Septura」(セプトゥーラ)が6月中旬に初来日ツアーを開催します。

6/14(金)東京公演 @宮地楽器ホール 大ホール
6/16(日)茨城公演 @茨城県立県民文化センター・大ホール
6/18(火)京都公演 @京都コンサートホール アンサンブルホールムラタ

セプトゥーラは、ロンドン交響楽団、フィルハーモニア管弦楽団、ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団、BBC交響楽団、バーミンガム市交響楽団、バーゼル交響楽団、オーロラ管弦楽団などで首席を務め、ロンドンの王立音楽院や王立音楽大学、バーミンガム音楽院で教鞭を執る超優秀なプレイヤーたちによって結成された金管七重奏団。トランペット3、トロンボーン3、テューバ1という独自の編成。E♭トランペットやE♭テューバ(バス)を使っているあたり、いかにもイギリスのアンサンブルという印象ですね。

イギリスのブラス・アンサンブルと言えば、1970~80年代に世界中のブラス・プレイヤーたちに大きな影響を与え、もはや伝説的な存在であるフィリップ・ジョーンズ・ブラス・アンサンブル(PJBE)や、それを継ぐ存在として活躍するロンドン・ブラスがよく知られていますが、その後新たな存在はなかなか日本では認識されずにきたように思います。

セプトゥーラはすでにアルバムを7枚発売しているものの、これまで来日がなかったこともありまだまだ日本での知名度が高いとは言えない状況。しかしその実力は折り紙付きで、個々の奏者の技量やアンサンブル能力の高さ、ついでに英国紳士らしくビシッと決まったスーツ姿などは言うまでもなく、なによりどこより音楽的にすこぶる完成度の高いことが、耳の肥えたブラス愛好家や、室内楽好きなみなさんに強くお勧めしたい最大の理由なのです。

上記リンクはセプトゥーラのディスコグラフィー。

ブラス・アンサンブルと言えば、華やかな楽器の特性を生かしたエンターテイメント・プログラムがつきもので、時にコミカルな編曲や演出込みで楽しませてくれるもの、という印象をお持ちの方も多いはず。またそれが逆に一部の音楽愛好家をこのジャンルから遠ざけてきた要因であることも否定できないのではないでしょうか。

セプトゥーラの目標は「真に芸術的な表現のできる演奏形態としてブラス・アンサンブルを再定義する」こと。様々な時代、ジャンル、作曲家のクラシック音楽を真正面からとらえ直し、独自の編曲によりこの編成のための作品にしてしまう…ブラス・アンサンブルによる「事実に反する歴史」を創り出してしまおうということ!

いや、ちょっと意味がわかりません…

という方は大至急彼らの YouTube チャンネルへ。

例えばこの曲、地元イギリスの音楽に取り組んだ最新アルバム『金管七重奏のための音楽 第6集』に収録された、エルガーの《弦楽セレナード Op. 20 第2楽章》などは、おそらく原曲をよく知る人でも楽器編成による違和感はほとんどなく、純粋に音楽として楽しむことができるでしょう。彼らの実に細やかなアンサンブルが堪能できる名作、名編曲、名演奏です。

まぁね、レコーディングだからね。

という方には、昨年のアメリカツアーのライブ動画、ドビュッシーの前奏曲集 第1集 から《ミンストレル》をどうぞ。

ピアノ音楽独特の細かなアゴーギクを、見事に7人のアンサンブルで表現しています。こうした音楽をブラス・アンサンブルで再現する場合は、ともするとわざと特定の奏者/声部を大きく目立たせることで乱れを回避したりするものですが、彼らの演奏にはそうしたハッタリ感は皆無。こうしたニュアンスに富んだ表現をブラス・アンサンブルで実現することの難しさをことさらにアピールすることなく、音楽そのものをスマートに聴かせてくれるところが、いわば『セプトゥーラを推せる理由』なのです。


さて、このようにアンサンブルとしては真摯で実直な彼らですが、メンバー1人ひとりはもちろん個性豊か。

特にロイヤル・フィルの首席を務めるトロンボーンの マシュー・ジー (アメリカに同じスペルのジャズ・トロンボーン奏者がいます)はユーモアとアイディアに溢れた人物のようで、前述のYouTubeチャンネルではちょっと変わった実験動画(?)を観ることができます。

こちらは言わば予告編としての趣旨説明とダイジェスト。本編動画にはこの動画から飛べます。

ここで彼がなにをしているのかと言うと………


トロンボーンものまね(笑)


ロイヤル・アルバート・ホールで開催された「Classical Spectacular 2016」というフェスティバルで、彼の所属するロイヤル・フィルが4日間のうちに6回 ラヴェルの《ボレロ》を演奏する機会があったようで、マシューはこの『悪名高いトロンボーン・ソロ』の1回1回を、歴史的なレコーディングをカバーするかのごとくスタイルを変えて演奏し、その様子を自ら手元のカメラに収めるという暴挙に出ました。

最後の1回はプラスティック製の楽器『pBone』での演奏というおまけつきで。

しっかり過去のレコーディングと奏者への敬意を表しつつ、フェスティバルの本番を自らのアイディアで楽しんでしまう彼もまた、推せます
※ただし今回の来日ツアーに彼は参加しないようです。悪しからず!


こうして、様々な意味で大人が楽しめる要素に溢れた セプトゥーラ を、ぜひとも違いの分かるあなたに聴いていただきたいのです。レコーディングもステージも。そして近い将来、彼らのスタイルで演奏してくださる(彼らは楽譜も出版しています)ブラス・プレイヤーのみなさんが増え、再来日が実現することを楽しみにしています!

Septura Official Web Site
http://septura.org/

公演情報:Pro Arte Musicae
https://www.proarte.jp/shop/products/list.php?category_id=19

Spotify で聴く
https://open.spotify.com/artist/4hrdF7Xgeh69KNDuN99f0G

Naxos Music Library で聴く
https://ml.naxos.jp/artist/219249

Apple Music で聴く
https://music.apple.com/jp/artist/septura/894920866

楽天ナクソスミュージックストア  でCDをチェック
https://search.rakuten.co.jp/search/mall/%E3%82%BB%E3%83%97%E3%83%88%E3%82%A5%E3%83%BC%E3%83%A9/?sid=244018&v=2

Amazon でCDをチェック
https://www.amazon.co.jp/s?i=music-artist&rh=p_32%3A%E3%82%BB%E3%83%97%E3%83%88%E3%82%A5%E3%83%BC%E3%83%A9&ref=dp_byline_sr_music_1

HMV でCDをチェック
https://www.hmv.co.jp/search/music/adv_1/category_1/genre_Classical_700/keyword_%E3%82%BB%E3%83%97%E3%83%88%E3%82%A5%E3%83%BC%E3%83%A9/target_CLASSIC/type_sr/

Tower Records でCDをチェック
https://tower.jp/artist/2347013

e-onkyo music でハイレゾ版をチェック
https://www.e-onkyo.com/search/search.aspx?q=%E3%82%BB%E3%83%97%E3%83%88%E3%82%A5%E3%83%BC%E3%83%A9

mora でハイレゾ版をチェック
https://mora.jp/artist/937451/h#discArea


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