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大阪IRの基礎知識[更新2021/8/15]

トップ画像出典:unsplash

 大阪IRの基礎的な知識についてここでは述べていく。
 IR全般についての基礎知識は↓の記事を参照。


■大阪IRでは何ができる?

 大阪IRでは、カジノ・ホテル・大規模会議場・展示場・アリーナができる。1兆円規模の初期投資がなされる予定であり、非常に大規模な世界トップレベルのIRができることが期待される。有名なシンガポールのIR「マリーナベイサンズ」の投資規模が5000億円であることから、その規模の大きさがわかる。

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マリーナベイサンズ

 9月頃には絵姿を含めた具体的な開発計画が大阪府・市より発表される予定である。
 当初は、展示場の面積を10万平方メートルで整備しようとしていたが、コロナで企画者側の経営体力を考慮した結果2万平方メートル以上に規模が縮小された。将来的な拡張用地は用意されており、次の章で説明する。

■大阪IRの予定地

 大阪市此花区の夢洲の合計49.2万平方メートルが予定地である。このうち10万平方メートルは将来の拡張予定地である。この拡張予定地が、展示場の将来的な拡張地になると予想される。
 万博もこの夢洲で行われる予定であり、下図の第2期のあたりで計画されている。万博の跡地利用については未定である。

スクリーンショット 2021-08-15 午後0.25.21

出典:大阪府・市

・夢洲とは?

 夢洲は、もともと2008年に大阪オリンピックを誘致するために作られた人工島であり(結局大敗)、現在は一部が貿易港として使われているが、他にはセブンイレブン1軒を除いて本当に何にもない。経済的・名誉的な両側面から、長らく負の遺産と呼ばれてきた。しかし、この世の中、何が起こるか分からないもので、無駄使いした結果、1兆円規模の投資が夢洲になされる可能性がでてきた。

・他の候補地との違い

 長崎や、和歌山、横浜もIRを誘致しようとしているが、その中でも大阪のIR候補地は市街地から離れており、IRができても住民が感じる変化というものが少ない。よって、大阪ではIRへ反対する人が少なく、上手く進んだ。
 市街地から離れており、交通の便が悪いことをデメリットとして見る人もいるが、横浜のように市街地から近いと、反対運動が激しくなり結果的にIRが誘致されない可能性がある。その結果、企業が投資を渋り、IRの規模がしょぼくなってしまう。大阪が1兆円規模の大規模投資を受けることができるのも、この絶妙な候補地のおかげだと私は考えている。

・交通インフラ整備

 夢洲には現在、車でしか立ち入ることができない。大阪万博が2025年に開催されるので、それまでに大阪メトロ中央線の夢洲延伸が予定されている。開業時期は2024年である。また、自転車道も整備されるようで、自転車でも立ち入ることができるようになるはずである。徒歩での立ち入りが将来できるかについては不明である。

 大阪IRは、現在誘致が正式に決まった状況ではないため、夢洲への鉄道インフラの整備は2024年に完成予定の大阪メトロの延伸が決定したのみである。しかし、IRが決定した場合、具体化すると考えられる計画がいくつかある。

 まず1つ目は、JRゆめ咲線延伸である。「西九条→USJ→桜島」と現在繋がっている路線は、IRが誘致された場合「桜島→舞洲→夢洲」と延伸する構想がある。事業費用が高額になるため、IRが決定されても延伸されるかは不明である。
 2つ目は、京阪中之島線延伸である。京阪中之島線は利用者低迷が低迷しており、IRが利用者増加の要因となる可能性がある。そのため、京阪は、夢洲まで延伸する「大阪メトロ中央線の九条駅」と「環状線や、ゆめ咲線等の乗換駅の西九条駅」まで延伸する計画を検討している。他にもいくつか案はあるが、この案が最も有力である。
 3つ目は、近鉄奈良線の大阪メトロ中央線乗り入れ計画である。現在近鉄はけいはんな線と中央線で相互直通運転をしている。この中央線に奈良線から近鉄の電車を乗り入れようと計画しているのだ。乗り入れのためには、新しい電車の開発が必要であり、計画の進捗状況が不明だった。しかし、最近になり「Osaka-Subway.com」の「近畿車輛が第三軌条用「集電靴収納装置」の特許を申請中。けいはんな線⇔奈良線直通特急へ使用?」(参照:2021/8/15)の記事によると、この新しい電車に関するものと思われる特許を近畿車輛が申請していることが分かった。本当に実現されるのかは未知数ではあるが、少しづつ前進しているようである。

延伸地図

国土地理院 地理院地図Vectorより標準地図を加工して筆者作成

■大阪IRの開業時期

 大阪IRの開業時期は現在のところ2020年度後半であることが分かっているのみで、正確な時期については不明である。一部では2028年頃の開業予想がされているが、これの真偽についても不明である。9月頃に明確な事業計画が大阪府・市より発表されるので、その頃に分かるかも知れない。

■大阪IRを誘致する理由

 IR誘致の目的は、主に関西圏で急増するインバウンドの観光の受け皿を作り、また観光を推進するためである。また、日本では世界各国から人が集まり、ビジネスの中心となる大規模展示場・会が不足しており、その展示場を作るという目的もある。IRを作る企業はこういった施設の経営ノウハウも持っているため、そのノウハウを借り、大阪を世界から人の集まる経済拠点の1つとしたいという思惑がある。

■大阪IRにかかる費用

 IRは基本、民設民営事業であり、大阪府・市の負担はない。間接的には、IR実施計画の策定や企業側との交渉などで人件費がかかるかも知れないが、直接的な支出は0円である。

■より詳しく知りたい!

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