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点と点をつないで道東の輪郭をつくる ー ドット道東という法人を立ち上げました

北海道の道東エリア(オホーツク・釧路・十勝)を中心に活動するフリーランスのクリエイターが中心となり、道東エリアおよび北海道エリアのクリエイティブをサポートする一般社団法人『ドット道東』を令和元年5月7日に設立しました。

メンバーはみなオホーツク、十勝、釧路を拠点に活動するフリーランス・会社員です。
それぞれが自立しながらも、必要に応じてチームを組み、個としてはこれまでできなかったような大きなプロジェクトにもチャレンジできる環境をつくっていければと思っています。

道東(いわゆる北海道の東側)と一括りに言っても、各地は100km以上離れ、車でも2時間かかる距離に住んでいます。

釧路に住む人と組めばいいのに、すでにクスろがあるのに、そんな声が聞こえてきそうだし、実際自分でも思いました。
でも、離れた地に住むメンバーと、あえて一緒にやりたい理由がありました。

フリーランス4年目、一人でやり続けることに限界を感じた

言ってしまえばこれに尽きます。
2016年に釧路にUターンし、フリーランスも4年目になりました。
帰ってきた直後はまったくなかった仕事も昨年から増え始め、順調と言えるくらいにはなってきました。
地方あるあるなのかもしれませんが、デザイナーは何でも屋になりがちで、打ち合わせ・企画・デザイン・撮影・クライアントとの調整等々を一人で担うことになります。
最初のうちは、色んな筋肉を付けれるいいチャンスだと思って張り切っていたのですが、3年経つ頃にはそれがすっかり疲弊に変わってしまいました。


良いも悪いも評価されない、ダメ出しをされない
釧路に帰ってきてから、ほとんど「戻し」を受けたことがありません。
最初に出したものがかなりの確率で通ります。
デザイナーに発注したことがないから、せっかく作ってくれたものに文句をつけるのが悪いから、プロが作ってくれたから、デザインに興味がないから(何でもいい)、理由はそれぞれあると思います。

自分ひとりで進めていると、だんだんと何が正しくて、何が違うのかわからなくない…
それにクオリティも自分のできる範囲までしか上がらない…
誰かと議論したい…!お願い誰かダメ出しして…!アイデア広げて…!と切実に思うようになりました。

このあたりは、ドット道東の中西拓郎が「ローカル怒られない問題」として語ってくれているので、引用させてもらいます。

怒られるというのは、単に説教って意味だけじゃなくて。ローカルでメディアや編集の仕事をしていると、「良い」「悪い」の評価さえほとんどもらえないんですよ。仕事で写真を撮ったりサイトを作っても、クライアントさんから返ってくるのは「ありがとうございます。受け取りました」。

都会に比べて、高いクオリティを知ってる人がどうしても少なくなるので、内容に関してなかなか指摘できないんですよね。だから仕事をする上の指標が自分の絶対的な評価しかないので、すごく悶々とすることが多くて。

「怒られないローカル」の先へ。道東を発信する88年生まれの覚悟


その土地の相場で仕事すべきではない
未だに苦労しているのが見積もりです。
自分の作業量に対してはこれくらい欲しいけど、釧路の相場を踏まえると、このくらいの額しか提示できないな…
という感じで、ぜんぜん作業量にあっていない見積もりを出すことがしばしばあります。
やはり十勝でもオホーツクでも、同じような苦労はあり、のちにドット道東のメンバーとなるみんなでそんな話をしていた時のこと。

「ぶっちゃけその案件、いくらでやってるの…?」と私が尋ねると、「30万くらいかな?安いでしょ?」と不満そうに答えるメンバー。

え??????
それ、釧路だと10万もらえたらいい方だけど…?????
30万なんて、超リッチだけど??????

そこで、私はあらためて、釧路のデザインに対する低予算っぷりを痛感したのです。
今首都圏で働いていて、いつかは地元の釧路でデザインの仕事をしたいと言っている知り合いは何名もいます。
このままでは、その人たちは絶対に帰ってこれない。
釧路の相場で仕事をする限り、新たなデザイナーは増えない。

もはやこれはデザインの話だけではなく、きっと他の業種にも言えることだと思います。

クスろを始めてから「なんだか釧路が楽しそうに見えるよ」と嬉しい言葉をいただくことが増えました。
これは本当に嬉しいし、大変ありがたいのですが、釧路をさらに楽しくするためには、クスろだけでは当然のごとく尻すぼみ。
さらなるプレイヤーを増やし続ける必要があります。

自立できるデザイナー・プレイヤーを増やすためにも、このまちの相場で仕事するのではなく、私は釧路外の仲間とチームを組もうと決めました。

道東の新しい輪郭をつくる

私たち個人は、小さな点でしかありません。
一人でできることに限界を感じながらも、各地で挑戦し続けているプレイヤーです。
そのプレイヤー同士がつながったら、きっと大きなうねりが生まれるに違いない。
道東誘致大作戦のあとから、なんとなくその希望が見えてきました。

点と点がつながり、大きな面ができていく。その輪郭が道東に新しい価値を生み出せると思っています。

いずれは道東に、釧路に帰ってきたい・住みたいという人を増やすためにも、住んでいる私たちがこれからも挑戦し続けられる土壌をつくっていくためにも、点を増やし、つなげ、これまで見たことのない道東の輪郭を形作っていきます。


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