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【8月31日まで受注生産で販売中】サークル「海の近くの遊園地」発行のオベロン本「黄昏の王国」購入を迷ってる方向けレビュー

どうも、よるとりです。夏コミお疲れ様でした。
夏コミ二日目で1,2を争う話題の本であるサークル「海の近くの遊園地」発行の「黄昏の王国」自分はサークル参加なのもあり、無事入手することが出来ました。

サークル【海の近くの遊園地】がお贈りする“コミックマーケット100”新刊、
『黄昏の王国 Lostbelt No. 6 : Fae Round Table Domain, Avalon le Fae』がとらのあなにて登場。

羽海野チカ先生がデザインを担当された
あの大人気ゲームのキャラクター「オベロン」
彼の様々なラフ、衣装やアクセのデザインなどが見られるイラスト集です。
「黄昏の王国」とらのあな通販ページより

早速読ませていただいたところ大変素晴らしい御本だったのですが、とらのあなで予約開始時に「4000円は少し高価で気後れする」という声を見かけまして。購入の後押しになればと思いネタバレ控えめで全体の雰囲気をお伝えしようと思います。

あくまでネタバレ「控えめ」なのでそこが気にかかる方は直下の一連ツイートを確認したらブラウザを閉じることをオススメします。



概ねこのツイートにまとめてますが、noteは字数制限無いのでもう少し掘り下げて書いていきたいと思います。


まず読み始めて思ったのは「なにか見てはいけないものを見ている気がする」「怖い」という直感でした。

とらのあな商品ページの説明にあるように、本同人誌は配信中ソーシャルゲーム「Fate/GrandOrder」に登場する人気キャラ「オベロン」の、ゲームに実装された完成品イラストではない準備の為に描かれたラフイラストを集めたスケッチ集です。
オベロンを描かれた羽海野チカ氏はソーシャルゲームの仕事を初めてするにあたって、ご自身で妖精や虫、中世の服や靴を調べてとにかくスケッチされたそうで。その数なんとスケッチブック3冊。

使われているスケッチブックはおそらくクロッキー帳という薄手の紙で出来ている冊子かなと思うのですが、種類にもよりますが一冊およそ50枚~100枚、三冊ということは150枚~300枚ものページを埋めるほどオベロンに関するスケッチをされていた、ということになります。(注・この数字はあくまで概算です)

それらの中から羽海野チカ氏が選んだラフスケッチ。ソーシャルゲームのイラストの発注は、おそらく多くの場合でキャラクター設定や容姿に関する情報が発注側で完成された状態で渡されるのが基本かと思います。

――羽海野さんの描くオベロンのデザインを最初に見たときはいかがでしたか?

奈須 ……いや、スゴかったです。打ち合わせの後「こういう感じのキャラクターでどうでしょうか?」とラフがたくさんやってきて、そのまま絵本にできるようなクオリティーで。

武内 スケッチをたくさん出してくださいましたね。
【FGO】奈須きのこ&武内崇6周年インタビュー。1年の振り返りや7年目の展望、『月姫』コラボにも迫る(1/3)より

ところがオベロンはちょっと変わった作り方をしているようで(FGOのキャラ全てがそうかは存じ上げません)、打ち合わせをしながら進めていき、羽海野チカ氏の膨大なラフスケッチからアイディアやエピソードを拾い上げていった形跡がこの同人誌から感じ取ることができます。

はじめのページは「確かにオベロンっぽいけど、まだ遠いなぁ」というラフスケッチ郡が、本当に少しずつゲームの中の「彼」に近づいていく。
それは服装だったり、仕草だったり、表情だったり、とにかくいろいろなものが「私たちの知っているオベロン」に近づいていくんですよ。よく見知った友人の子供時代を写したアルバムみたいに。

でも子供時代のアルバムっていうのは、普通良いことばかり残してるじゃないですか。この本はそうじゃなくて……。
架空の存在であるオベロンというキャラクターが、何を考え、何に怒り、何に苦しみ、何に悲しむのか。
そして「オベロン・ヴォーティガーン」が最期の時に、どんな顔でそれを迎えるのか

膨大なスケッチの数々には、それらが赤裸々に描かれており、羽海野チカ氏がたくさんの時間をかけてオベロンというキャラクターのデザインを育んだことが伺えます。
スケッチの数々と合わせてコメントを掲載してるページも大半なのですが、羽海野チカ氏が本当にオベロンというキャラクターを思って、虚構の世界ではなくまるで対等な存在かとでもいうようにオベロンを尊んでいたのだなぁ……と私は読んで感じました。

ただラフをひとまとめにしただけの本ではない、というのは本当にこれを読んでいる人ご自身が読まれることで理解してもらえるんじゃないかなーと思います。
読み終えた後、自然と涙が出ました。

装丁に関しても本当に凝っていて、表紙の箔押しもすごいんですけど表紙容姿の立体的な質感やトレーシングペーパーに印刷してある遊び紙等々とにかく気合いが入った御本になってます。
これが約4000円、送料入れても5000円というのは破格だと思います。フォロワーが「この夏5000円で出来る恐怖体験」と形容していたんですが、マジでそういうものだと思います。生半可な気持ちで読んだら痛い目を見ます。ここまで読んだ人、痛い目を見て欲しい。

8月31日までの受注受付のため届くのは秋頃になるそうですが、彼の故郷でもある秋の森を思いながら読むことが出来るのはそれはそれで一つの素敵な体験になるんじゃないかな。

以上、ネタバレを控えたレビューでした。
ここまでお読み頂きありがとうございました。


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