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彼らがいるから

 ゴールデンウィークがとくにその前後と変わらないような感じの年でしたね、今年は。うちはそもそもが基本家で仕事してるようなスタイルだから過ごし方といえばほぼいつも通りなわけですが、決定的に違うなあと思うのはやっぱり、テレビをつけてもスポーツがやっていない。そういうところ。

 昼間にスポーツが中継されてると「ああ今日は休みの日なのか」と理解し、「野球の中継がないね」ってなって今日は月曜日なのかと理解するような我が家。カレンダーがわりなんですね、スポーツの始まりと終わりで時期を知る、みたいなところがある。野球好きの友人との会話って二月になると「もうすぐだねえ」って春が来る楽しみっていうより野球が生活に戻って来る楽しみについて語るのが時候の挨拶として毎年繰り返されてますから、改めて私はスポーツによって一年が形成されていたことを思い知りました。

 見る側がこれなんだから、チームに所属してる方、競技をされてる方は本当に生活そのものが変わってしまうわけですよね。いつこの状況が終わるかわからないけど何もしないで過ごしてしまうと再開したときにパフォーマンスがついていかない、となると選手生命に関わるわけですから、ある程度の状態は維持しておかないといけない。なかなか「これでいい」のバランスをとるのが難しいメンタルの状態なのじゃないかな、と思います。

 そういう中で、好きで見ているプロのアスリートたちはがっかりしてるというよりもなんだか前向きに色々やろうとしている、ように見えた。

 プロ野球選手が、プロサッカー選手が、お料理に挑戦してみたりする姿をSNSなどの配信を通じて毎日見ていましたらうちの夫が感化されたようで自発的に興味をもってお料理するようになりました。いつも見てる彼らが実際にあれこれやってるのを毎日のように見てると興味もてるみたい。作るようになると気づくことがいろいろあるね、って言ってます。これはアスリートのみなさんに感謝しないといけない。

 実際私もそんな配信や投稿を見ていると、あ、これ作ってみようかなってヒントになったりするんですよね。楽しそうに料理してる姿を見てると楽しそうに思えてくるもんなんだよね。

 そんな中、FC東京はゴールデンウィーク中毎日のように映像の配信をしていて、

↑ YouTubeで配信していたものはここにアーカイブされているみたい。

 これが結構面白くてほぼリアルタイムで見てた。興味深い、という意味の面白いもあるんですけど、笑えるという意味での面白いももちろんあり。笑わせるという意味での笑えるもあるけど、笑わせる気なんてないようなのに起きてることが面白い、というのもあり。

上記のアーカイブ内で個人的なオススメは、笑わせてもらったのが「教えて大輝さん」で アクシデント込みで状況にかなり笑ったのは「林のBIRTHDAY EVE」です。主役の不憫加減がじわじわくる。

 FC東京の選手たちはずいぶんアグレッシブで、外出自粛の事態になってからもわりと率先して「できることはないか」と考えているように見えるし、なんとなくファンも一緒になってなにか今できることはないかと考えて行動してるように見えます。こういう事態になることは今年の始めには全く予測していなかったけど、なんかこういう年の選手会長が「なにかしよう」と思って動いてくれるような人でよかったのかもしれないなと思うわけです、ピッチ以外の場所での人となりっていうか良さがわかったかんじ、今年は選手会長が矢島輝一くんでよかったな、ってなんだか思えている。

 配信内容も、同じチームの選手に限らず他チームからゲストが来たりですごく面白かったです。チームとしてやっていることだとあまり他チームの選手って絡んでこないけど、元所属選手だったり、所属してない選手もいたりでこういうのいいなあって思った。人となりがわかると応援したくなるんですよね。

 サッカーに限ったことじゃないんだけど、スポーツの選手がスポーツやってきてよかったこと、っていうのに「理不尽な状況をどうするか」っていう経験ができたこと、っていう風に答える方の意見を複数聞いたことがあって、日常「やったことがそのまま評価される、結果が出る」とは限らないことの中で自分を見失わないで生きるって頭の使い方には慣れてるから、だから彼らはこういう状況下でも「ままならないような今を有意義に過ごすことでその先が変わって来る」と普通に言えるんだろうな、と思う。

 日々そういう人たちの前向きな言葉や表情を見ている自分は自然と感化されているようです、気持ちという意味では全然追い詰められてないですね、本当に今やったことが自分の未来に大きく影響するんだろうなと前向きな意味で思っているから。

 各競技、長年好き好んで見てきているので見てるだけで元気をもらえるのは当然なんだけど、競技以外のことでも自然に前向きなエネルギーをもらえてるんだなと今こういう状況で気づきました。ほんとに、毎日毎日少しずつ摂取している言葉や表情や感情って積み重なると影響が大きいと思うのです。しかめ面を多く見て過ごすのと、自然な前向きな表情を多く見て過ごすのでは思考にも影響してくると思う。

 もしもいつか以前のようにスタジアムで観戦することができる日が来たら泣いちゃうなあ。今はどのチームの選手たちにも「よくがんばってるなあ」って思うし、どこのチームが優勝しても感動しそう。今回は応援してるチームの選手たちも個々でいろんなチームの選手とライブ配信しているのを見たりしてるから、そこで目にした選手のことはやっぱり親近感もっちゃうんですよね。そういう選手たちがどんどん増えちゃうし、どこのチームもこういう難しい状況を一緒に経験した同志、みたいな感覚で見ちゃうなあ。

 世の中が落ち着いたらこんなふうに今の難しい状況下で「今みんなとできることをしたい」って考えて行動した人たち、実際自分に楽しい時間を提供してくれた人たちを応援したいし、彼らのすることを見ていきたい。誰かがちょっとでも笑顔でいられるようにと行動した人、言葉を発した人、そういう人たちと同じ時間、空間を過ごしたいです。

 「自分らには価値があるから」なんて言わないで、誰かが助けてくれればいいのにって意見じゃなく自分たちでなにかできないかと考えて行動している人たちの集団であることが、もともと応援してきた身としては誇らしくもあり、彼らと共に生きていたい感覚が強い。彼らが頑張るなら自分も頑張らなきゃねと笑って言える気持ちにしてくれる人達の存在って大きいですよね。

 スタジアムで You'll Never Walk Alone をまた歌うときがきたら、歌詞の言葉のひとつひとつにリアルな思いが滲み出て泣いちゃうんだろうなあ。そのとききっと、選手もスタッフの方も観客の我々も、困難を乗り越えた者同士歌の世界の中で完全に同一のものになるような気がしています。その瞬間を今は待っていよう。

誰かの心の平穏やきらきらを取り戻すお手伝いがしてみたい。