卑怯な大人11


「お兄さんどうしてるの?」

「お兄ちゃん全然いえに帰ってこうへんねん」「逆に聞こおもててん」

「私ここに来たらお母さん1人やし ほんま心配」

話なんかどうでもよく俺は麻紀の顔ばかりみていた。。

「なんで じっと見るの 私の顔なんかついてる笑」

「あ いや。。」

そうしてるうち他のホステスさんたちが出勤してきだした。

俺は18時からだったがホステスさんは早い人で19時ごろ

大体が20時頃の出勤だ。

お客さんが来るまで電話で営業したりカウンターに

座って待機している。

「いらっしゃいませ~~~」

店は姉さんの関係上業界の人が多くまた警〇関係も何故か

よく来ていた。

警〇が来るといずらいのか業界の人はさっとママに耳打ちして

警〇の人の飲み代も一緒に支払いいつのまにかいなくなっていた。

警〇関係の人はセコイらしくホステスさんたちに嫌われていた。

ホステスさん同士でお客さんの話をしているのを聞きたくなくても

横で聞いてしまう。

いくら仕事はいえホステスさんたちも人間なので我慢できないらしい。

逆に優しくて感じの良いお客さんにはサービスが良くなるのは当たり前だ。

いつもニコニコして優しい普通の社長さんだと思っていた人がやってきた。

優しいし金払いも良くチップも弾むのでホステスさんたちに大人気で

ホステスさんたちがそのひとのまわりを群がるように囲んで

席まで案内してた。

ボトルはレミーマルタンだったほかにも高そうな酒をキープしていたので

それを運んでカウンターに戻ったときチーフがそっと俺に話しかけた。

「あの人あぁ見えてバリバリやで」

「(´・ω`・)エッ? なにがバリバリなんすか?」

「〇くざバリバリてことよ」

「へぇ~ ぜんぜん見えませんやん」

チーフは青森出身だが〇くざに憧れて神戸に来たので

できれば〇くざになりたいといつも言っていたので

その業界の人が来たらいつもより余計にぺこぺこして

ご機嫌を取って媚びを売ってた。

けれどいくら本人がなりたくても素質と根性がなくて

なれるほど甘い職業ではない。

チーフは 根本的、致命的な事に喧嘩が弱く根性がない。

店の隣にお寿司屋さんがあり持ち帰りのお寿司を売っていて

俺はいつもお客さんの分や早い時間ホステスさんの分を買いに行かされて

時々ホステスさんたちに上握りを奢ってもらっていた。


そこでいつも立って持ち帰りの折詰寿司を売っていた兄ちゃんと話すようになっていた。

「まいど~ 自分バイトなん?」

「はい」「そうす」

「綺麗な女の人ばっかでバイト楽しそうやなぁ~」

「そんなことないすよ」「ホステスさんたち怖いっすよ」

と時々折詰が売り切れて中で作るのを待ってる間いつもそんな話をしていた。

その兄ちゃんとチーフが軽く揉めて仲が悪いとあるホステスさんが言っていた。

チーフは青森なまりなので関西では珍しくしかもその頃の神戸で標準語に近い

喋り方は少し嫌がるというか関西弁が東京の下町で嫌われるようなもんやと思う。

ある日店に出勤しようと東門街を歩いていたら寿司屋の兄ちゃんがだれかと

揉めている。

 おおチーフやん

チーフが目を吊り上げてなにかまくし立てている。

「あ チーフ」「おはようございます」「なにやってるんすか?」

「おお~~  こいつがものの言いかたわからんから教えたってるんや」

イントネーションの変な関西弁でそう怒鳴り散らした。


チーフは俺が現れた瞬間おびえたような目が急にすわったようになり

ボクシングのポーズをしだした。


((´・ω`・)ヘッ? チーフ ボクシングなんかしてたっけ?)

兄ちゃんのまわりをくるくる回りながらへなへなパンチを

シュッシュッと言いながらジャブを繰り出し始めたが寿司屋の兄ちゃんに

「フッ」と笑われ足をすくわれ一発でのびてしまった。

とめるまもなく終わったので兄ちゃんと目で合図してチーフを

店の事務所まで連れて行こうとしたらまたつかみかかって行ったので

今度は高下駄でカウンターをくらわされ倒れてしまった。

「 ええ加減にせんかえ おっさん」

続く。。。。

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