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地球の息づかい

みんな同じように悩んで
みんな同じように笑ってる。

みんな同じように寝て、
みんな同じように起きてる。

みんな同じように生きている。

そんな当たり前のことを遥か遠くに感じていたのかもしれない。


3ヶ月間のフィリピン留学で出会ったのは、韓国、中国、台湾、ベトナム、モンゴル、タイ、そして日本の留学生達。そしてフィリピンの先生たち。

初日から多国籍のドミトリーに案内されて、
自己紹介の英語もままならず、不安と共に始まった留学生活。

それでも、少しずつ生活を共にしていくとわかるお互いの習慣、性格、人間性。


台湾人のAnn

1番仲良くなったのは日本人じゃなくて、台湾のAnnっていう子だった。
なんでかわからないけど、雰囲気が似ている。一緒にいて話が尽きない。
1番驚いたのは、10数人で晩御飯を食べに外に出て会計をしよう!という時だった。
ピザ屋だったから、「みんなで割り勘で〜」なんて思っていたら誰が何を食べたのか、何を飲んだのか1円単位まで細かく割り勘にしたの。
中には「めんどくさ。」って呟く人もいたんだけど、私はとても感動してしまって。
几帳面なところが日本人的な感覚に似ていて、台湾人って日本人に近いのかもって思った。

韓国人のJane

私はルームメイトにも本当に恵まれた。
韓国の女の子とも沢山ルームメイトになったけど、殆どの子がフレンドリーだった。
Janeはいつも優しくて、みんなの体調を気にかけてくれる、人情に熱い子だった。
ルームメイトが帰る前日や、私が違う校舎に移動する時は涙を流して「頑張ってね」って言ってくれる姿が印象的だった。
私の最後の週末に元ルームメイトで集まってランチを食べに行った。その時に、「ナツは本当に英語上手くなったよね!びっくりした!」って言ってくれた。
真顔で言うもんだからびっくりしたんだけど、さらっと言うから照れ臭くなっちゃって、全力否定してしまったけど…。
彼女は人の良いところを見つけて、すっと褒められる褒め上手だった。


中国人のDorene

Doreneはとにかく人懐っこくて、可愛い女の子。同じルームメイトで楽しい雰囲気を作るのが得意。休み時間に部屋に帰ると、Doreneがノリノリな曲を流して踊り始めて、みんな嫌々言いながらも最終的には部屋がクラブみたいになることが1日1回はあったかな。(笑)
彼女は若くして結婚していて、旦那さんといつも幸せそうにテレビ電話していた。
中国の一人っ子政策がもう終わってる事とか、中国の男性は家事を積極的に手伝ってくれることとか沢山教えて貰ったなあ。
誰かが元気がなかったりする時に、すっと近くに行って「アイラブユッ」って可愛く言ってくるから、部屋の子達はそれに元気貰ってた。


フィリピン人のJerry

Jerryはパワフルな年配の先生で、“come on!!”が口癖。生徒のペースに合わせて、親父ギャグを挟みながら上手に指導してくれる。
ある日Jerryに英語の表現方法について“ストレート過ぎるから、もっと柔らかい言い方をしたい。”と相談した事があった。
すると、「僕も時々それは思うんだ。タガログ語ももう少し柔らかいから、戸惑う事がある。」と話してくれたことが印象的だった。


こうやって書いてみると、

みんな人間なんだって感じる。

何人だから、日本人じゃないから、
という言葉は素敵な友達に出会って意味を無くした気がする。

寂しい時には泣くし、
楽しい時には思いっきり笑うし、
どこの国でも働く事は大変だし、
人を思いやる気持ちも、
家族を想う気持ちも、一緒なんだ。


海外の友達が出来て、
なんとなく耳にしてた海外のニュースが自然と自分の中のニュースになって、
外国人が近所の人になって、

まるで世界の息づかいが聞こえるみたい。

みんな同じ世界で生きている。

こんな当たり前のことを
他人事だと感じていたんなんて。
自分の当たり前が怖くなったんだ。

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