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私の独り言⑧その1 訪問ヘルパーをしていた頃の話~ヘルパーの仕事に慣れるまで~

約20年位前にヘルパー2級養成講座を受講し登録ヘルパーとして仕事をしていた。

色々な訪問先があった。

最初依頼を受けたのは掃除のサービス。週一回の訪問。猫を飼っており本人の住んでいるビルのオーナーの方だった。猫の毛が毎回、角から角までたまっていた。部屋の掃除機かけと風呂場の掃除が主な仕事。

初めての仕事だったので毎回緊張していたが、一生懸命なのが伝わっていたのか有りがたいことに、後々保険外サービスも受けるように事業所がなるとすぐに広い庭の草取りを依頼してくださり私にとって臨時収入の嬉しい仕事先となった。

週1回1件だったのがまた1件、更にもう1件とサービスは増えていった。

毎日1、2件の掃除や買い物、調理などの仕事の依頼を受けるようになった頃のある日、ベテラン介護者と同行し研修も兼ねて身体介護のサービスに訪問する事となった。

そのベテラン介護者は資格も介護福祉士と当時でも珍しいヘルパー1級を持っている方だった。経験も知識も豊富で穏やかな先輩だった。(現在ヘルパー1、2、3級は廃止)

その後その方の指導により色々な方の所に同行した。

ある寝たきりの方の所に伺った時の事。見よう見まねでいつもやっているように何気なく声かけしながら衣類交換をおこなった。

普段ほとんど発声する事が無い方だったそうだが、「ありがとう」と返してくれたらしい。私は必死過ぎてそんな事には気付かず後から聞いたのだが、ちょっと嬉しかった。

更にそのベテラン介護者から「あなたがいると、とても利用者様が穏やかになる。いつもとは明らかに違って表情が良くなるみたいよ」「自信持ってね」と誉めてくださった。身体介護が出来るスタッフを育てる為に言って下さっていたとは思うが正直物凄く嬉しかった。

その利用者様の所には命の最後かと思われた日にも伺い、ベテラン介護者と一緒に清拭と衣類交換をさせて貰ったがやはりその日遅く息を引き取ったと、翌日に伺った。

ヘルパーになって初めてのお別れだった。かなりショックを受けた。自分の父や義母が亡くなった時を思い出してしまい辛くなった。ヘルパーの仕事を辞めようかとまで思ってしまった。

なんで私は人のお別れに関わらないといけないのか…

その事があって、またすぐに担当していた利用者様が亡くなったと聞く。やはり落ち込んだ。人とのお別れは辛い。

そんな私に前記のベテラン介護者がこう話してくれた。

「私も今まで一杯お別れしてきた。辛い気持ちもある。でも最後に私がお世話させて貰うのは選ばれたからと思ってやってきたの。私だからこの方の最後に関わる事が出来るんだと思っている」

少し心が晴れた。私も選ばれたのだろうか。私で良いのだろうか。

それからも何度も何度も、関わってきた利用者様が亡くなったと聞くと、あの時にベテラン介護者が話してくださった言葉を思い出し私の支えになっていった。

訪問ヘルパーを辞めて新たにデイサービス職員として働いてもやはり突然のお別れが何度かあった。そんな時あの時のベテラン介護者の言葉を思い出す。

夕方帰りの送迎車を玄関で見送る時いつも、もしかしたら次に会えないかもしれない今日1日ありがとうございましたと思いながら手を振っていた。

今日私は精一杯出来たのか、利用者様にとって楽しい時間が過ごせていたのか、そんな事を毎回考えながら手を振っていた。


介護の仕事は大変だが大切だ。そして知れば知る程やりがいもあり、奥が深いと思う。

人との出会いも宝だ。

まだまだ母の介護は続く。

沢山の方の力をお借りして、

笑顔で寄り添っていけたならと思う。

読んで頂きありがとうございます。

今日も明日も良い事がありますように。