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ビールプロジェクト 袴田 大輔 インタビュー

今回インタビューを行ったのは、前回ご紹介した太田 睦さんと共に、株式会社遠野醸造(以下、遠野醸造)の共同代表を務める、ビールプロジェクトの袴田 大輔さん。出身は青森県青森市。大学を卒業後、アパレルショップやブルワリーに勤め、2017年4月、Next Commons Lab遠野(以下、NCL遠野)に加入しました。
インタビューでは、太田さんがお話してくれた「遠野醸造TAPROOM」がオープンするまでの経緯とは別に、袴田さんが考える遠野醸造のこれからや、NCL遠野に加入するまでの経緯をお聞きしました。 

------まずはNCL遠野に加入するまでの経緯を教えてください


前職はアパレルメーカーが経営するショップの支店長を務めていました。
3年半勤めていたんですが、仕事をしながら、扱う商品が「大量生産、大量消費」されていく流れにうんざりするようになったんです。1日に何百万という大きなお金を動かしているけど、商品を作っている人や、買ってくれる人、ひとりひとりの顔が見えないことに違和感を感じていました。
当時、僕の年齢は20代後半。30歳以降、違和感を解消するためにも、自分がどういう仕事をしていこうかと考えた時に「少量でもいいから自分の手で作ったものを、買ってくれる人に対面で届けられるような仕事がしたいな」と考えて、ぱっと思いついたのがビールです。
学生時代にバックパッカーをしていて、30か国くらい周っていたんですが、訪れる土地土地でビールを飲むのがすごく好きで。ビールに関する仕事なら、自分が熱狂的に楽しんで取り組めるかもしれないと考えて、ビール業界に入るために横浜のブルワリーで働き始めました。
そうしてブルワリーで働いていたときに、たまたまフェイスブックでNCL遠野でビールプロジェクトの募集を見つけて、遠野に行ったら自分が一からブルワリーの立ち上げに携われるかもしれないなと、エントリーしました。

------NCL遠野に入る前からビールを意識されていたのですね。


ビールに関する仕事の中でも、NCL遠野を選んで、応募した大きな理由は二つあります。
一つは自分がビールを作るのであれば、原材料が栽培されている場所の近くでやりたいと思っていたこと。遠野がホップの一大産地であることは事前に知っていたので、生産者の方々とコミュニケーションを取りながら、遠野で採れるフレッシュなホップを使ってビールに関わるチャレンジをしたいと考えました。もう一つは、ビールによるまちづくりを目指すプロジェクト「Brewing Tono」のホームページを見た時に、すでに遠野でビールやホップに関わる活動をしている人たちがいるのを知ったこと。ホップの産地でありながら、ホップ農家さんが減少しているという大きな課題を抱えていて、それに対して現地のプレイヤーたちが一生懸命、一丸となって活動している。その中に自分が入って、事業をつくって、その一員として遠野のビールを盛り上げていくのはすごく面白そうだなと、とても魅力的に感じました。これがもしただ単にクラフトビールが流行ってるからビールで町おこしをしようみたいなプロジェクトだったら、僕はたぶんエントリーしていなかったですね。

------入ってからは実際にどんなことを?

着任してすぐは、東京のブルワリーで3ヶ月間研修を行っていました。その後も2017年の一月から三月ぐらいにかけて、基本は太田さんと一緒にいろんなブルワリーにアポを取って、見学や研修をさせていただいていましたね。
遠野に移住したのは2017年4月。継続して研修のためにブルワリーを周りながら、市内での物件探しと事業計画のブラッシュアップに取り組んでいました。

しかし、移住したばかりだったこともあって、なかなか物件が見つかりませんでした。時間がただただ過ぎていくことに焦りを感じて、ビールやブルワリーのことを遠野の方々に知っていただく素地を作るために、三十種類くらい世界中の美味しいビールを集めて飲み比べをしたり、地域の人がクラフトビールを楽しめるイベントを企画していました。


------そうして、2017年11月に株式会社遠野醸造を設立した後、2018年5月に遠野醸造TAPROOMをオープンされたのですね。太田さんからは袴田さんが「ビールマニア」だと聞きました。

そんなに特別知識があるわけではないですよ。実際、学生の時には「缶ビールって美味しいな」くらいにしか考えていなかったですし。ちゃんとビールについて真剣に考え始めたのは、ここ三、四年の話です。やっぱり飲み手から作り手、提供する側になってからですね。

大前提としては飲むのが好き。他のお酒に比べてビールはすごい自由な飲み物だと思うんです。かしこまって飲むようなものじゃないからフランクに飲める。

あとはビールを作る上で、麦芽、酵母、ホップ、水、副原料のバランスをちょっと変えるだけで、味が変わってくるのが面白いです。酸味の強いビールもあればすごく甘いビールもある、とか、味の自由度が高いのが楽しいなと思いますね。

------これからしていきたいことはありますか.

いっぱいありますね。中でも意識していることは3つあって。

一つ目は応募時に企画していたことなのですが、ブルワリー兼ゲストハウスを作りたいなと考えています。世界中の旅人や、ビールが好きな人が気軽に訪れて、遠野のホップやビールを体感できて、宿泊ができる場所を作りたい。今から併設するのは難しいかもしれませんが、TAPROOMになるべく近い場所にゲストハウスをつくって、ブルワリーと宿泊施設の相乗効果を利用しながら、なにか面白い仕掛けが作れていけたらいいなと思っています。

二つ目は、遠野はリンゴの産地でもあるので、自家栽培のリンゴを使ったハードサイダーを作りたいなと思ってます。
ハードサイダーは、りんごを発酵させてできるお酒に、ホップやスパイスを加えてできるもので、すごく美味しいんです。幸いなことに、遠野はリンゴはあるしホップもあるし、副原料となる面白い農産物もある。だからそれらを使って作ると、原材料がオール遠野産のハードサイダーを作ることが出来るんです。
日本のブルワリーがホップを栽培する例は結構あるのですが、ブルワリーがリンゴ栽培にチャレンジしてる例っていうのは、聞いたことがありません。遠野だからこそできることなので、挑戦してみたいですね。

三つ目は、会社を規模拡大するのではなく、適正な規模で効率良く、豊かに暮らしていけたらいいなと思っています。将来、遠野醸造をフランチャイズ化して事業拡大していきたいとはまったく考えていません。まずはこのお店での収益をどんどん良くしていって、僕と太田さんが無理なく楽しく長く仕事を続けられるような体制を作っていきたい。もし、仮に二号店、三号店とお店を増やすことになったとしても、それぞれの店舗を僕らが主体となって運営するのではなくて、志のある新しい仲間を迎え入れて、その方たちを支援していくような役割を担えたらなと思います。
まち全体を面白くしていきたいんですよね。我々だけが肥大化していくのでなくて、多様なプレイヤーを巻き込みながら、チーム遠野として、「ビール、ホップといったら遠野だよね」と言われるような状況をつくっていきたいです。

------最後に、NCLに興味のある方にメッセージをお願いします。

何かやりたいことを明確に持っていて、その事業が地域とマッチしている人は、NCLのモデルはすごく当てはまるだろうなと思います。まずは、起業型の地域おこし協力隊制度を活用する地域であれば、最大三年間は生活していくことはできると思うので、挑戦してみて、ダメだったらまた違うシフトチェンジをすればいいと思う。気になっているならなら、ぜひチャレンジしてみてほしいです。

2018年11月に遠野醸造設立から1年を迎えました。袴田さんの考える「ビール、ホップといえば遠野」と呼ばれるための活動はまだ始まったばかり。「無理なく楽しく長く仕事を続けられるような体制を作っていきたい」と考えながら、大好きなビールにまつわるたくさんの構想を描いています。これから遠野醸造が新たにつくるビールやビールにまつわる活動がますます楽しみに感じられるインタビューでした。


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Next Commons Lab 遠野

2016年、遠野を皮切りに始動した「Next Commons lab」。日本各地の地域資源と起業家を掛け合わせ、新たな事業やコミュニティの創出をめざすプロジェクトです。遠野では、15人のメンバーが遠野に拠点を移し、ビール、発酵、食、テクノロジー、デザインなどに取り組んでいます。
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