NCL遠野コーディネーター インタビュー(前編)

現在、Next Commons Lab遠野(以下、NCL遠野)はローカルベンチャー事業メンバーを募集しています。NCL遠野のビジョンや求める人材についてはこちらの記事をご参照ください。

今回の記事では、募集を行っている「アソシエイトコーディネーター」について、すでにコーディネーターとして活動されている方々のお話を通して、メンバーの方たちがNCL遠野に参画するまでの経緯や活動内容をご紹介します。

アソシエイトコーディネーターが担うのは、NCL遠野事務局の運営、インキュベーション、独自事業の開発・運営、NCLネットワークとの連携、の4つの役割。起業家と地元プレーヤーや行政をつなぐコミュニケーションをはじめ、インキュベーション・メンタリング・企画・経営・交渉や調整、事務処理など、ビジョンを持ちながら、地域での地道なコミュニティ運営や起業家サポートを実行し、Next Commons Labの目指す社会インフラの構築に向けて、多くのメンバーと協力しながら活動します。

今回募集するのは、それらの業務に関わりながら、企画営業を担当するコーディネーターと地域の課題や困り事をリストアップしてそれを解決できる人とマッチングする仕組み「マイクロワーク」を担当するコーディネーター。

それぞれ具体的にどのような役割や人物像が求められているのでしょうか。

まずはじめに前編では、NCL遠野に参画するまでの経緯やコーディネーターとしてそれぞれが担当している業務について、NCL遠野コーディネーターの室井 舞花さん、多田陽香さん、木内真美子さんにお話を伺いました。

(cap:左から室井さん、木内さん、多田さん。室井さんは2016年7月から株式会社Next Commons創業メンバーとして活動。多田さんと木内さんは2018年に着任しました)

------それぞれみなさんがNCL遠野に参画されるまでの経緯を教えてください。まずは室井さんからお願いします。

---(室井)遠野に来る前は「ピースボート」という国際NGOで約10年働いていました。東京にある事務所を拠点としながら、1年から1年半に1回、運営スタッフとして地球1周する船の旅に乗船していました。働きながら抱いていたのは「自分と違う価値観や文化と繋がることは人生を豊かにしてくれる」ということを多くの人に伝えたいという想いです。
世界にはいろいろな人がいて、違うことは当たり前。違いに気づくと「じゃあ、自分の立っている場所や自分自身は何だろう?」と客観的にみる視点が身に着くというか。今は「ダイバーシティ理解」といったような言葉で表現されますが、言葉よりも先に旅を通じて体感したことで、私自身救われた部分があります。前職では、船をツールに「異なるものと出会う」経験をどれだけ広げられるだろうかと考えていました。

------NCL遠野はどのようにして知ったのですか?

---(室井)もともと知り合いだった代表の林 篤志から声をかけられてNCLの構想が書かれた資料を見せてもらったのがきっかけです。共感したのは「ポスト資本主義社会を具現化する」という言葉。当時の私は国際社会のグローバル化が進むことで、世界の豊かな多様性が巨大な資本に飲み込まれて急速に失われつつあるように見えていて。その大きな力に対抗できるものがないことを悲しいなと思っていました。ただ、そう思いながら自分自身も仕事をしている時以外は、東京という街でいち消費者になってしまっている。そんな自分が嫌になっていたこともあって、NCL遠野の活動に惹かれて、2016年7月にメンバーになりました。

------それでは次に多田さん、お願いします。

---(多田)私は遠野出身なんですが、高校は花巻、大学は横浜の学校に進学して過ごしていました。大学卒業後は業界の成長もあって、スキルを身につけられそうな東京のIT企業に就職しました。自分のその後の生き方について考え始めたのは、働いて3年が経った頃。これからもずっと東京に住み続けることがいいなと思えなくなってきてからのことです。東京で仕事をするのには、刺激もあって、競争もあって、やりがいを感じていたのですが、自分が安らぐのは緑があって、人とのコミュニケーションがとりやすい、地方。なので、自分の理想の暮らしとやりがいのある仕事が両立できたらいいなと考えていました。

------暮らしと仕事を両立するためにどんなことから始めたのですか?

---(多田)まずは住むところを決めて、そこからおもしろそうな仕事を探してみようと考えました。いろいろ地方に行ったり、資料を眺めたりしたんですけど、私にとってはどこも同じように見えてしまって。きれいな景色を見ても「地元のほうがいいな」と思うようになっていました。そうして少し遠野に関心を持ち始めた時に、NCL遠野の取り組みを知って。おもしろそうなことが自分の地元から始まっていることが嬉しくて、私もここに関わりたい、とNCL遠野に参画しました。

------ありがとうございます。では、木内さんお願いします。

---(木内)私は作業療法士という医療系の資格を持っていて、これまでは宮城、福島の精神科病院や作業療法士を育成する大学に勤めていました。
病院に勤めていた頃は、主に精神障害や発達障害などのある方たちと関わることが多かったです。そんな中で、関わる皆さんそれぞれに強みや魅力的な部分がたくさんあるのに、それらが発揮できず、適切に理解されずに、うまく社会参加できなかったり、地域で暮らすことが困難な現状をたくさん見てきました。障害者手帳があることで受けられるサービスや、利用料金が割引されるといった支援はありますが、それだけではなく、その人達が仲間をつくれたり、過ごせる場所がないんだなっていうのを感じて。この人達に本当に必要なものは医療じゃないのかもしれないと思い始めました。

------病院のスタッフとして関わりながら、必要なことが医療じゃないと感じたのですね。

---(木内)そうですね。もちろん病院なので、状態によって医療が必要な段階の方はいるのですが、そうではなく、十分に回復されて健康度が高い状態にも関わらず、長期的に日常を病院で過ごしている方との関わりを通してそう感じました。病院か、福祉施設以外に行ける場所がない。こういった方々が安心してその人らしく過ごせる場所や、自然な形で地域とつながれるような環境が無いんだと思いました。大学に勤めていたときも、学校や周りに適応できないことで苦しんでいたり、悩んでいる学生が多くいて。学生の多くは、家と学校以外につながる場所がないので、そこがうまくいかなくなった時に、立ち行かなくなる。そんな時、頼りになるような安心して過ごせるサードプレイス的な場所があればいいのに、と思いました。なので、病気や障害の有無にかかわらず、どこでも起きていることは同じで、必要とされているものは共通しているように感じたんですね。
そういった経験を通して「こんな場所があったらいいな」とイメージしてきた場や仕組みを自分が地域に入って作ってみようと決めました。そこで、どんなことができるだろうかと、参加したのがソーシャルイノベーションフォーラムというイベントです。そこで代表の林がNCLについて説明していて、使われる言葉は私達の医療業界にはない表現で新鮮だったんですが、根本的に目指しているものは私が考えているものに近いなと感じられました。それから、具体的に何をするかは見えてなかったけど、自分もここへ飛び込んでみようと、応募を決意しました。

------みなさん、それぞれ想いを持ちながらNCL遠野に入られて、今はコーディネーターとしてどんなことをされているんですか?

---(多田)まずみんなが共通して行っているのは独自事業として行っている「Commons Space」と「小上がりと裏庭と道具 U」の運営です。Commons Spaceは交流拠点を目指すカフェ兼コワーキングスペース。そこではカフェのスタッフをしながら、お客さんと交流することで、私たちの取り組みや遠野にいるプレーヤーの活動を紹介したりします。Uでは多様な人がチャレンジを目指す場作りとして、イベントを企画開催しています。あとは個々それぞれに担当業務がありますね。

---(室井)これまで私が行ってきた仕事は、ディフェンシブな役割が多いのかなと思っています。例えば、行政に報告書類を提出したり、次の会議でどんな話をするのか考えたり、新たに移住して来るメンバーの家や家具の確保、遠野に視察に訪れる団体の対応といった、NCL遠野の活動を進める中でどこを落とすと危ないかを見て、最後の一線を守っている役ですね。あとは、物事に取り組むスピード感が早いチームなので、進む速度の認識に違いが出たり、コミュニケーションがうまくいかない時に、メンバーの気持ちのケアができるようにしています。

---(多田)私は室井さんから業務の引き継ぎを行っているところで、今いるラボメンバーたちのコーディネートとインキュベーションを担当しています。事業のことをラボメンバーと一緒に考えることも大切ですが、人手が足りないとき等に作業を手伝いにいき、それにより活動を応援できることもやりがいに感じます。

---(室井)多田さんが担当しているのは、起業支援をメインとしながら、事業の相談に乗ったり、スケジュールの管理をしたりするようなことですね。あとは、企業との共同企画などもお願いしています。

---(多田)ルーティーン的な業務はまた他の事務局スタッフがやってくれているので、それ以外の新規案件の対応や株式会社NextCommonsの経営を見る役割が一番大きいかなと思います。

---(室井)NCL遠野は地域おこし協力隊制度を「起業型」として活用しながら行っているので、従来の地域おこし協力隊の活動モデルにとらわれず、事業の継続を一番の目的に活動を最大化していくことが重要だと思っています。いわゆる「定住」=「成功」ということではなく、遠野や全国共通の地域課題に対して活動するラボメンバーの自由度の高い動き方に対しての理解、協力を得るための行政など関係機関との調整は重要ですね。

---(多田)基本的に何かを考えている時間がすごく多いですね。NCLの活動は重層的なので、どういうふうに相手に伝えたらいいかとか、どういうタイミングで、話をしたらいいかとか、そもそもどういうことをしたらうまく相手に伝わるだろうかみたいなところを練る時間がすごく多いなと思っています。答えが出てないことを考えるのはとても難しいですが、それだけ新しいことに挑戦しているんだな、と感じるのも確かです。

------では木内さんはどんなことをされているのでしょうか。

---(木内)私は、地域で暮らす人々の‟小さな困りごと”と、人材の‟強みやスキル”を可視化しマッチングすることで解決する仕組み「マイクロワーク」の実用化に向けて取り組んでいます。今は運用を開始する前のリサーチ段階。遠野にはどんな人がいて、どんな暮らしをしていて、どんな価値観を持っている人たちがいるのかを知ること、また、その困り事を解決するための作業はどういう工程があるのかを一緒に作業することで理解しながら、そこから得られる感覚や感情を分析して、情報をストックしています。

------地域の人たちとの関わりが重要に感じられるのですが、どのようなことを意識していますか。

マイクロワークは新しく立ち上げられる取り組みなので、地域の人と丁寧にコミュニケーションをとることを大事にしています。「知らない人たちがよくわからないことをしている」と恐怖心を抱かれないように、日頃から積極的に地域の行事や集まりの場に参加し、まずは私個人を知ってもらい、より良い関係をつくることを意識しています。気軽に話せる仲になることで、何気ない会話から、小さな困りごとがわかったり、何が得意な方なのかを知れたりします。

マイクロワークは多様な人が参加できないとマッチングが成り立たないので、リサーチの他に、プロジェクトに共感してくれる人を増やすためのコミュニティーづくりも行っています。Commons spaceやUを会場に、子供から高齢者まで、障害のあるひとないひと、誰もが場を共有して参加できるようなイベントを企画しています。

印象的だったのは、高校生や大学生と一緒に実証実験をした時のこと。マイクロワークを実施する際には、“〇〇できます(します)”または“〇〇して欲しい”ということを登録してもらうのですが、みんな“〇〇できます(します)”という部分を考えるのに悩んでいました。
そこで、自分のできることは何か、ということを一人ひとり棚卸しの作業をしました。
「マイクロワーク」は、その名のとおり「小さな仕事」なので、ごく簡単な、小さな単位の“〇〇できます(します)”ということでいいんです。例えば、“スマホの使い方教えます”とか、“話し相手になります”とか。
そうして考えていくと、自分ではこれまで強みと思ってもいなかったことが誰かの困りごとを解消したり、喜ばれるという体験となって、自分の新たな能力や可能性に気づくきっかけになりました。これからマイクロワークがうまく運用されるようになれば、より多くの多様な人々が、このような体験ができるようになると思うのでワクワクしますし、そうできるようにがんばりたいですね。

それぞれが抱いていた想いとNCL遠野の取り組みに共通点を見つけて、NCL遠野コーディネーターに着任した3名の方たち。自分に合った関わり方を見つけ、活動しています。

今回募集する企画営業を担当するアソシエイトコーディネーターは室井さん、多田さんと、マイクロワークを担当するアソシエイトコーディネーターは木内さんと協力しながら、自分の得意分野を活かして事業に取り組んでいくことになりそうです。

後編では、より具体的にアソシエイトコーディネーターの活動の様子が想像できるように、仕事への取り組み方やNCL遠野での活動を通して感じている想いについて、ご紹介します。

今回の記事を読んで、興味を抱いた方はぜひ後編も続けてお読みください。

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Next Commons Lab遠野では、2019年度次期メンバー(コーディネーター、ビアツーリズム)を募集中です!


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Next Commons Lab 遠野

2016年、遠野を皮切りに始動した「Next Commons lab」。日本各地の地域資源と起業家を掛け合わせ、新たな事業やコミュニティの創出をめざすプロジェクトです。遠野では、15人のメンバーが遠野に拠点を移し、ビール、発酵、食、テクノロジー、デザインなどに取り組んでいます。
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