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その6「巨大ロボットのイメージ」

スポーツの世界ではよく「心技体」という言葉が使われます。マラソンもまた、心技体それぞれを鍛えなければならないスポーツのひとつであると言えるでしょう。

改めて言うまでもないことですが、42.195キロを走ることはたいへんに苦しいことです。十分なトレーニングを積んで身体を鍛えても、ランニング理論を学び技術を磨いても、マラソンを走れば、筋肉は痛み、骨はきしみ、肺は張り裂けそうになります。そのような体の状態で、心を冷静に保つというのはたいへんに難しいことです。

そんなときにぼくが心がけているのが、今回ご紹介する「巨大ロボットのイメージ」です。

走っていて苦しいとき、苦しいのは体であって、心ではありません。

体が苦しいからといって、心まで苦しい思いをする必要はないのです。なので、ぼくは走っていて苦しくなってきたら、体と心を明確に分離するように心がけます。

具体的にどうするかといえば、体を巨大ロボットに見立て、心はその巨大ロボットを操縦するパイロットという設定にします。パイロットであるぼくの心は、巨大ロボットであるぼくの体の頭にある操縦席に座り、ロボットであるぼくの体が円滑に稼働するよう操作するのです。心拍数、血圧、体温、筋肉の疲労度、発汗量、のどの渇き、路面状況、気象条件、フォームの乱れ……そういった多くの情報をひとつひとつ確認しながら、ペースやストライドを調整し、給水の必要性や進路を判断していきます。

体と心をしっかりと分離することができれば、体が発する苦しいという漠然とした信号も、体のどこの部位がどんな理由でどのように痛んでいるのか冷静に分析・判断し、対処方法を考え、実行することができます。

こうした心の冷静な判断の積み重ねによって、体というロボットのパフォーマンスを最大限に発揮することができるのです。


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