Tomo

ギター弾いたり歌ったり、写真撮ったり猫と寝たり。https://instagram.c…

Tomo

ギター弾いたり歌ったり、写真撮ったり猫と寝たり。https://instagram.com/tm_amks

最近の記事

紙ふぶきのように、流星

幼さゆえ、無邪気なくらいに空気が読めなかった。だからといってそれを理由にすることも、そもそも理由なんて存在してはいけないが、小学5年生で入団した小学校のミニバスケットボール少年団の中で、ひょんな言動からすぐにいじめの標的となってしまった。コーチや良心ある父兄がいくら注意しようとも、いじめっ子はもとより、その親も最後まで反省の色を見せなかった。さらに事態をややこしくさせたのは、いじめっ子は単身でなく複数人で、その中には兄弟が何組も含まれていること。その上、小学校を卒業してもそっ

    • 大好きなバンドと共に生きていける幸せ

      くるりライブツアー2022、全公演無事完走。 昨年Zeppを周るツアーは開催されたものの、全国の小箱を巡るツアーは実に2019年振りであった。 その2019年のツアー以降、毎年参加していた京都音楽博覧会にこの年は参加できず、そのまま世間はコロナ禍へ突入。リアルタイムで活動を追いかけて初めて、2年余りの間くるりのライブに観に行けない状態が続いた。結成25周年記念ライブ『くるりの25回転』の大阪公演のチケットを取っていたが、急激な感染拡大によりあえなく遠征を断念した苦い思い出が記

      • 3月11日の日記

        眠たい身体を無理矢理起こして駅に向かう。 開いた電車のドアから並び行く、社会人と学生の群れ。 昨日の続きのはずなのに、どこか電車内に立ち込める微かな緊張感はその日を物語っているからなのか。 10年前のことが嘘のように、空は雲一つない青空だった。あの日はしんしんと牡丹雪が降っていた。 「ブレーメン 外は青い空」 ふと聴きたくなって、くるりの『ブレーメン』を聴きながら会社へ向かって歩く。 あれから『ブレーメン』は自分の中で大切な曲になった。 今日も今日とて忙しなく時間は進む。

        • 音楽で愛すラーメンズ+小林賢太郎

          2020年12月1日。 その日もなんら変わりのないいつも通りの朝で、けれど何故かなんとなくanonymassが聴きたくなって、久しぶりに再生ボタンを押してみる。東京に住んでいた頃がちょっとだけ懐かしくなって、次の休みには久しぶりに『Sweet7』のDVDでも観ようかなぁ、なんて思っていた。いつも通り仕事に取り掛かり、ひと段落した昼過ぎ。ふとスマホを開いたら、トップに上がっていたあるひとつのニュースと目が合った。 「ラーメンズ 小林賢太郎が引退」 マスクの中で小さく「えっ」

        紙ふぶきのように、流星

          翻訳機があればいいのに

          去り際、嫌味を言われたような気がした。 今の仕事は接客業で、毎日毎日レジを打っている。 コロナの影響は少なからず出ているものの、連日店は沢山のお客さんで賑わっていて忙しい。しかしこちら側もコロナにかかるまいと命懸けなので、マスクは必須、ゴム手袋着用、金銭はトレイのやり取りと様々な対策を講じている日々である。 このご時世、理解してくれる人もいるけれどすべてがすべてそうじゃない。意図を知ってか知らずか、上から垂らしたビニールシートの仕切りを暖簾のようにめくってこちら側を覗き

          翻訳機があればいいのに

          屈折した世界線の春

          気付いたら春だった。 4月から環境が変わり、毎日細々とながら忙しく仕事をしている。 久々に接客業をしているのだが、あんなにあらゆるメディアで声高々に訴えられているはずのソーシャルディスタンスが存在しない世界に辿りついてしまったらしい。 レジに並ぶ人、人、人。買い物カゴ一個分すらない距離感。「密です」と突っ込まれたいんですか?言いたい。あるある言いたい。 金銭をトレイでやり取りすることになっているのに、『となりのトトロ』でカンタが傘を差し出すシーンのごとく圧をかけて無言で手

          屈折した世界線の春

          ラジオより愛を込めて

          10年経とうとする今も覚えている、5月の最初の月曜日。 高校に入学したことだし、何か新しいことを始めようかなと考えていた中、「そういえばこの前ネットで話題になっていたラジオ番組があったな、あれ聴いてみようかな」と思い出したのが夕方。 少しドキドキしながら夜を待った。 『SCHOOL OF LOCK!』というラジオ番組がある。 ''未来の鍵を握るラジオの中の学校''というコンセプトのもと、TOKYO FMをキーステーションに全国38局ネットで22時より放送されるその番組は、主

          ラジオより愛を込めて

          I'm here/not here

          #404美術館

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          はじめの一音

          「26歳になったらトランペットを始めよう」と決めたのは、確か1年ちょっと前のこと。 ふと思い立ったそれは特段何か大きなきっかけがあったわけでもなく、例えるなら椅子の背もたれに寄りかかり「うーん」と伸びをした拍子にぱっと閃いたような、そんな感覚だった。 ただ、そんな思いが生まれる前からささやかな憧れはあった。 昔から大好きな"くるり''というバンドがいる。 1998年にデビューしてから幾多のメンバーチェンジを経ながら多彩な楽曲を沢山発表している。現在のメンバーはボーカ

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          ささやかな祈りと抵抗

          昼。12時。 大勢の人で賑わう職場の食堂は一般の人もよく利用していて、その日も高齢の女性2人組と相席になった。食堂の使い方を教えてあげたのがきっかけで少しずつ話が広がっていくと、女性が震災前に住んでいた場所が、今は亡き祖母の家の近所だということがわかった。津波により壊滅的な被害を受けたそこは復旧工事が完了し、懐かしい面影はかさ増しして新しくなった道路に埋もれてしまっている。 「昔の住所ももう忘れてしまいそうだわ」 寂しそうに笑ったその表情に胸が痛んだのと同時に、自

          ささやかな祈りと抵抗

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          壁に白ペンキを塗り終えて、再びまっさらな部屋に戻った。 今年の夏がまるで夢のよう。 ふと気になって検索してみると、わが街の人口は名付けたタイトルよりもさらに数が減っていた。 人生で最も濃密だった夏が終わって、今のところ穏やかに過ごしている。ぼちぼち来春参加する写真展に向けて動き出すところ。このペースでは瞬きする間に年を越し、ひとつ欠伸をする間に春が来るみたいだ。 少し時間を巻き戻してみる。 今までSNSを中心に作品を展開してきたのに対し現実世界での制作は手探りの連

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          続・響いていけ、どこまでも

          朝、目が覚めて、まだ覚醒しきっていない頭のままいつもの癖でTwitterを開く。ぼんやりしている視界に、ひとつのツイートが飛び込んできた。 一気に目が覚めた。 「えっ、あの源さんが」と驚くのと同時に「あぁ、そっか、そうだよな」とすんなり納得した自分もいた。 納得したのはここで説明する必要もないくらい、すでに源さんは名が知られた人気者であること、今回のワールド・ツアーで再び共演するマーク・ロンソンなど海外のアーティストと交流する機会がこれまであったからである。 また、最

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          証明する写真

          久々にスーツに袖を通す。 最後に着たのはまだ東京に住んでいる時、英検の試験監督のアルバイトだったろうか。 はっきりとした記憶はそこで止まっている。 それくらい久しぶりなものだから、スーツはあれど、それに合うシャツがどうしても見つからなかった。 いつもの白ブラウスを着てみたけれど、地味に胸元が開きすぎてスーツに合わせるにはどうも見苦しい。 スーツのお店に駆け込み、一番手頃なシャツを手に取る。 試着室の鏡に映った姿は、髪型を除けば上京したての入学式と大して変わりなくて思わず少し苦

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          吾輩は猫舌である

          吾輩は猫舌である。好きな飲み物はスタバのチョコチップ&チョコソース入りバニラクリームフラペチーノだ。 いつから猫舌なのか見当がつかぬ。物心ついた時には既に猫舌で、幼稚園の芋掘り大会にて振舞われた豚汁を「あっちぃ」と言いながら必死の形相で食べていたことは記憶している。 後に父も猫舌であることを知った。あぁもうこれは血筋だ、と幼心で悟ったのは言うまでもない。 吾輩は炭酸飲料が飲めぬ。ジュースも得意ではない。 したがって飲み物の選択肢が限られてしまうことは明らかである。 今

          吾輩は猫舌である

          最果ての星

          ゆっくり用事を済ませるはずが、思いのほか早くに終わってしまった。 仕事は午後からにしたのでまだ時間がある。 さて、どうしようか。 あてもなくリサイクルショップに立ち寄ってみる。 ふと目に入ったのはポラロイドカメラ。プラスチックタイプ。まさかここで出会うとは。 見た感じ状態は良さげ。しかし動作未確認。長いこと動かしてないらしい。生きてるかジャンクかの二者択一。ちなみにフィルムは2700円也。 以前にカメラ屋さんの店員に言われた 「このポラロイドカメラを分解することは、完成し

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          人生は次のコーナーに

          同学年の中で、一番付き合いの長い友達が結婚することになった。 相手は同級生。今まで直接的な付き合いはないけど、わたしもよく知っている。 二人の独身最後の夜、同じく同級生の仲間達で集まってお祝いをした。 みんながみんな、お互いに小さい頃からの姿を知っている。物心ついた時から一緒に成長してきたのだ。 となると、話題は自然と他の同級生の話に。 誰々と誰々が付き合ってる。 誰々は今結婚して東京で暮らしてる。 〇〇高の誰々知ってる?〇〇部の。 この前〇〇で誰々に会ったよ。もうすぐ

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