【web3】ガス代の基礎知識①

 僕は現在、千葉工業大学の「web3概論」という授業を社会人枠で受講しているのですが、そこに提出したweb3のガス代に関するレポートを、僕のnoteでも今日から数回に分けて投稿していこうと思います。ちなみに自身が書いたレポートを外部に公開することに関しては問題ないそうです。

 なおこのレポートは、イーサリアムとかスマートコントラクトとか、なんとなく名前は知っているけどよく理解していないという方を対象にしています。ゆえに全く知らないという方にとっては少し難解かもしれません。ただ、初心者向けには書いているつもりなので、よければ読んでみてください。
 そして、この記事がweb3を理解する一助となれば幸いです。それでは始めましょう。

そもそもどうしてガス代っていうの?

 一般的な文脈におけるガス代という単語は、ガス給湯器やガスコンロを使用したときに発生する料金のことを指し、その使用量に応じて従量課金制で料金が徴収される、というのが皆さんが持っている認識ではないでしょうか。
 一方でweb3においてガス代という単語を使用する場合、それはイーサリアムネットワーク上でトランザクションを実行したり、スマートコントラクトを利用したりする際に必要な手数料のことを指します。

 では何故その手数料のことをガス代と呼ぶんでしょうか?みんな当たり前のようにこの用語を使用していますが、きっと最初は誰もがこの用法を奇妙に思ったことでしょう。したがってこのレポートでは、なぜそのような呼称になったのかという疑問からスタートし、ガス代の利点について解説したあとに、いま現在抱えている課題とその解決策についても触れたいと思います。
 ではまず、ガス代という名称の謎ついて見ていきましょう。もともとこの表現はイーサリアムの創設者であるヴィタリック・ブテリンによって提唱されたのでした。

“燃料”というアナロジー

 ガス代という用語は、はじめこそ奇妙に映りますが、学習が進むにつれて、イーサリアムのコンピューティングモデルと、リソース消費量の測定単位としての役割を的確に表現している名称だということがわかってきます。また、ガスという比喩そのものが、ユーザーにとって身近でわかりやすく、イーサリアムのシステムを直感的に理解するのにも役立っているのです。

 ここでイーサリアムのコンピューティングモデルとは、世界中のコンピューターが分散ネットワークを形成し、スマートコントラクトを実行するという環境を指します。そしてEthereum Virtual Machine(EVM)が、このモデルを実現するための仮想マシンとしての役割を果たしています。
 イーサリアムネットワークではガス(トランザクション手数料)を消費することでスマートコントラクトが実行されます。それは自動車がガスを燃焼させることによって前進するの類似した構造になっています。このように、イーサリアムのモデルを、ガス燃料によって動作する自動車エンジンの仕組みに見立てたことから、ガス代という表現が用いられているんですね。

 またイーサリアムにおいて、ガスはトランザクションやスマートコントラクトの実行に必要なリソース消費量を測定するために重要な役割を果たしています。特定のトランザクションを実行しようと思った際に、どれくらいの燃料が必要なのかがわからないと、迂闊に実行できませんよね。
 ガスは、計算力、ストレージ、ネットワーク帯域幅などのリソース消費量を抽象化した単位であり、各操作に割り当てられたガスコストによって、リソース使用量が適切に測定されます。ちょっと言い回しがややこしいですが、ざっくりいうと、どこにどれだけコストがかかっているのかを、ガスという概念で定量的に測定することが可能になっているということです。 

 
 今日はここまで。次回はガス代の具体的な役割について説明していこうと思います。
 それではまた!

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