【web3】ガス代の基礎知識②

 千葉工業大学の「web3概論」で提出したレポートの第二回目。
 前回はガス代という名前がついた理由から始めて、導入的なお話をしました。今日はその続きから。

ガス代は単なるコスト?

 ここまでの説明で、ガス代はイーサリアムネットワークにおけるリソース消費量の測定単位であり、トランザクションやスマートコントラクトを稼働させるのに必要なリソース相当額を、手数料として徴収していることがわかりました。そのような性質上、ガス代は単なる取引上のコストと捉えることもできますが、実はユーザーにとっても多大な利益をもたらしています。そもそもガスという概念が、イーサリアムネットワークの安全性、効率性、および公平性を維持するための重要な仕組みであり、イーサリアムのコンセプトと密接に関連しているんですね。以下で具体的にみていきましょう。

ネットワークの安全性確保
 
ガス代は、イーサリアムネットワークの安全性を確保するための重要な役割を果たしています。たとえば攻撃者が大量のトランザクションを送信してネットワークを混乱させようとしても、それぞれのトランザクションにはガス代が必要なため、必然的に攻撃のコストは高くなりますよね。このように、攻撃者に対して経済合理的に見合わないコストを強いることで、攻撃を抑止することが可能になります。
 また、悪意のあるユーザーが、無限ループを含む1つのスマートコントラクトを実行しようとした場合においても、ガスは有効に機能します。何故なら、ガス代には上限(ガスリミット)が存在し、単一のトランザクションまたはスマートコントラクトの実行に使用できる最大ガス量というものが指定されているからです。したがって、仮に無限ループによってネットワークのリソースを枯渇させようとした場合においても、ガスリミットが発動することでスマートコントラクトの実行は打ち切られるため、ネットワークを保護することができます。

ネットワークの効率性向上
 
ガス代は、トランザクションの優先度設定にも役立ちます。ユーザーは、ガス価格を高く設定することで、自分のトランザクションを優先的に処理してもらうことができます。要は自分のニーズに応じて適切なガス価格を選択することができるということですね。これによって時間制約のある重要なトランザクションを迅速に実行することが可能になります。
 また、ガス価格は需給バランスにより、ネットワークの混雑時にはガス価格が上昇します。これにより、緊急性の低いトランザクションは後回しにされ、ネットワークの負荷も分散され、混雑緩和にもつながります。
 他にもガス価格が上昇した場合、マイナーはより多くの報酬を得ることができますが、これによりマイナーがネットワークの維持に積極的に参加するインセンティブが生まれている点も、結果的にネットワークの効率性向上に寄与していると言えるでしょう。

リソースの公平な配分
 
ガス代は、計算力、ストレージ、ネットワーク帯域幅などのリソースを消費するトランザクションやスマートコントラクトに対して課金されます。これにより、リソースを多く消費するユーザーは、それに見合ったコストを支払うことになり、リソースの公平な配分が促進されます。要はガスという概念を導入したおかげで、使ったら使った分だけ、ちゃんとコストを支払うような仕組みを作ることができたということですね。

ここまでのまとめ

 このように、イーサリアムネットワークの安全性と効率性、公平性はガス代の存在によって担保されています。これはガス代が、イーサリアムネットワークを維持するための重要なインセンティブを提供していることを意味しています。

 そろそろ長くなってきたので今日はここまで。次回はガス代の課題について説明していきます。
 それではまた!

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