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カウンセラーのための社会構成主義入門その1

 表題と同じキンドル本をアマゾンに上げているのですが。アマゾンのカスタマーレビューで「浅すぎる。こんなレベルの文章、金とらないでnoteにでも載せておけばいい」と書かれましたので(550円で売ってます。キンドルアンリミテッドだと0円ですが)、このレビューを前向きに捉えて、簡略版をnoteに載せてみたいと思います(笑)。とはいえキンドル本と同じことを書いたり要約したりしたのでは面白くないし、お金を出して買ってくれた人にも申し訳ないので、切り口を変えて書いてみたいと思います。
 思いつきで書いているので、そのうち削除するかもしれませんが。

 「社会構成主義とは何か」と書くと、哲学論争に巻き込まれかねないので、いきなり「カウンセリングで用いられる社会構成主義/ナラティブアプローチの技法とはどんなものか」から書きます。分かりやすいように解決志向アプローチの例で説明します。
 例えば学校で週に1回くらい荒れるAくんという生徒がいたとします。我々はつい「Aくんはなぜ学校で荒れるのか」という「原因」を探しがちです。例えば家庭の不和。でも原因が分かってもただちに解決できるとは限りません。こうした原因追及の語りではなく、「逆に言えば、週に6日は荒れていない。週に6日荒れずに済む原因は何なのか」を追求していきます。そこにはAくん自身の忍耐力もあるでしょうし、友人Bくんや理解者C教員の存在などもあるかもしれません。
 このように「問題に焦点を当てた語り」ではなくて「問題がない、あるいは軽い時に焦点を当てた語り」をすることで、解決に早くたどりつける可能性が示されています。

 上記の例の場合、我々はややもすると「(学校で荒れているのだから)Aくん自身が問題だ」と考えがちです。もちろん、ひょっとして家庭の不和のせいで学校でいろいろなことに耐えることにむしゃくしゃしたのかもしれません。あるいは家庭の不和をクラスメイトに指摘されて、苛立ったかもしれません。Aくんの性格ももちろんあるのでしょうが、「Aくんだけの責任」というよりかは「Aくんが置かれた環境」にもよるでしょう。その証拠に週に6日は荒れていません。
 「問題」を個人の個別的問題と捉えずに「社会によって構成された問題」と認識して、1つ1つ解きほぐしていくことで、たぶん本人も困っているであろう問題に対して、支援者が本人と同盟関係を作って問題解決をしていきやすくなります。
 そこがカウンセリングの社会構成主義(ナラティブアプローチ)の本質なのだろうと思います。
※ちなみに医療・介護分野では社会構成主義という単語もナラティブアプローチという単語も違う使いかたをするようです。
 

 

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