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ダグラス・ヘイリーからキャリアカウンセリングのナラティブアプローチを考える

 ジェイ・ダグラス・ヘイリー(1923~2007)はベイトソンのプロジェクトに参加し、ミルトン・エリクソン、ジョセフ・ウォルピ、フロム=ライヒマンなどの撮影・観察を行ったといいます。その後ミルトン・エリクソンと交流を続けたそうで、エリクソンの「逆説的介入」を導入した実践家でもあります。70年代にはミニューチン(構造派家族療法)との共同研究も行っています。ヘイリーは戦略派(家族療法)と分類されているようですね。wikipediaによると、もともとは演劇の学士号や図書館学の学士号を持つ、興味の分野の幅広い人であったようです(その後、コミュニケーション理論の修士号を取って、ベイトソンにつながっていく模様)。

 逆説的介入というのは反抗している子どもにセラピストが「もっと反抗しなさい」というような指示をする感じで進めます。子どもが反抗するとセラピストの言うことを聞いたことになるし、セラピストに反抗すれば大人しくせざるを得ない。こういうダブルバインドの状態を活用するようです。
 大学生のキャリアカウンセリングやキャリア教育でいうと、失敗を恐れてチャレンジできない学生に対して「失敗を恐れるな」ではなくて、「まず失敗しておいで」「最初は失敗を目標にしてみよう」というように使っています。そうすると失敗が目標だったので失敗するのが「成功」、もし成功してしまったら「それはそれで良かったね」で済みます。
 「嫌われたくないから人に近づかない」という若者の少なくありません。「じゃまず、あなたが苦手な人に嫌われに行ってごらん」「嫌われる勇気を持て」「どうすれば嫌われると思う?」という手もあるのかもしれません。さすがにワタシもそこまでは言っておらず、「好かれるか嫌われるか、あるいはあなたが相手を好きか嫌いかも、近づかないと分からないんじゃない?」「近づかないと嫌われないけど、好かれもしないよ」くらいにマイルドにして伝えますが。
 ヘイリーはリフレーミングやメタファ、症状処方(逆説的指示:問題をわざと強く表現させたり、周囲の人に問題を敢えて放置させたりする)などの技法も使っていたようです。


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