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暗記、点論

暗記の目的は、広がりのための足場を作ることだ。暗記をすることが最後ではなく、あくまで暗記をすることによって思考の広がりの途中を作ること。

暗記は思考より情報として捉えたい。情報という点。自分の中心や既知の事実から、少し離れた点まで一本の道を作ること。そうやって少しずつ道を開拓していき網目のように思考を張り巡らせていくための拠点作りをすることだ。

必然的に、暗記をするときは多くを求めない。情報を思い出すためのキューを設定することが大切である。情報を思い出すためのキューというのは、自分の既知に作ること。より広げて言うと、訪れやすい場所がキューである必要がある。

場所法/Method of Lociは、脳内の情報という点同士の繋がり、そして空間の広がりと創造した空間に手がかりを置くことにより記憶することの対応が、少し面白い。

場所細胞なるものが脳にはあるという。

暗記をするときは、必ず対象の点までたどり着くような点をキューとして設定すること。キューは既知であるのが重要だ。点同士のつながりを洗練させるのは後からでもできる。

「ああ、あのとき先生が言っていたことってこういうことだったのか」

点と点は一対一対応にさせる必要がある。なぜなら暗記は頑丈な足場でなくてはいけなくて、頻繁に訪れられる場所にないといけないからだ。到達点―暗記する対象にたどり着くまでに時間がかかっていたら、それは足場ではなくゴール担ってしまう。

目的を思い出すと、あくまで自分から広げて足場を作り出すということ。だから、キューを自分に全く関係のないものにしていてはいけない。そもそも開始地点がどこか分からず、答えにたどり着くことができなくなる。もしくは、たどり着くことはできるけれど全く使うことはできない。

「ヴォルテールはバスティーユ牢獄に投獄されたんだよね」

「だから?」

「さあ?🤷‍♀️」

思考の網目を広げるために、まずは点を繋げていくことだ。

開始地点に対して、答えを一本道で進めることが大切。どちらを進めば到達できるのかを考える必要はない。最初から全ての別解をと欲張ってすべての分かれ道で悩んでしまったら、その到達点は将来使えるものにはならない。完璧でなくても良いその一本道を、いかに速く進めるようになるかだけを考えるのが暗記だ。

暗記に適した良い開始地点、つまり問題は答えと一対一対応である。どれが答えになるかを悩む必要がない。

続いての考慮事項は、答えにつながる道。ここでは暗記を「既知と未知を一直線でつなぎ、一旦未知を既知にする」ということ。なので、開始地点から複数で枝分かれさせない。別解を考えない

語呂合わせや場所法の利点は、開始地点と到達点間に無限に生まれてしまう通り道を、空間記憶や、印象的なイメージ・色・吸引する重力のある点的な存在として、一つに収束させること。中間地点を作る(語呂)か、ワープさせる(場所法)

一本とりあえず固定して繋げて、できたその後で別解などを繋げていく。別解は既存の足場の上で行う。
通りやすくなった上ではじめて、理解などのために行き来できるようになる。暗記はあくまで仮のもの。

問題を解くとき、なぜ?式のものは、暗記に当てはまらない。なぜ?を考えるのは、「生成・想起」によって既知を揺さぶること。既知の点たちに揺さぶりをかけて、あらたなつながりを既知内で生み出すこと。暗記ではない。


だから、たとえばAnkiアプリなどで「なぜ?」式の問題を解くのは少し注意がいるということになる。

到達点へつながる道を一つに定めることが難しいし、一点に対して複数の到達点が対応してしまう。Ankiでやるなら、意識的に点数制で行う方がよい。

正解→正解
退屈に感じるぐらいの正解→簡単
あと少しで正解→難しい
完全に忘れていた→不正解

暗記をしていて不正解が複数続いてしまう場合、

  1. 問題と答えの距離が遠すぎる

  2. 中間経由地点が沢山ありすぎる

  3. 問題が遠くにある

場合がある。問題のリファクタリングが必要だ。いかに点と点を近づけるか?そして、問題の中のキューに意識的になること。

暗記の問題を作る際、優先順位がある。
それは、既存の知識点群もしくは近いうちに得る知識点群に、どのぐらい近いか。

つまり、自分の趣味好みにどれぐらい近いかというのと、どれだけその分野の中で重要かどうかである。

既存の知識というのは、自分の趣味好みも入る。というかそれがいちばん重要である。知識はどこまで言っても自分のものであるし、自分を入れずに真面目に的な社会の勉強圧とは関係なく広げていくべきだ。

その知識群の重要なところからというのは将来のための投資的な暗記だ。こういうもののために、場所法が存在する。脳内の思い出からワームホール・キューを作り、対象の知識空間までつなげる。

自分の近くの点群が成長するのと同時に、対象の点群も成長する。それらが将来的に出会うことを待つことが、自分関係なく重要なことを覚えることと言えるだろう。

どちらも大切だけれど、できる限り自分に引き付けること。自分に引き付け方は色々ある。私は、コーヒーが好きなのでヴォルテールが少し好きになった。彼は1日40杯から50杯のコーヒーを飲むという。ほかにも図示することはワームホール的に自身に引き付けることになる。図示する、もしくは対象知識の構造を明確に理解する。

対象構造の理解はストーリー的な意味合いもある。より普遍的な感情的な強いつながりを通じて学習する。

繋げやすい方が、楽に覚えられる。楽にできる小さなことからやること。年号なんていうのは、ほんとに後からで良い。よほど繋げやすい語呂があるか、年号自体に特殊な磁場があることを知っているかどうかだ。
特殊な磁場というのは、その年に歴史的に大きな(かつ自分にとって重要)ことが起きたことを知っている場合。

暗記は、如何に固定した点と点のつながりにできるかだ。ぶらして思考をするには、まず点は固定しておいたほうがいい。

そして、シンプルである必要がある。
入り口は近くにあるように。そうしないと、通りづらい道になる。

なるべく、広がりやすい場所に通れる道を。そして、道は今ある場所から通りやすいように。

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