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フタリソウサシナリオの書き方【我流】

いくつかのTRPGシステムのシナリオを趣味で書いているのですが、「バディサスペンスTRPG フタリソウサ」って書けば書く程「フタリソウサってこういうことができるんだ……」っていうのがわかる、と思いました。
そんな思考整理です。
あとみんなシナリオ書いてくれ。記事の使えそうなところは使ってください。私はシナリオを読みたいし遊びたい。


ルールブックはここが味方

ひとまずシナリオ書きたい人はルールブック・追加ルール・シナリオブックのここが味方になってくれます。

  • フタリソウサ P204-212

  • 怪盗からの誘惑(シナリオ作りサポート) P238-250 ⇐とくにコレ

  • フタリケイジ(コラム・シナリオを作成する際に) P126

知ってたカードの組み方

これ「こういうことできるじゃん……」って気づくまでかなり手を動かしました。プレイするよりは知ってたカード書いて、何処をキーワードにするか位置を括弧の位置を移動させて考えていると、それが経験値になるんですね。
GMしていて、「探偵が捜査フェイズで何を助手に話すか」とか聞いているのもまた判断材料にはなりますが、何せGMしている中そんな器用なこと常には出来ないので(むしろ稀)前者が大きい気がする(テストプレイで参考になる場所ではありそう)。

知ってたカードを知るタイミング

  1. 知ってたカードが配られた瞬間、探偵が地の文で知る内容

  2. 助手がキーワードのみで知る内容

  3. 探偵がキーワードが埋まって知る内容

アクションとイベント表を考えなければ、このどれかです。つまり、
以下の遊び方ができます。

短いスパンの遊び方

  • 知ってたカードの地の文に、配った時点で探偵に伝えたい情報を載せる

  • キーワードとして助手にもあえて見せる

  • 知ってたカードの地の文に書き、探偵が言うかどうかで助手は知る塩梅にする

たとえば、
■地の文に「犯人は別にいる」と書けば、現場を一目見た探偵がそのように告げることができる。「……と思うじゃん?」「初歩的な話だよ」みたいなロールプレイを補助しやすい。
■地の文に「犯人はバナナの皮を「①」だ。」と書いておくと、探偵のプレイヤーが「犯人……バナナの皮踏んで転んだんか……」と思ってくれるかもしれない。「①トリックに使ったん」かもしれないじゃないか。
■キーワードで「①怪奇★」「②ねこふわふわ」「③オーストラリアはいいところ」が並ぶと助手が本当に何もわからなくて困惑するかも。(これはシチュエーション捜査の処理も困惑するかも)
■キーワードのみで推理できそうに設定すれば助手の成長シナリオもかけるし、逆にミスリードとわかる状態でミスリードとして用意すれば探偵と「なるほど、面白い推理だ。違うけどね……(真実)」「そ、そうか!」みたいなやり取りが楽しめる。
※ミスリードとわかるように用意するのはミソで、プレイヤーレベルでは「これは間違ってるんだろうな」とわかっていて、ロールプレイとしてミスリードすることが楽しい。プレイヤーが理不尽に間違うのは割と楽しくなかったりする。また、このロールプレイが合わないバディ、好みでないプレイヤーはこのロールプレイをしない選択もできる。
■探偵が語りたくない内容、伝える必要がないと思うような内容、その時点で不明瞭すぎる内容は伏せるだろう。逆にこれなら伝えるだろうなというものもある。秘めたる思考である。昨今のCoC6版の同人シナリオ、秘匿ハンドアウトに概念はやや近い気がしている。

長いスパンの遊び方

  • キーワードが埋まっていくごとに、段階ごとに探偵が完成した文章を理解する。

  • 知ってたカードが配られると「今までのキーワードが埋まったカード」と「新しいカードの地の文」の内容がわかる

所謂どんでん返しがストーリーレベルでもできるし、探偵が「そうか、そうだったのか」とロールプレイすることもできます。意地悪な遊び方をするなら1枚目に探偵が話しにくい話を書いておき、2枚目に話さざるを得ない状況を書いておくと、ギャグシリアス問わず、秘めたる思考を告白することになるとかもできそうです。(この遊び方はやり方によって楽しくないので取り扱い注意)
キーワードが埋まっていく過程でのどんでん返しと違って、知ってたカード配布のどんでん返しは、配布した知ってたカードの地の文でどんでん返せるので、カード配布での方が大きいことができるのとキーワードより返すの楽かもですね。

難易度調整の仕方

シナリオを読む、プレイすることでこのシナリオがギリギリ難しいみたいなラインというのが見えます。
難易度はリソースが大体余裕と感情なので捜査困難レベルと重要キーワードで調整します。

捜査困難レベルの組み方

助手の成功率は有利不利なし6割強なので2回に1回余裕を1点獲得と計算してもいい……はず……(自信がなくなるTRPGプレイヤーのサガ)。探偵2割または助手3割のスペシャルもありますからね……。
とすると……(面倒な人は総括を見るんだ)

概算

余裕収入見込み
※全てのシーンで助手が有利不利なしで1回判定、2回に1回成功、成功のうち1回はスペシャル(探偵のスペシャルは割愛)と計算
1サイクル終了時3回判定→累計余裕4点
2サイクル終了時5回判定→累計余裕6点
3サイクル終了時7回判定→累計余裕7点

余裕支出見込み(捜査困難レベル3からスタートの場合)
1サイクル終了時→余裕3点
2サイクル終了時→余裕4点(累計7点)
3サイクル終了時→余裕5点(累計12点)

4点足りないんですが、告白の期待値は満たしています。
探偵のスペシャル2割(助手と重複したらきえるのでもうちょっと発動する確率は低いかな)と有利がつくことはそこそこあるというのを安全率として余白にします。
この範囲だったら心労まで込みで考えると、よっぽど呪われていない限り迷宮入りにはならない気がします。心労がつくことはあるかも。
4サイクル終了するのであればさらに6点余裕が減少します。
【判定で入手する余裕の概算】+【ちょっと余白(探偵のスぺとか有利)】+【告白の期待値】でピッタリの3サイクル終了なのでリソースが消えます。4サイクル終了時がちょうど心労2点1点(※1/11訂正しました)の期待値というのはやや怖い。
心労2点最小値も4点なのでやっぱりやや怖い(※1/11追記しました)。
ギリ4サイクル終わらないのであればキーワードは8個、助手が2回に1回成功、告白、初期感情加味すると探偵の感情から重要キーワードは6個で大体14個くらいのキーワードです。キーワードが取れないイベント表の存在や、余裕は心労でなんとかなるけど感情は補填がシーン延長しかないので、もうちょっとキーワード数の余白はみたほうがいいかも?

総括

つまり、捜査困難レベル3スタート4サイクル終わらない程度がなんかヒヤっとするライン。2スタートとかにしておくと無難だし、1スタートだと余裕のことは何も気にしなくてよい。
心配な時はマスターシーンやフタリソウサシーンで判定を増やしておくと余裕や感情が貯金できたり、マスターシーンでキーワードを渡しておくとサイクルの短縮はできます(判定の有無や確定で助手に入る感情の有無に注意)
捜査困難レベルをマスターシーンで上げ下げしても楽しいですね。
捜査困難レベル低く見積もってるけど余ってる余裕が気になる……時は余ってる余裕を払うと何かができるマスターシーンにしても面白いかも?

重要キーワードの組み方

助手が2回に1回成功……で計算して重要キーワードを設置する感じです。ただ、先述した通り、余裕は心労でなんとかなるけど感情は補填がシーン延長しかないので、サイクル数(プレイ時間)を考えたいならちょっと重要キーワードについて余裕は見た方がいいかも。という事でキーワード数3個前後につき重要キーワード1個とか。

余裕で難易度調整すると迷宮入りや心労が怖くなるので、捜査困難レベルを低く設定して、シーン延長すればいいやと感情で難易度調整するのが最初は良いかもです。重要キーワードが多いと「感情足りないかも」とドキドキすることが楽しめます。プレイヤーレベルで告白したくもなります。
一見感情が足りないと見せかけてマスターシーンで感情取ってもらうのもいいかもですね。

最後のフタリソウサシーン後、アクションのリソースとしても感情を使わないタイミングに告白してしまうと告白に関する感情が強い感情にならないのが、個人的にもったいなくて、「このフタリソウサシーン前に告白しないと感情足りないよ」という状況を作ることもあります。

シナリオの小ネタ

これは本当に最近に気づいたのでまだシナリオには反映していないです。そのうちもうちょっとテクニック飲み込めたらやりたいかも。

サスペンス好きへの回し方とバディ好きへの回し方ってたぶん違いますね。

もちろん、どっちも好きというのは置いといて、どっちに比重を置くかという場面ってたぶんあります。
どちらもお約束を投げてお約束を返す気持ちよさがあります。フタリソウサのルールブック読んだらわかると思うんですけど、バディサスペンスってお約束が美味しい面もあるんですよ。
でも例えば
「こんなことだろうと思ったよ」はバディのお約束。
「大した想像力だ。小説家にでもなったらどうですか?」はサスペンスのお約束。
このラインだとどっちも好きな人が多い気がするけれど、もうちょいニッチなところに行くとどっちに比重を置くかというのはありそうです。スラングや言葉遊びと同じでネタに気づけるかとかもあります。
ロールプレイでもサスペンス好きのサスペンスあるある応酬からしか得られないものはあるかもですが、シナリオ側からも狙えるとは思います。
シナリオの狙い(プレイヤーの楽しみポイント)は明確でわかりやすいとキャッチーです。これはサスペンス好きが気づくと拾って使ってくれるだろう、これはバディ好きが拾って活用してくれるかもしれない、そういうの置いておくといいかもですね。がんばりたい。

実際にやってみた

知ってたカード意識して組んだもの

推しバディを閉じ込めたい♡告白したら出られる部屋

ナンデ公式に既にあったの

フタリソウサ正月スペシャル「見えない星明かりの9番」

難易度を意識して組んだもの

ねこと館と探し物

豪華客船に沈む

烏館と2人の探偵

フタリソウサ正月スペシャル「見えない星明かりの9番」

余談、公式シナリオ分析

※1/18追記
探偵フェスティバル掲載の「巨大生物VS名探偵」がかなり良くできたシナリオで、初心者GMしていた当時かなり分析していたのがわかりやすかったので添付。上記に重複する内容ではあります。これは具体例とセットです。
もちろん当該シナリオのネタバレを含みます。

事件と凶器と犯人と動機はダイスで何となく決めて君もフタリソウサシナリオを書こう!

間違った見出しの使い方。この記事で一番言いたかったことを目立たせていく。
フタリソウサってよくできたサスペンスシステムで、ミスリードを誘わず、謎と推理の相性の格差(正直頭の良さではなく、相性だと私は思っています)でしょんぼりすることもなく、世界観とゲームシステムがマッチしているのでゲーム的なのに没入感があるというか、むしろ没入感を誘うためにゲーム的な部分があります(感情の記載など)。
程よくプレイヤーとキャラクターが乖離できるところもありますね。観客席で見たり、キャラクターと同じ目線で見たり、推理ドラマの視聴者になったり。
その内容ってシナリオを書くと余計に身に染みてわかります。ミスリードを誘わないようにしたり、没入感を誘ったり、観客席やキャラクター目線や推理ドラマの視聴者になっているプレイヤーを楽しませたり、システムの目指す方向とシナリオの目指す方向は大体一緒です。そのためにシステムを借りるので自然と「フタリソウサってよくできてんな……こういうこともできるの……」になるのです(あと公式シナリオにすごいなと思ったりする。
楽しいので君もこっち側に来ないか!?

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