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AURORA写真塾 ダイジェスト 2024.03 愛用品の記念撮影 -グラスの撮影方法紹介します

こちらの記事でお知らせした通り、2023年4月からNHK文化センター AURORA写真塾は東京・青山教室でオフラインの写真教室を開催しています。2023年10月期は書籍『the moment of SLOW LIVING 写真で紡ぐ、暮らしの時間』をテキストとして使用。その中からテーマをピックアップして撮影方法などを詳しく解説してきました。その最終回である3月の内容の一部を紹介したいと思います。3月のテーマは「愛用品の記念撮影(書籍p.124-127)」です。受講者の皆さんに愛用品をご持参いただき、撮影の実践を行いました。


グラスの撮影方法

愛用品は人それぞれですが、ライフスタイルに関心が高い方が多いだけに、器などを持って来られる方が多かった印象があります。3月の回でも「陶器」「ガラス製品」「木工品」それぞれの撮り方を紹介しました。今回はその中から「グラス」の撮り方を紹介したいと思います。
まずはこの写真。木のテーブルに置かれたグラスです。縁が白っぽく写っているのが分かります。

西山芳浩さんのグラス。AURORAの開店記念にご本人が贈ってくださった思い出のグラス。

これはどのように撮影しているかというと…

1枚目のグラス写真の撮影状況

こんな感じで撮影しています。このとき、ローテーブルの上のグラスに対して、光は後方の上から当たっています。それをハイアングルで撮影しています。

ではもう一枚の写真です。こちらは先程と比べてどうでしょうか。

同じグラスですが写り方が異なり、グラスの輪郭が黒っぽく見えます。また型吹グラスの肌の揺らぎもとらえられています。
これはどう撮影しているかというと

2枚目のグラス写真の撮影状況。カメラアングルを変えて撮影しています。

最初の写真よりもカメラアングルを低い位置にセットしています。グラスは湯気をとらえるときと同じで、逆光(後ろからの光)を使うようにすると、輪郭を強調して写すことができます。

ソーダ写真の撮影方法 解説します!

受講者さんの中に、書籍p.24のアザーカットであるこの写真を再現したい!という方がいらっしゃったので、折角なのでこの写真の撮り方を解説したいと思います。

Hasselblad X1D-50C XCD3.2/90 F3.4 SS1/1000s ISO100 3月末 16時半頃に撮影

ライティング

光の向きは前述の通りですが、この写真はグラスの影の輪郭がはっきりと写っていて、直射光のような硬い光であることが分かります。とはいえ3月の夕方の光なので、真夏の朝のギラギラした光のようには強くないかと思います。カメラアングルについては、グラスを見ると分かりますが、水平に近いくらいの低めのアングルで撮影しています。

Hasselblad X1D-50C XCD3.2/90 F3.2 SS1/1000s ISO100

フォーカシング

こういう動作が含まれるようなカットはいつも置きピンで、合わせたい箇所に事前にマニュアルでピントを合わせておきます。

被写界深度(DOF)領域内に注ぎ口が入るように、試し撮りしながらボトルの位置を調整する。右は被写界深度領域から外れていて、ピントが合わない。※図は水平アングルの場合

ソーダ写真の場合は、ソーダの発泡感が伝わるようにしたいので、手前の泡のあたり(グラスを見た時に最初に目がいくところ)にピントを合わせることが多いです。

最初の、注いでいる方のカットは、被写界深度が浅い上に、ボトルの注ぎ口に合うくらいの位置にピントを合わせているので、実はグラスの手前側にはピントが合っていません。やり直せたら良かったのですが、ソーダか氷が足りなくなって終了したのだと思います…。このような水平アングルの場合、被写界深度を深めに設定しないと、なかなか両方にピントを合わせることが難しいと思います。被写界深度を深くすると背景の情報量も増えるので、バランスを見極めながら決めるようにします。(置きピンのフォーカシングについてはAURORA写真塾の2月の回で詳しくお話しています。)

フルーツの撮り方

フルーツを入れる時には、限りなくグラスの手前側に寄せるように置かないと、浅めの被写界深度でピントを合わせることは難しいと思います。またソーダを注ぐとフルーツは浮いてくるのでその辺りのことも計算して注ぐ必要があります。(固定できるのであれば固定した方が良いと思います。)

上の写真はこんなふうにトップの苺を楊枝で固定しています。下の苺やレモンは氷で固定しました。

ちなみにレモンなどは光が透過するので綺麗に写しやすいですが、苺のような光を透過しないものは、強い逆光であるほど影も濃くなり、色を綺麗に表現できないケースが多いと思います。なので、私はソーダを綺麗に撮ろうと思ったら、次の写真のようにレモンやライムくらいにしておくことが多いです。(フルーツを入れたい時には光が拡散している状況で撮影した方が綺麗に表現できます)

グラスの影を印象的に撮りたい場合

補足ですが、ソーダではなく、グラスの影の方を印象的に撮りたい場合は、下の写真のように何も入れずに撮影した方が綺麗に表現できます。そして影がはっきりと写るくらいの、よく晴れた日の直射光のような光がおすすめです。

実践の時間でも、グラスを綺麗に撮りたいというお声をいくつかいただいていたので、改めてこちらで紹介してみました。参考になれば嬉しいです。

ソーダの自撮り写真はこちらの記事でも紹介しています。

RAW現像の方法も知りたい方は、是非AURORA写真塾へ。4月期受講者募集中

こちらで紹介したのは撮影テクニックのほんの一部。上記のソーダ写真も、意識すべき箇所は実はもっとあるんです。さらにこういう写真はRAW現像時の調整も大切なんです。詳しくはAURORA写真塾で解説しています。現在、4月期から始まる教室の新規受講者さんを募集しています。グラスの質感を際立たせるRAW現像もAURORA写真塾の8月の回で実演&実践予定です!詳細はこちらの記事にて。AURORA写真塾では、皆さんの「やりたい」を実現できるよう、ご要望を反映させながらカリキュラムを決定しています。ご興味がありましたら、ぜひお気軽にご参加ください。


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