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ショートショート

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気の向くままに綴ったショートショートを垂れ流してゆきます。
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記事一覧

ショートショート「死因」

だってさ、約束の20分前になって突然さ、「ちょっとお腹痛くて無理だわ」って言うんだよ? そ…

ショートショート「新月」

かの文豪、夏目漱石といえば「I LOVE YOU」を「月が綺麗ですね」と翻訳したことで知られている…

ショートショート「ウィークポイント」

中途入社から半年が過ぎた。毎日大変だけれど、幸か不幸か五月病にならず、ニートに逆戻りする…

ショートショート「生活」

6日前、離婚した。もう何年も前の出来事のようにも思えるし、それはやはり6日前の記憶でもある…

ショートショート「できれば、現世で。」

「不可逆であるものは、美しいんだよ。」 なんだか小難しい事を言いたがる、いわゆるちょっ…

ショートショート「味」

同棲を始めてから2度目の春、3年ちょっと連れ添った彼女が出て行った。今年の花見は一緒に行け…

ショートショート「世を渡る」

彼は、いつもとある小説を持ち歩いていた。それは「恥の多い生涯を送って来ました」との一文で幕を開けるのだが、彼にとっては彼自身の存在が恥のようなものらしく、仮に"生き地獄"というものがこの世に再現されるとしたら、それは彼の人生そのものかもしれない。 彼には、喜怒哀楽でいうところの怒りの感情が欠けていた。「温厚な人」と言ってしまえば聞こえは良いのだが、本来、人間として必要とする感情を欠落させていることは、単なる欠陥であり、彼の地獄をまた深めるに十二分な要素であった。彼は他人が何

ショートショート「穴」

そこは、とても煌びやかな場所だった。 (なんて場違いなところに来てしまったのだろう) …