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後手ノマ四間美濃に対する居飛車の駒組

はじめに

ねっふぃの普段の将棋の対局反省において、ノマ四に対しての駒組の言語化が甘く、ここを完璧にすることで今後の四間を相手にした際の序盤の反省をゼロにする狙い
ノマ四間は先手と後手で全く変わるので一旦は別で見ていきます(後述のギアシステムが使えるかどうか)
多分今回の内容は膨大になりそう

ノマ四間の中でもミレニアムと穴熊は今回考えず、美濃△54銀型と△44銀型に対してどういった序盤を組むかを考える
あくまで駒組の確認であり、中盤研究の域には入らないこと

ギアシステムについて

これはねっふぃオリジナルの造語です。美濃の囲いのスピードを遅い順に1速~4速と呼んでいます。言語化を分かりやすくするための補助線の意味合いがあり、これは過去に解説してるので見てほしい
三間飛車の複雑な石田流組み換えに対して使ってたけどノマ四間でも使っていく!

後手四間基本図

基本図はここから
ここから△44銀型、△54銀型+△62玉~82玉
順に見ていく

▲66歩
ここから美濃急戦と美濃持久戦の分かれ
これがノーマル四間飛車の基本図①

対四間の基本的な考え方で▲66歩を指す条件は△54銀が指された場合か△64歩△74歩△73桂まで決められた時のみ
それ以外で▲66歩は早く、穴熊の手を進めるのが優先と覚える
△65歩が気になるかもしれないが、無視でok
ここから囲いを△62玉~△71玉~△82玉の2手入るとどうなるか、△45歩から△44銀か△54銀が入るとどうなるかを見る
整理してから書いてるのではなく、書きながら整理しているので読みずらさはご了承ください

駒組の基本ルール

使い分け超絶難しくてこれを覚えきるのが今回のメイン
かなり細かいがフル暗記
分類として、
△62玉~△82玉まで更に
△52金型が通常美濃
△63金型が高美濃
△84歩型が銀冠
ここにどのタイミングで△45歩を突いてくるか、先に突いてから駒組を進めてくるか
△45歩を突いた場合、△44銀型に来るか△54銀型にくるか

△45歩先突き型を美濃急戦、美濃優先型を美濃持久戦とします
この美濃急戦の急戦の概念はあくまで急戦で仕掛けてくるという意味ではなく先に攻め形を決めてくることを指しています。持久戦の組合いになった際に端歩突き穴熊が完成しているので不満は一切ない、ただし攻め形を先に作っておくことで駒組を間違えることが出来なくなるので、そこを咎めようというのが四間側の狙い
▲99玉のタイミングや▲78金▲67金のタイミングを間違えると居飛車は評価値を大幅に落とします

美濃持久戦はどこで△45歩が突かれるかで細かく変わってくるため難しい、美濃急戦を先に知ることで持久戦に応用する。その為美濃急戦から見ていく

△45歩▲78金

△45歩▲78金はセットで覚えてほぼ問題ない
角道が空いたことでいつでも△65歩がある前提で進めなければならない
藤井システムの解説もあとでする

△44銀型

△44銀▲36歩
美濃急戦△44銀型の基本図①

△44銀型に対する居飛車側の基本対応としては▲59角▲26角で戦うこと▲68角で引き角で戦う2パターンある。△44銀なので▲24歩から以下銀に角が当たる為、引き角で頻出の飛車を渡して二枚替えの筋が使える
もう一つ大事なのが▲58金の使い方で、並に▲67金とするとおかしくします(△54銀型では▲67金は定跡)
△44銀型では▲67金が良い手ではないので、まだ確定していない△45歩段階では▲78金が優先されるというのが流れです
相手の銀が確定するまで▲58金は動かさないというのがルール。これはこのあとの全駒組に関わってくるので暗記で覚えてしまおう
なぜ△44銀型では▲67金保留するのかについてはこのあとの進行で
そして画像の△44銀▲36歩はセットの手として覚える。放置すると△35銀出られて悪くなります
△44銀▲36歩は知ってる人がほとんどだと思うけど一応
ここからがギアシステムの概念で、現在の囲いは最速の△62玉型でここで仕掛けられたらどうなるか?△71玉なら?△82玉なら?そのまま高美濃持久戦以上にしてきたら?を見ます

△35歩▲38飛

まず最初に△35歩の変化は定跡外しとして今回は取り扱わない。
先手勝ちは揺るがないが、この変化は基本が出来た後に研究する項目とする
他にも△65歩もタイミングとしてはいつでも存在はするのだが、これも今回は扱わない
理由は最初に言った通り、序盤の駒組のルールを知ることであり中盤研究をすることではないから

3速(△62玉型)

△54歩▲99玉△55歩▲88銀

△44銀型の基本攻め筋がこの△54歩△55歩です
ここをいじくって最終手△55角で飛車をいじめられたら振り飛車成功
これに対しての対応がメインになる
かといって黙っていると△44の銀がどんどん進出してくる
まずは囲いの完成を目指し、△54歩△55歩の2手を▲99玉▲88銀と交換します
ここで▲67金を手前で指してしまっていた場合、△56歩▲同銀△55歩で負けるので▲88銀に代えて△55歩には▲55同歩と取る以外の選択肢がありません
ここを手抜く為の▲67金保留の意味合いになります
これがミソ

△56歩▲同銀△55銀▲67金△56銀▲同金

これが特殊で、3速の場合は堂々と銀交換に応じる。このあと△55銀打には▲58飛の将棋でとにかく手が広く中盤研究必須の領域
この3速は先手も有利ながら難しく、棋力差があって力で押したいのならば振り飛車側の対応としては有りだと思う
ちょっと特殊な立ち位置です


2速(△71玉型)

△71玉▲59角

3速~1速に玉位置を変える手に対しては▲26角型を作りに行きます
この画像は△55歩と突っかけてからの2速(△71玉)転換だが

△63金▲59角

上記画像の通り△55歩がなくとも▲26角転換は狙っていきます

この角のラインがあるので3速~2速のまま戦うは本来危険で、△82玉の1速が振り飛車側のベース対応となる

△71玉▲59角△56歩▲同銀△55銀▲26角

例えばここで△82玉、△35歩の対応が考えられるがこれは中盤研究の領域
こういう方針になるとだけ覚えてほしい

△82玉▲54歩

例えば△82玉には▲54歩で決まっている。この手を消す為だけに△63金の高美濃までは△44銀型は組む必要がある
なので3速~2速は危険な意味合いがある
ここまでいけばあとは中盤研究です

1速(△82玉型)

△82玉▲88銀

△82玉まで囲うので固いが、これも▲26角転換を狙う
2速(△71玉)で説明したとおりの手順になる
▲26角を指した時点で角のラインのケアで△82玉までは指さなければならないから結局合流しがちなのである
△22飛の場合どうするか?の疑問は出るが、この場合でもかまわず▲26角で良し
ここで△55歩を指しても▲26角転換に対して、▲54歩が強すぎるのでそれを防ぐ目的で更に△64金から高美濃にいきます

高美濃であれば▲54歩がないので攻めていける
これで△55歩はどうか。

△55歩▲68金
△56歩▲同銀△55銀▲同銀△同角▲58飛
△19角▲71銀△92玉▲53飛成

進行は例ですが、これだけで決まってます
このあと△同金▲同角成で飛車逃げなら▲95歩くらいで試合終了です
▲68金の効果で▲58飛が最強になっている
▲71銀に△同金なら▲同角成△同玉▲51飛成で王手飛車取りで勝ち
この辺りの進行は中盤研究の領域なので深く語らないが、△44銀型に▲26角は強いよってコト

今まで説明した変化は△56歩▲同銀△55銀と殴り合いを目指してきた場合の変化で、実戦ではこちらの変化もあります

△55歩▲67銀

さあここて序盤の駒組の基本ルールで出てきた△44銀型では▲67金を指さないという決まりが活きてくるのです
①△55歩に手抜いて囲いを一手進める為
②△56歩▲同銀△55歩にこの▲67銀の引きを見せる為
この二つのメリットの為に△45歩と△54銀型と△44銀型が確定していない段階では▲67金を指さないという決まりが大切になってくるんですね。美しい
このあとの進行の例としては△52飛▲37桂△56歩▲58飛等、▲37桂まで活用する将棋になります
細かい進行は中盤研究の域なので、あくまでこのような方針で指すという言及に留めます。既にこの時点で優勢です

2速(△71玉型)の△55歩
3速(△62玉型)の△55歩

当然2速と3速の△55歩も同じ対応です。▲58金のままで怖い気もしているが、駒の連結はとても良いから大丈夫なんですね
相変わらずここから▲26角▲37桂を目指していきます
以上が△55歩からのメインの攻めの説明
有名棋書等では(四間飛車激減の理由)▲67金は当然の用に指されているので、慣れない方は慣れないかもしれませんがこれが最強です。当然sbb手順

△53銀▲67金

最後にこの△53銀下がりを見る
これもある手で、△44銀型ではこれが一番評価値がマシは変化です
銀下がりで囲いの耐久力を上げつつ、角道も通るし飛車先も通るので理には適っている
これを居飛車はどう突破するか

△84歩▲37桂
△83銀▲24歩

△22飛もそうだが、基本的に相手が守りに来るなら▲37桂から攻めに行く
こちらは穴熊完成してるのであとは▲24歩▲35歩から暴れて優勢
ここからは中盤研究の領域、全部優勢の分岐です

※追記項目※

△44銀保留△54歩
▲67金△44銀▲68角

引き角対応の変化がありましたので追記しました
△44銀んでは▲59角で問題がないが、△54歩を先に決めた場合は▲59角に対して裏切って△44銀を指さないという変化が生まれます
この場合は▲26角が良い手にはならない為、△54歩先決め型に対しては▲68角と引き角で対応というのが形になります
これの説明がなかったため、追記しました


後手美濃急戦の△44銀型は以上!!!
序盤の駒組ルールさえ守れば意外とメイン分岐は少ないです
これが先手四間だと一手遅いのでまた変わります

△54銀型

△54銀▲99玉

△54銀型は△44銀型と違い、△65歩から暴れてくるのがメイン
ほぼほぼ△65歩がいつ来るかだけを知っておけば問題がない
△65歩▲同歩のあと、△同桂か△同銀か△77角成かの違いで、そこに△62玉~△82玉~銀冠までの振り飛車の囲いの固さの違いが出る

3速(△62玉型)

△65歩▲同歩

美濃急戦△54銀型の基本的なルールが△65歩に対して全て▲同歩と対応すること。ここは全部統一です
ここを統一したうえで、後手の対応ごとに最善を覚えていく
△44銀型の場合、攻めてくるには△54歩△55歩が必要なので穴熊の完成が間に合っていたが、△54銀型3速(△62玉型)は▲88銀や▲67金が指せていない段階で△65歩で即開戦なので怖いが、大丈夫。かなり覚えゲーだけど全部覚えればノマ四は怖くなくなる

△65歩▲同歩△同桂▲33角成△同桂▲66角△57桂成▲同金

△同桂の変化は角成から▲66角
変化は一例だが、穴熊囲いはここからはもういじらず攻め続ける
△62玉型は△82の地点が空いているので攻め潰しやすい。△39角打はいつでも気になるが、基本的に全て▲38飛で対応します。これはおぼえとかないとすぐ評価値悪くするので覚えておく
△同桂の変化は出会いやすいので研究は必須です

△65歩▲同歩△同銀▲33角成△同桂▲82角

△65同銀の変化
△54銀型において△65歩▲同歩以下△同桂も△同銀も全てこちらは▲33角成と覚えるだけで分岐の覚えは格段と楽になります
△33同桂の形にさえしてしまえば飛車先も突きやすいし角道のラインで攻めやすくなります
3速の場合△82が空いているのでこのように▲82角が激痛です
ここから変化は多岐にわたります

△65歩▲同歩△77角成▲同桂

最後に△77角成の変化
これがメイン分岐で、定跡もかなり深い研究勝負です
△44銀型と比べて研究が必要なので角交換が挟まるからで、手が相当広いです
画像の進行からも△95歩や△75歩、△39角等あります
研究も大切だが、経験の将棋だと思います
経験の将棋とは知ってる局面をどれだけ知っているかということで、そのための序盤研究です。序盤の駒組を統一することで想定局面に行く確率を少しでも高めることが必要

2速(△71玉型)

△71玉▲88銀

2速になると▲82角打ちが使えなくなります。その代償としてこちらは▲88銀で穴熊が完成したので少し安心がある
ここでの△65歩はどうなるか
まずここで驚きなのが△62玉型での△65歩はまだ+250点ほどで先手有利ではあるが後手抵抗できる範囲。そして△71玉型だと△65歩時点で+500点ではっきり先手有利になっています
この時点で+500ならばここから負けるのは研究不足、実力不足でソフト的には必勝局面  使いこなせれば勝率を稼げる

△65歩▲同歩△同桂▲33角成△同桂▲48銀
△49角▲68金△46歩▲同歩△同飛▲64角

△71玉型の△同桂の変化
△62玉の場合は▲66角だったが、今回は▲48銀引き
▲66角でも有利は変わらないけどこだわるならこっち
仮進行で△46歩▲同歩△同飛に▲64角
この▲64角だけ覚えとけばok
相変わらず手が広いので各々研究必須

△65歩▲同歩△同銀▲33角成△同桂▲24歩

マイナー分岐である△同銀の変化
3速(△62玉型)では▲82角だったが今回は▲24歩で正直に攻めて良し
ちなみに3速でも▲24歩で良しだが、最善を見るなら▲82角という話で、定跡の覚える量減らしたいのであれば3速でも▲24歩で問題はない
△73桂が使えないので△同銀の変化はあまりないかもだが、一応は知っておく

△65歩▲同歩△77角成▲同桂

△77角成の変化
3速同様△77角成は手が広く、都度研究が必要
▲88銀が入っていたとしても必ず同桂で対応が最善と覚えましょう
ここから研究を進めてください

2速(△71玉型)は3速(△62玉型)より評価値が悪いので居飛車はやりやすいというのが面白い発見

1速(△82玉型)

△82玉▲67金

1速になると▲67金まで指せるので穴熊が盤石の布陣になる
将来の△46飛に対して▲64角で王手飛車があるので実は固いかと言われるとそうではないらしい
3速(△62玉型)△65歩▲同歩は+250点
2速(△71玉型)△65歩▲同歩は+500点
1速(△82玉型)△65歩▲同歩は+700点
なんと△82玉型で△65歩を突くと居飛車有利どころか+700で優勢までいってしまうみたい。囲いを進めたら振り飛車が不利になるというのは新発見だった
順に見ていきます

△65歩▲同歩△同桂▲33角成△同桂▲48銀

△同桂の変化は最終手▲48銀と2速と同じ流れです
ここで2速と違う点が△82玉が指されている点と▲67金が指されている点
△71玉型と違って△46歩がやりづらい。▲同歩△同飛▲64角が王手飛車になるからだ
2速の場合は▲58金に紐がついていないので△49角打ちの対応を知る必要があるが、今回は▲67金で紐が付いているので違う手が指せる。▲66歩打で桂とりくらいで勝ちが確定する
王手飛車のせいで常に飛車が捌きずらくなっているから評価値が悪いということなのか

△65歩▲同歩△同銀▲33角成△同桂▲75歩

続いてマイナーの△同銀の変化
3速は▲82角
2速は▲24歩
1速は▲75歩
どれも最善手は対応が変わるが、全部▲24歩は次善手なので▲24歩に統一するのが実戦的かもしれない
ここはねっふぃもまだ決めてないが、△同銀は▲24歩という覚え方が間違えもなく最強か

△65歩▲同歩△77角成▲同桂

メイン分岐の△77角成の変化
3速と2速と比べて囲いがかっちりしているのでここを指定局面と言われたら楽な気がする。何がきても勝てそうだ
当然ここから手が広いので研究必須なのは変わらない。この時点で+800点の大優勢

1速の先は高美濃と銀冠
これも見る

高美濃

△63金▲36歩

高美濃まで駒組が進むともう美しい
プロシーンでは当然のように進んでいる定跡だけど、ここに至るまでに色んな寄り道があった
これの△65歩も対応は今までと全部同じです。評価値は△65歩▲同歩の時点で+700。1速とほぼ同じです
対応もほぼ同じなのでこの後は割愛します。1速と比べて△63金と▲36歩の交換での戦いならば1速と比べて少しは振り飛車マシなのかな?

銀冠

△84歩▲24歩△同歩▲65歩

銀冠まで組む場合は△84歩が突かれた時点で▲24歩▲65歩から戦争します
ここまで組んだらこちらから行くというのが今までとの違い
これ以上固さは十分だからです。ここは▲24歩△同角もあるが、その場合は▲35歩△同歩▲65歩で同じように攻めます
ここが△同桂なら▲33角成△同桂▲68銀、△77角成なら▲同桂と殴り合いの研究勝負になります
当然手が広いので研究必須。ここを極めた者がノマ四間を制する

藤井システム調

△64歩▲77角△74歩▲36歩

穴熊で端歩を突く意味

△44銀型と△54銀型は全て△62玉型~のスピードの駒組を見たが、穴熊指向するならば藤井システムは切っては切り離せない
端歩突き穴熊を指すので端歩は必ず突き合います。穴熊優先したいのであれば端歩を省略するというのが昔の穴熊の組み方だが、藤井システムや振り飛車ミレニアム相手に微妙
端歩を突き合うと穴熊が組み切るまでに開戦される可能性があるが、そこが大丈夫なのが最新の研究。穴熊で端歩省略は古い考えです
そして穴熊で端歩を突く明確なメリットがあり、それは手番を合わせられることです
こちらが端歩を突いて相手が突かなった場合もあるので覚えた定跡が一手ずれていて使えないという状態になる可能性がある。端歩を突いてくるならば突き返す、突いてこないならばこちらも突かないと態度を合わせることで必ず同じ局面で指す事が出来るのです。
▲77角を指す以上は藤井システムはいつでも来る可能性はある。ただしこちらは先手番なので藤井システムのスピードが遅く、しかも端歩の突き合いが入っているので火力は下がる
端歩の突き合いが入っていれば藤井システムを狙ってくる率は下がるが、ではこれの対応はどうするか
上記画像の通り、居玉で△74歩を狙ってきた段階で▲36歩を突く
ここからは単純明快で

△73桂▲46銀
△62玉▲46銀

藤井システムが確定した場合は▲46銀からそのまま▲35歩で攻め潰します
居玉なので成立します。藤井システムの場合のみ穴熊ではなく急戦で攻めてしまうのが最善の戦い方
ここで気になるのが画像2枚目の△62玉です
なぜ気になるのかと言うと、△62玉から普通に駒組を進められて△54銀型や△44銀型に行かれた場合、▲36歩を突いている都合上定跡合流が出来なくなるからです
いままで勉強した美濃急戦はどれも▲36歩を突かずに作ったものだからここで突いてしまうとそれは違う定跡です
そしてこれを解決する方法は簡単で△62玉の裏切りに対しては変わらず▲46銀と▲35歩からの急戦を続行することです
なぜこの右銀急戦が成立するのかと言うと、通常の右銀急戦と比べて△64歩△74歩という不急の手を指させているから有利な状況になっているのです
この局面から右銀急戦の開戦が出来ると考えたら相当優勢局面だと感じませんか?
後手藤井システム狙い(居玉)の場合は穴熊合流を考えず右銀急戦で攻めて先手良しです。

美濃急戦まとめ

△54銀型と△44銀型との違いは
△44銀型は評価値が大きく有利な訳ではないが、▲26角のおかげで△82玉まではほぼ強制レベルなので、囲いでの分岐が少ない印象。覚える量は少ないと思う
対して△54銀型は評価値は居飛車が良いが△62玉~△82玉まで全て対応が変わってくるし、角交換が入る都合上、手が広く覚える量が多い
ここまでが先に攻め形を決めた美濃急戦のくくりで、次は先に囲いを作ってから攻め形を作ってくる美濃持久戦を見ていく

美濃持久戦

美濃持久戦というのは先に囲いを作ってから△54銀型or△44銀型を決めてくることを指します
美濃急戦の駒組とは違う場合が出てくるので気を付けながら組む必要がある。かなり複雑です
美濃を一旦組んでから考えようみたいなって人は多いので覚えるのは必須

△43銀型

①△71玉▲99玉
②△82玉▲88銀
③△45歩▲78金

△44銀型と△54銀型の概要が分かればここまでは間違えないと思う
美濃持久戦(△43銀型)でも△71玉型までなら簡単に定跡合流します
③の△82玉△45歩が指された段階で、何を指すのか
△44銀型で▲67金は保留する都合が出る為にはここで▲78金が正解
ここで△44銀なら▲36歩、△54銀なら▲67金を指せばあとは美濃急戦に定跡合流です
ここから美濃急戦の定跡から外れる手があって、それが△43銀の状態のままに高美濃や銀冠に向かった場合どうなるのか?という話
△43銀が動かない限り▲58金の態度が決められないのです

△63金▲36歩
△84歩▲24歩△同歩▲65歩

△43銀で態度保留で高美濃以上を組んでくる場合は▲58金が動かせないので、次の1手は消去法で▲36歩で良い
ここで△44銀なら▲59角、△54銀なら▲67金で美濃急戦の高美濃定跡にまだ合流します
定跡合流を考えるのであればここまで一手も間違えれないし、これが序盤研究の本域。
そして△43銀のまま銀冠の△84歩が来た場合は▲24歩△同歩▲65歩で新定跡に突入です
ここで△77角成なら▲同桂だし、△65同桂なら▲33角成と△54銀型とほぼ同じ進行と覚えます
△54銀と△43銀の位置の違いだけですが、このまま進行してどこが違うかが分かっていないといけません。△54銀型と違い飛車先が直通してないので合振り飛車の攻撃力は落ちているが、当然経験と知識が要求される分岐です

△32銀保留型

△32銀保留のまま△84歩

攻め形を作らずに銀冠まで行く一番防御力が高い型。こちらも穴熊が完成するが銀冠まで完成は止められない
△54銀型や△44銀型では銀冠の手がかりになる△84歩の段階でこちらの攻めが始まるので、銀冠に組めないようになっている
対銀冠の戦いになるのはこの時のみです。逆にこれ以外で後手ノマ四間を相手に銀冠を組ませた場合、序盤駒組がどこか間違えたことになる

穴熊vs△32銀保留銀冠

△32銀保留の場合、この局面が基本図になります
居飛車としても一番重要な局面で、これが必勝局面だから△44銀型か△54銀型で急戦を仕掛けてくるのが順序
この局面自体は振り飛車側が指向しようと思えば一直線に辿り着く局面なので、ここからどの分岐でも勝てることが居飛車の目指すところ。

△43銀~▲79銀
△45歩~▲68角

画像一枚目、ここから△43銀が指されるならば松尾流穴熊へ行きます。逆に言い換えるとこの場合以外松尾流穴熊へは行かないと覚えてOK。覚えやすいと思う
松尾流へ行く前に攻めて良しの場合がほとんど
画像二枚目、△32銀保留で△45歩が指された場合は▲37桂が最強で、△43銀んを指せなくなっている。画像が進行例だが手がとても広い
△32銀保留型銀冠基本図から△43銀も△45歩も居飛車有利+300点ほどなので優勢ではあるが、全然ひっくり返る形勢差で、研究必須
居飛車が打開できるか否かの試合になる


四間穴熊とミレニアムと耀龍との合流

ノーマル四間は美濃のほかに穴熊やミレとの兼ね合いもある。これらとも合流できるような序盤の駒組でなければいけない。順に確認する

穴熊

穴熊で気を付けるべきはいつでも△72銀の1速美濃が存在すること
画像の状態で攻め形を決めてきたとして、穴熊か美濃がまだどちらか確定していないのだ。穴熊と決め打った駒組も間違いだし美濃と決め打つのも間違いだ。ここは以前穴熊の駒組を解説しているのでそれも見てほしい

ミレニアム

ミレニアムは△72玉から発動する。△82玉まで行くなら穴熊か一速美濃のどちらかだが、△72玉~△62玉の時点で△73桂を入れてくるならばミレニアムの可能性を捨ててはいけない。ミレが来てもいいような駒組の可能性を残す

耀龍

ミレニアムの派生版
△72玉の時点では耀龍の可能性がある
耀龍が来てもいいような駒組が必要

番外編として穴熊ミレ耀龍も見た。これらの対策定跡を作るうえで、美濃との駒組定跡合流まで考えて序盤を作らなければならない
美濃では「これ」と決めていても、穴熊行こうとしてやっぱり美濃にされたり、美濃と思いきやミレにされたりした場合定跡合流が出来なければそれは序盤研究としての完成度はお粗末なもの。どんな手順前後でも辿り着けてこその序盤研究です。
ねっふぃのこの美濃の序盤は現状全てに対応した駒組になっています。

今回は後手四間美濃を見ました。次記事を書くときは先手四間を見ます。
先手四間は今回の後手と違って一手早いのでそれがどう影響するかの将棋です。同じ感覚だと攻め潰される可能性をはらんでいるので要注意です
△54銀型も△44銀型も今回の知見を活かして先手も見ていきます!!
では!!!

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