見出し画像

今、コンサドーレは大きな岐路に立っている

2023シーズンのJリーグ開幕まであと数日となった。

僕が応援している北海道コンサドーレ札幌は、今大きな岐路に立っている。平たく言うと、一歩間違えれば結構「やばい」状態におちいるのではないかと僕は思っている。

コンサドーレの「やばい」話というと、たいていは経営面、特に資金面の話になりがちだ。しかし今回は「チームの結果」の話だ。

今年あるいは来年、コンサドーレはある程度の結果を残さないと、その後かなりまずい状態になるのではないだろうか。

「ある程度の結果」とはいかほどなのかは後述するとして、僕がそう考えるわけを順を追って書いていくことにする。

これからの強いJクラブは選手が循環する

これから、というより現在もその傾向はあるが、強いJクラブは「いい選手が抜けて、いい選手が入ってくる」という形で、実力のある選手がどんどん入れ代わり立ち代わり循環していくことになるはずだ。

これは25~26歳までの実力があり結果を残した選手は、基本海外クラブへの移籍を選択することが(今も十分多いが)どんどん増加するからだ。中にはタイミングや年齢、本人の意思で日本に残り続ける選択をする優秀な選手もいるだろうが、少数派と考えていいだろう。

どんなに国内で強豪クラブであっても、もはや実力のある選手が抜けるのは仕方がないことだ。それを織り込んだ上で、穴を埋めれる選手を確保できるかが大事になる。そして穴を埋めた選手が抜けて、また穴を埋め……そうやって絶えず優秀な選手を循環させれるクラブがこれからのJリーグで強いクラブになれるのではないだろうか。

なにが優秀な選手を加入に駆り立てるか

では、クラブにどんどん優秀な選手が入ってくるには何が必要なのだろうか。ここでいう優秀な選手は、元々実力を兼ね備えた選手はもちろん、将来有望な新人選手なども含まれる。

ひとことで言えば、そのクラブに魅力がなければならない。

それは年俸などの金銭面かもしれないし、練習場などに設備面かもしれないし、優秀な監督などのいい指導者がいるからかもしれない。

今回は、以下の3点にしぼってみようと思う。

まずはクラブの成績だ。リーグなりカップ戦でタイトルを獲ったことがあったり、今後タイトルを狙える位置の順位にいるなどが重要になるだろう。

自分がいる間にタイトルを獲ったり、ACLに出場したなどがあれば、それは選手にとって立派なブランドになるし、大きな経験にもなる。

続いて、海外に移籍できるかどうかだ。近年はこれが一番重要になっている傾向がある。今や、選手の誰もが目標のひとつに海外(特にヨーロッパ)でサッカーをすることを頭に置いている気がする。

海外クラブに選手を移籍させた実績があるクラブであれば、「このクラブだったら海外に行けるかも」と選手は思いやすいだろうし、移籍した選手が海外で大きく結果を残していたらなおさら印象はいい。

最後に、日本代表に選ばれるかどうかだ。Jクラブに所属しているよりも海外クラブに在籍している方が選出、定着される可能性は高いとみられている。しかしカタールW杯では谷口選手(当時は川崎)、権田選手(清水)が活躍したし、単純に一度や二度選出されるだけならJリーガーでも全然確率はある。

日本代表になることは多くの選手の目標だろうし、代表キャップがつくことは選手の価値を高め、大きな経験にもなる。

コンサドーレでは「成長した」先がまだ目に見えない

さて、コンサドーレの現状を見てみよう。

2022シーズンはJ1 10位で、カップ戦タイトルなし。海外移籍も日本代表選出もゼロだった。

(※正確には、小柏選手が代表合宿に選ばれていたはずだがケガのため不参加だったので、ゼロとする)

コンサドーレの選手からは「チームの雰囲気がとてもよい」、「ミシャは最高のボス」、「サッカーが上手くなった」という声が挙がることがある。これは本当にうれしいことだし、こういう声が外に伝わることで新たにコンサドーレを選択する選手が増えるかもしれない。

しかし、あえて意地悪な言い方をすると「よい雰囲気で、最高のボスの元でサッカーができ、上手くなったのにリーグは10位で、カップタイトルは獲れず、海外移籍もなく、日本代表には一人も選ばれない」クラブが今のコンサドーレなのだ。

とはいえこれはあくまで外から見た意見なので、現役の選手からすると異なる見方になるかもしれない。と、僕も以前は思っていた。

そんな僕の見方を変えたのが、昨年末の高嶺選手の柏レイソルへの移籍である。高嶺選手の年齢からすると、当然海外移籍を念頭に置いてもおかしくないし、三笘選手と同級生であることから早々の海外移籍は狙っていたはずだ。

しかし彼は海外ではなく、国内クラブへの移籍を選択した。もう一度国内クラブを挟んだ上で、海外移籍を狙う戦略なのかもしれない。

これは本人がいくらサポに心をこめて何を言おうとも、「あれ?このままコンサドーレにいたら自分のキャリアどうなるん……?」と考えていたことの傍証になり得るのではないだろうか。

彼の思いは本人にしか分からないが「コンサにいても、自分の価値はさほど上がらず、海外にも行けず、日本代表にも選ばれないのではないか。もちろん自分もがんばらないといけないけど、環境も変えないとやばいんじゃないか」と思われていてもおかしくないと僕は思っている。

推測だが、この高嶺選手の移籍はクラブの経営陣にとっても衝撃だったのではないだろうか。海外に行くため、代表にいくために自分たちではなく他の国内クラブを選択したわけだから。今までのコンサの方向性を一部やんわり否定されたようなものである。

「成長した」、その先を今こそ見せてくれ

これらの話を踏まえて、今年と来年のコンサドーレはどれくらいの結果を残してほしいか考えてみる。

ざっくり言うと、以下の4点のうちのどれか一つは達成してほしい。それが僕の考える「ある程度の結果」である。

①リーグ戦5位以内(あわよくばACL出場権獲得)
②カップ戦タイトル獲得
③所属選手のヨーロッパクラブへの移籍
④所属選手の日本代表選出および試合への出場

正直、①と②はかなり難しいとみている。①については、そもそも三上GMが「一桁順位」を目標に明言していたはずなので、経営側としては9位でも最低ラインの目標はクリアとなる。②はクラブのカップ戦最高成績が準優勝のため、このような目標設定にせざるを得なかった。

④は、森保監督の方針や意向次第なのでまったく読めない。昨年優勝したマリノスからの代表選出具合から考えても、チームがよい成績をおさめたからといって無条件で代表に入れるわけではないからだ。しかし以前、小柏選手が代表合宿に選ばれたり、菅選手がコパアメリカに出場したこともあるので、コンサドーレの選手も全然可能性はあるはずだ。

となると最も現実的なのは③の達成かもしれない。以前、小柏選手に海外クラブからオファーが届いた報道もあったので、特定の選手には海外クラブからまったく声がかかってないことはないだろう。

ここからは推測になるが、コンサドーレは選手を海外移籍させるときのハードルが他クラブよりも高く設定されている気がする。もちろんそれは「どうせ行くならしっかりしたクラブでチャレンジしてほしい」という選手への親心もあるだろうし、「しっかり移籍金を確保したい」という経営面の戦略もある。

おそらく移籍させられるクラブを結構選んでいるのではないだろうか。どこにでも、どんな条件でもオファーがあって選手が望めば移籍させるという姿勢はとってないように感じる。

反面、選手サイドとしては何がなんでも、どんなクラブでもヨーロッパに行きたいという焦りに近い気持ちもあるかもしれない。その思いと、クラブの思いの折り合いをどうつけるかで今コンサドーレは苦労していると僕は推測している。

しかし、そろそろ海外移籍なり代表選出といった実績を作っておかないと「コンサドーレに行ってもそうそう海外には行かせてくれないし、何もなし得ないのではないだろうか」と思われてしまわないだろうか。そういうイメージがつくと、選手の循環が停滞して終わりの始まりとなってしまう。

もっともコンサドーレの経営陣もこの手の危機感はとっくに抱いていると思う。だからこそのクラウドファンディング実施だっただろうし、若手ではなく実績も実力もある小林選手をより若い高嶺選手の後釜に獲得したのではないだろうか。

僕個人としては、リーグ戦一桁順位で分配金を確保しつつ、選手の海外移籍や代表選出という成果をここ2シーズンで残して次なる発展につなげてほしい。

この記事が参加している募集

サッカーを語ろう