HIT! GWスペシャル!大人の美術鑑賞、ストリップ劇場へ行こう

No.022
表紙写真・著作者 Jesse Clockwork

ちょっとだけよ〜♪



小学生の頃、僕は女子をいじめるのが大好きだった。100円のガチャガチャで買ったゴム製のバッタを女子の前に放り出すと「キャ〜〜!!!」と発狂してハタハタと逃げる、その姿が可愛くて笑ってしまう。あとよくやったのが、加藤茶がドリフのコントでやるストリッパーの真似、「チャンチャラチャンチャン、チャチャチャ〜♪」とタブーの曲を口ずさみながら踊る。すると女子たちは「やめて〜気持ち悪い〜」と苦虫を噛み潰したような顔で嫌がる。まだ射精もしたことなかったけど、何となくこういうエロいことに背徳感を感じてムズムズしている時期だった。

さて、実際に「ストリップ劇場」といっても、僕は一度も行ったことがないので、ぼんやりとしたイメージしかない。とにかく女性が裸になって踊っていて、周囲の観客が口笛を鳴らしながら声援を飛ばしたり、或いは年食った中年の踊り子さんが出てきたら一斉に「引っ込んでろババァ〜!」とかってブーイングして紙コップとか空き缶を投げつけたり、とにかく助兵衛なおっさん連中でむせ返った下品極まりない状況を思い浮かべる。自分はちょっとそんなところには居れないな〜って感じ。


最近、関西在住の知人アーティストA氏が、実はストリップ劇場に通うことにハマっているという話を聞いた。とても良いものだよと教えてもらい、興味が湧いたのでGWに一緒に観に行ってみることにしたのだ。


夕方、天満駅で落ち合う。この辺りは激安の居酒屋が軒並みを揃えており、A氏はストリップを観に行く時は、決まって一杯引っ掛けるらしい。2人で適当に居酒屋へと入り、天ぷらの盛り合わせを食べながら瓶ビールを2本飲んだ、会計は1,000円程だった。笹山くんは高級なBARとかに行き過ぎなんだよと言われる。確かに以前、京都である方と2人で呑んだ時は10,000円だったので桁が一個違う(しかしそれは相手の奢りだったんだけどね)

A氏に、いつからストリップ劇場に通っているの?と聞くと「3.11以後」と言うので海老天が口から飛び出そうになった。よく話を聞いてみると、A氏の知人でNYに住むイタリア人映画監督が東京で撮影をしていたそうなんだけど、東日本大震災が起こって撮影続行不可能になり、大阪に住むA氏の元へ2週間ほど滞在することになった。そのイタリア人映画監督はポールダンスを観るのが趣味だったみたいで、A氏は「大阪でもそういうのが観れる店があるよ」と、2人でストリップ劇場に行ったのが初めての体験だったようなのです。

A氏とその映画監督は、どうせストリップなんて下らないモノだと思いなめて掛かって見ていたんだけど、自分の想像とは全然違っていて、凄くしっかりとした立派なショーで驚いたのだそうだ。以後、A氏は月一くらいの間隔でストリップ劇場へ通うことになる。本場アメリカでポールダンスを観たこともあるのだが、やる気のない感じの白人女性が怠そうに踊っているだけで、やっぱり日本はレベルが高い!と実感する。多い時は週一で劇場に通うなど、かなり熱中したのだとか。

歌舞伎とストリップには共通点がある

江戸時代、風紀を乱すという理由で禁じられた歌舞伎の演目がある。つまりそれは「女歌舞伎」であり、客が気に入った役者を座敷に呼ぶなど、そこで売春行為があったして、現代に至るまで禁じられてしまったのだ。同じ理由でストリップ劇場も取り締まりが厳しくなり、次々と劇場が潰れていった。今では日本に数えるほどしかストリップ劇場は存在しておらず、存続の危機に立たされているのだ。


ほろ酔い気分で、我らは駅から徒歩3分ほどのところにある劇場へと向かった(↑外観はこんな感じ、やっぱり知ってる人に連れてもらわないと入りづらい雰囲気がある)階段を上がると下着姿のような格好をした女性が受付にいて、牛丼屋みたいに販売機で3.000円の入場チケットを買って渡す。1.000円札を一枚ずつ、ジジ〜っと入れている時間は、なんだかとても物哀しい感じがした。A氏は「今日はGWだからねぇ〜、結構混んでるんじゃない?」と受付の女性に話しかけるが、気怠そうな感じで「はいそうですね〜」と返事をするだけ、愛想はあまり良くない。

今回鑑賞したのは、18:10〜20:25の3回目のステージ。昼過ぎから夜23時まで、計4回のステージがあるんだけど、別に途中から観ても、最初から最後までずっと居てもいいみたい。5人の踊り子さんが出演したんだけど、その中でもメインは、水元ゆうなさんという8年目くらいになるベテランさんと、今回が踊り子デビューの若手、桜木優希音さん。

まず3人の踊り子さんが順番にダンスを披露する。最初は可愛らしい衣装を身に纏っているんだけど、徐々に脱いでいって、というか割と焦らさないでパパっと脱いじゃうんですけどね。それで舞台から花道を歩いていって場内中央にある丸いステージまでくると皆で大きな拍手をします。ステージは時計回りにクルクルと回転を初め、踊り子さんは3回ほど御開帳のポーズをされます。フィギュアスケートでいうと4回転半ジャンプみたいなもんで、技が決まったら皆で拍手するのが仕来りみたいなのですね。

とにかくお客さんは皆紳士的で、野次や罵声が飛ぶようなことは一切なかった。アップテンポの曲が流れたら音楽に合わせて拍手するけど、基本的には黙って静かに見る。踊り子さんから手招きを受けたら御開帳のサインなので、少し身を前にして秘密の園を拝見させて頂く。とにかく遠巻きに観客だけを見ていると、まるでオペラか何かでも鑑賞しているかのように気品があった(ヨダレ垂らしてグフフって笑いながら見てる根っからの助兵衛ジジイもおりましたがね)つまり想像していたよりも全然エロっぽい感じが無かったのですよね。これはあくまで鍛えぬかれた身体美とダンスを楽しむ、大人の趣味なのだなぁと感じました。お酒を飲みながら静かにうっとりと鑑賞する、大衆娯楽だけど貴族の嗜みがそこにはあったのです。


これは受付で500円で買った踊り子さんたちの集合写真。やはりメインの水元ゆうなさんは頭ひとつ抜けていて、登場からギンギンにオーラを放ち、とても華やかだった。実はゆうなさんは今年33歳、僕とは2歳しか変わらないのですよね。それでも肉体はバッキバキに絞られており、ひとつひとつの仕草やポーズも研ぎ澄まされていて、ルネサンス彫刻のように美しい

思い返せば、僕が最後に女性の裸体を頭から爪先までマジマジと見たのは、美大のデッサンの授業以来なのですよね。付き合っている彼女もいたけど、普通はそんな明るいところで全身見せてくれないじゃないですか。それに、悪いけど授業で描いていたデッサンモデルよりも踊り子さんたちの方が数倍可愛くてスタイルも良いですからね。

ステージが終わると撮影タイムが始まります。一回500円で踊り子さんと記念撮影ができます。ツーショットで撮っても良いし、踊り子さんだけを撮ることも可能。後からA氏に指摘されたんだけど、衣装を脱いで全裸になってもらうことも出来たんですよね。慣れてないんで、どうリクエストして良いか解らなかった。A氏は計3名の踊り子さんを全員脱がしてツーショットを撮っていたので、流石だなと思いました。彼は踊り子さんとのツーショット写真を何十枚も蒐集していて、綺麗な入れ物に保管しており、なかなか渋いコレクションなのです。これを単なるエロ趣味みたいに捉える人が殆どだとは思うけど、僕はかなりクールだなと感じました、全然下品さはないんですよ。

ストリップって解りやすくいえばAKB48みたいな、劇場で会えるアイドルなのですが、でもAKBの子らは全裸にはならないでしょう?そこが凄いのですよね。そもそも僕ら美術作家は女性の身体をどう魅力的に描くかということを研究しているわけで、こんなに素晴らしい肉体美とダンスを観れるのに、何で皆ストリップを観に行かないのか不思議で仕方ないとすら感じました。前述しましたが、現在日本でストリップを観れる劇場は数えるほどしか存在せず、今や絶滅の危機にあります。これだけ美しい女性たちの裸体をマジマジと拝見できるなんて一生のうちに何度あるでしょうか?この文化が絶えてしまう前に、漫画ばかり読んでいないで、もっと現実の美にググっと迫ってみてはどうかと、私は皆さんにアーティストとして提案したいわけなのです(※女性の場合は男性と一緒に観に行ったほうが無難です。女性客もいましたが、流石にひとりで観に来ている人はいなかったです)


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笹山直規

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