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[好きな広告を勝手に解説するシリーズ] GODIVA ~日本は、義理チョコをやめよう。~

[好きな広告を勝手に解説するシリーズ] vol.11は、GODIVAの広告「日本は、義理チョコをやめよう。」です。義理チョコももらえない輩にもかかわらず、、、という意味で、難しいところに切り込みますw

義理チョコという文化はいつから始まったのでしょうか。知りません。もともとはコミュニケーション機能として受け入れられ、広がりをみせました。ただ、ハロウィンが盛り上がるのと反比例して、いっときの社会的テンションは下降しています。人によっては、なんと意味のない儀式なのか、慣習なのか、とさえ思う時代です。

もともと、あるメーカーのマーケティング担当者がずば抜けた優秀な人で、バレンタインデーという文化を醸成したのは周知の事実。でも、みんな、もはや疲れている。あげるほうの女性はもちろんだが、もらってお返ししないといけない男性も。お互い疲れるのに、なんとなくのカルチャーがそうさせていて、なんなんだろうなぁ、と。そこにメスを入れたのがGODIVAです。

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GODIVAは高級チョコレート。"本気"の対象にはなるが、”義理”の対象にはなりません。義理にしては高すぎるからです。高い=想い=重い なので、義理チョコの対象には一切なりません。でも、GODIVAブランドとしては、バレンタインデーという格好のかき入れ時に、黙ってみているのはもったいない。一方で、安価なチョコを製造販売して、義理チョコに寄り添うのは、これまで築いてきたブランドを崩壊するだけです。

で、この広告です。

例えば予算5000円を、10人に”義理分配”しようとする女性に、「だったら5000円のちゃんとした”プレゼント”を」といったメッセージと受け取りました。

折角できあがった、(謎の)チョコをあげる文化は、ある種の立派なマーケットです。ビジネスなので、せっかく存在する市場をわざわざ崩壊させる意味はありません。とはいえ、ブランドには合わない。その力学を崩壊させるのではなく、そして、妙に寄り添うのではなく、シェアを奪おうという作戦を実行したのです。GODIVAのマーケ担当の方、全然知らないけど秀逸です。ぜひ一度お会いしてみたいな。

ゴディバだから言えること

では、なぜそれができたのか。やっぱりGODIVAのマーケ担当者は秀逸としか言いようがありません。本気だったらまだしも、前述したように、義理には、みんな疲れてたのです。

お金を使うのもヤダ。そのために選ぶ時間を使うのもヤダ。とはいえ変なのを渡して何か思われるのもしゃく。で、別にホワイトデーに返してほしいわけでもない。返してもらったら、100%スマイルで対応しないといけないのも面倒。でも、なんとなくの慣習で、それをやらないのも、謎に失礼だと思ってしまう。正確には、あいつはそういうマナーがないんだな、と思われるんじゃないかと思ってしまう。はっきりいって、「あ”~、疲れる」です。

その、心の隙間に差し込むメッセージ。義理チョコをやめよう。はバッチリと時代にフィットしています。しかもGODIVAというのがまた巧い。安いチョコレートだとどうしても言えません。義理でもなんとかなってしまう価格帯だから。(美味しいから僕は大好きなんだけど)ブラックサンダーが言ったら「はぁ?」です。

GODIVAは高級というブランド力を客観的に判断し、そのオリジナリティを活用して、このメッセージを発信しました。さらに、GODIVAの国内認知度の高さも影響しています。無名だが高級なブランドが言っても「お前、誰?」で終わってしまう。

①世の中の(特に女性の)空気をしっかりキャッチ、②もっているブランド力とオリジナリティを冷静に把握している、③マーケットを闇雲に崩壊させず、シェアをとりにいく。

という合わせ技を見事に表現した広告だと思います。もう一回言いますが、GODIVAのマーケの人、一度お話聞いてみたいです。

以上、広告好きの私見でした。

まぁ、ギリチョコさえも欲しがってももらえない輩なので、貰えるようになってから言えよ、と言われたらそれまでです。ほんと、偉そうですみません×214

そんなぼくにも義理チョコくれた方、ありがとうございます。あくまで広告の話です。ご了承ください🙇

その他の「好きな広告を勝手に解説するシリーズ」はこちら。通勤電車などの暇つぶしにのお供に。

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