見出し画像

[好きな広告を勝手に解説するシリーズ] BOOK OFF ~お売り下さい~

好きな広告を勝手に解説するシリーズ vol.14は、ブックオフの広告「お売り下さい」です。

広告?って思われるかもしれません。古本を買い取り、中古でもいいからほしい人に売る商売をしている企業が「本を売って下さい」と言ってるだけですから。でも、このコピーひとつで大きく成長したといっても過言ではありません。

質屋のイメージを転換

「質屋」と聞くと、どことなくネガティブな印象があるのではないでしょうか。ずばり、お金に困った人がいくところといったイメージです。しかも軒先は以下の写真のようなものを浮かべるはず。少し入りづらそうで、少し薄暗くて、なんとなく”日陰者”が行く場所。そんな定義をしても、あんまり否定されない気がします。(もちろん写真の質屋は何にも悪くありません。念のため)。

ブックオフも、はっきりいって質屋です。ですが、質屋が持つ大衆イメージを大きく変えたのが、お売り下さいというキャッチコピーです。

質屋は通常「買取」という言葉を使いますが、ブックオフは「お売り下さい」と言っています。これがどういう違いをもたらすのか。

端的に言うと「買取」は上から目線であるのに対して「お売り下さい」は、お願いする立場をとっているのです。もう少し乱暴な言い方(だけど実態でもある言い方)をすると、「困ってるんだろ、買い取ってやるよ」だった業界のイメージを、へりくだったメッセージにすることで、一般の人たちが普通に、気楽に、「本を売るならブックオフ~♪」と、スキップしながらお店に行けるようになったのです。(その他、店舗に入りやすいイメージづくりで、ガラスドアだったり、コンビニ並みに明るくしたりなどもあります)

それによって、質屋に対する印象を、従来と真逆に変えることに成功しました。同じ意味でも、言い方ひとつでこうも変わる。「お売り下さい」という至極シンプルな言葉には、印象チェンジ成功に比例するように、誰もが知るブランドへと昇華していった、つまり業績を伸ばしていったのです。

以上、広告好きの私見でした。

最近はフリマアプリの攻勢にあっているかもしれませんが、こんな秀逸なクリエイティブができる企業だから、何かハッとするようなアプローチで打開してもらいたいですね!

その他の「好きな広告を勝手に解説するシリーズ」はこちら。通勤電車などの暇つぶしにのお供に。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?