コワーキングスペースを契約して4年ぶりに「通勤」のある生活がやってきた。昔はお金（交通費）を貰って通勤していたのに、いまはお金（月額費）を払って通勤するなんて贅沢な話だ。

社会人生活の約半分は在宅勤務でやってきたが、働く場所とくつろぐ場所を同じにするのはどうしても性に合わなかった。

ミーティングの少ない日は、お昼ご飯を自宅で食べてから自転車で10分程度のコワーキングスペースへ向かう。
この10分というのがちょうどいい。自転車ごと煽られるような風が吹いていても、とりあえずペダルを漕ぎ出せる。帰り道にその日のイヤ〜な出来事を反芻してしまっても、自宅に着く頃には終わっている。

家を出ると、前方を二人組の男子高校生が走っていた。後を追うように青信号を渡ると、横断歩道の向こうで野球部風の青年が顔を上げる。

「おう！」
腹から出したあいさつと、100点満点の笑顔がこちらに向けられた。まぶしい！

全力の「おう！」って久々に聞いた。大人になると「はょございまーす…」（ぺこり）って感じだもんなぁ。たった15年ほど前まであの「おう」が交わされる教室に通っていたなんて、ハイカロリーすぎて信じられない。

二人に向けられた笑顔のおこぼれさえも眩しくて、夜になった今でも「いやぁ、いい笑顔だったなぁ」なんて思い出してしまう。

そういえば帰り道には、懐中電灯をブンブン振りながら歩くサラリーマンを見た。今日は行きにも帰りにもいいものが見れた。